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【宇宙SPAC】地球観測が産業として成熟するのを目の当たりにしている

【宇宙SPAC】2023年Q2決算を経て、EO (地球観測) が産業として成熟するのを目の当たりにしている

米株式市場に上場している宇宙SPAC企業の第2四半期決算が発表された2023年8月10日、宇宙SPACのプロフェッショナルである
Space Case は次のように述べている。

Spire Global (スパイア・グローバル / SPIR) から堅実な第2四半期報告書が発表された。Rocket Lab (ロケット・ラボ / RKLB) と同様に、同社は売上を伸ばし、EBITDAマージンを改善し、FCFバーンを削減し、資本ランウェイを拡大した。

Rocket Lab は現在、SpaceX に次ぐロケット打上げ数を記録しており、その信頼性には定評があり、資源高の影響も受けてロケット打上げ費用も値上げしている。このような値上げも、Rocket Lab のような信頼と実績がある企業ができることです。

Rocket Lab、ニュートロンのエキサイティングな新時代が幕を開ける

Spire Global に話を戻すと、同社は EBITDAマージンを改善しており、Spire Global が売上を伸ばしているか、営業コストを削減しているか、あるいはその両方であることを示唆している。

FCFバーンの減少は、同社が事業においてより資金効率的になっている。資本滑走路の拡大は、Spire Global が追加資本を必要とせず、より長い期間事業を継続するのに十分な資金を持っていることを示す。これは財務安定の証である。

しかし、Rocket Lab とは異なり、Spire Global は、2023年後半から2024年後半にかけて利益+キャッシュのブレークイーブンを達成するという、ますます具体的なガイダンスを示した。

Spire のCEO、ピーター・プラッツァー氏は第2四半期の決算で次のように述べている。

Spire は、株式公開以来最高の売上高と最低の営業損失を記録した第1四半期に続き、第2四半期もさらに好調な業績を達成しました。800社を超えるARRソリューションの顧客とともに、Spire は宇宙ベースの無線周波数データの価