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Astra のCEOクリス・ケンプ氏が語る、ロケットの打上げ企業の力関係

Astra のCEOクリス・ケンプ氏が語る、ロケットの打上げ企業 Astra、Rocket Lab、SpaceX の力関係についてご紹介します。この記事は、Ars Technica の記事「クリス・ケンプ、アストラCEOの苦悩を語る」でインタビューを受けた、Astra のCEOであるクリス・ケンプ氏のインタビューで、Astra、Rocket Lab、SpaceX の3社の力関係について語っている部分を抜粋してご紹介します。

Astra の現状 …

Astra は2023年に始めに、ナスダックから上場廃止宣告を受けており、現在その延命措置を受けている。

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Astra の他にも、Spire Global、Momentus などの宇宙SPAC企業が上場廃止警告を受けており、Momentus は遂に期限までに株価を1ドル以上に戻すことができず、苦肉の策として1対50の株式併合を行い、上場廃止を免れているが、それは Momentus 株ホルダーの持株が 50/1 になったことを意味する。(つまり100株持っていたら2株になってしまう …)

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多分、Astra も Momentus と同じ道を選ばざるえないのではないだろうか … というのが Astra の置かれている厳しい現状である。

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Astra の宇宙船エンジン事業

ここからは Ars Technica のインタビューに応えた、クリス・ケンプ氏が語る、自社の宇宙船エンジン事業についてを見ていこう。

2023年初めに倒産した小型衛星打ち上げ会社の Virgin Orbit とは異なる立場にあると主張している。Astra はロケットの打上げだけではなく、小型衛星用の電動スラスター (エンジン) を製造する有望な事業という別の収益源を持っている。

Astra が宇宙船エンジンと呼ぶこの事業は、2021年に Apollo Fusion という会社を買収したことで可能になっており、既に多数の受注や契約を結んでいる。

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連続したロケットの打上げ失敗によりメイン事業が現状停止してしまっている Astra にとっては、唯一収入源となっている。

Astra、宇宙船エンジン事業を完全子会社として独立させる企業の再編を行う

2023年7月には、Astra が宇宙船エンジン事業を完全子会社として独立させる企業の再編を行う、というようなニュースも報じられた。

Astra は小型ロケットに注力

Astra は、ロケット打上げ事業で生き残りをかけて、小型ロケットの打上げに注力することが述べられている。

ロケットの打上げ市場を席巻している SpaceX のファルコン9ロケットは、小型衛星を大量に搭載することができ、大きな成功を収めている。その後を追う Rocket Lab のエレクトロン・ロケットは、Astra の計画中のロケットよりもはるかに大きい。

Rocket Lab と Relativity Space は、SpaceX に対抗するために、部分的に再利用可能な大型ロケット (Rocket Lab はニュートロン、Relativity はテランR) の開発に着手しており競争が激化している。

一方、Astra は、安価で大量生産可能な使い捨て小型ロケットの打上げに注力している。

Astra に残された立ち位置

クリス・ケンプ氏は、Ars Technica の宇宙担当記者スティーブン・クラーク氏とのインタビューで、ロケット打上げ会社上場企業である Astra の立ち位置を明確にしている。

25万平方フィートの広さを誇るロケット施設、製造ライン。Astra には、打ち上げ事業をやめるという選択肢が常にあったと言うが、なぜやめなかったのか?と言えば、Astra はすでに開発とロケット製造に必要な設備投資をほぼ終えている。

既に数億ドルをかけてロケット4プログラムを開始し、現在では上段エンジンとステージ、そして1億ドルの巨大な製造ラインを持っているからだと語る。

つまり、上場した資金で設備投資も終えてしまったし、もう後戻りはできないということだと思う。Astra は設備投資もほぼ終えていたのにも関わらず、ロケットの連続した打上げ失敗により、当初の計画が大幅に後ろ倒しになってしまった。

更に追い討ちをかけるように、Astra と同じ時期に上場した宇宙SPAC企業 Virgin Orbit は破産し、宇宙インフラの Momentus は、1対50の株式併合を行い上場廃止を免れるなど、宇宙SPAC企業は苦戦を強いられている。

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クリス・ケンプ氏は、現在、衛星を軌道に投入している民間またはベンチャー企業は、SpaceX、Rocket Lab、Astra の3社であり、その1社が Astra であることを強調します。

現在、衛星を軌道に投入している民間またはベンチャー企業は、SpaceX、Rocket Lab、Astra の3社です。Firefly Aerospace は数日で軌道から外れました。ABLはすべてを爆破し、Relativity は失敗してプログラムを破棄し、2026年まで再び飛ぶことはない。

私が思うに、衛星を軌道に乗せたと空を指差せることができる打ち上げ会社は3社あり、我々はそのうちの1社だ。その中で、生産ラインに何億ドルも投資しているのは我々だけだ。その中で、すでに実証済みのモバイル・システムを持っているのは私たちだけです。

クリス・ケンプ氏が述べている通り、現在の打上げ市場は SpaceX の独占状態で、1社じゃさばききれない打上げを後を追う Rocket Lab が着実にこなし実績を積んでいる。

他社はまだ開発/テスト段階なので、現在 Astra が打上げテストを残すのみとなっている、ロケット4のシステムが問題なく作動し打上げを着実にこなせるようになれば、まだチャンスはありそうだ。

クリス・ケンプ氏による他社のディスり

クリス・ケンプ氏は、言葉を選んで丁寧にロケット打上げ市場で激突する各社の問題点を指摘する。

Astra は、1日に1機(ロケット)を製造できる生産ラインを持っている。これは感動的だ。宇宙軍やNASA、そして私たちのすべての顧客がここに来れば、製造現場を歩きながら「すごい!」と思うはずです。

一方、Rocket Lab はニュートロンプログラムを始めたばかりで、四半期ごとに5,000万ドル(約60億円)を費やしています。数回の試験飛行が必要で、その後、契約を結ぶことになる。そして、粗利率50%の契約を結ぶことになる。

私は上場企業だ。我々は粗利率を開示している。在庫の量も公表している。SpaceX は違う。Rocket Lab は四半期ごとに5000万ドルの赤字を出している。

Astra 宇宙船エンジン事業は、利益率の高い素晴らしい製品だ。Rocket Lab は SolAero (人工衛星用太陽電池アレイサプライヤー) を買収した。彼らの収益のほとんどは、規模を拡大するのが非常に困難なビジネスに対する非常に低い利益率の貢献である。

クリス・ケンプ氏のこのインタビューを読むに、Rocket Lab に対するライバル心というか、着実に成功を重ねる姿に若干のディスりにも聞こえる指摘が入っているように思う。

しかしこのように、民間のロケット打上げ企業のCEOから語られる、ライバル会社に対する視点は非常に興味深い。

SpaceX、Rocket Lab、Astra 各社のロケットの打ち上げ費用

このインタビューを元に3社のロケット打上げにかかる費用を比較すると以下のようになる。

・Astra のロケット打上げ
Astra のロケットは、600キログラムのペイロードを打ち上げることができます。Astra のロケットの費用は、複数回の打ち上げを行う人には500万ドルです。ペイロードが600キログラムの場合、1キログラムあたりの費用は8300ドルです。粗利率は50%です。

・Rocket Lab のロケット打上げ
Rocket Lab のロケットの費用は1キログラムあたり3万ドルです。

・SpaceX のロケット打上げ
SpaceXのライドシェアの費用は1キログラムあたり7,500ドルです。ただし、SpaceX はライドシェアの打ち上げ費用を1キログラムあたり5,500ドルとしていますが、これは50キログラムのペイロードを27万5,000ドルで購入した場合のみの価格です。

まとめると、Astra のロケットは、1キログラムあたり8300ドルという価格で提供されており、中間の価格帯に位置しています。この価格は、ペイロードが600キログラムの場合のものです。

SpaceX は、ライドシェアのサービスを提供しており、1キログラムあたりの価格は7,500ドルです。しかし、特定の条件下(50キログラムのペイロードを購入する場合)では、1キログラムあたり5,500ドルとなります。これは、Astra よりも安価なオプションとなります。

Rocket Lab の費用は、1キログラムあたり3万ドルと最も高価です。総じて、3つの企業のロケット打ち上げの費用は異なり、それぞれのニーズや予算に合わせて選択することができます。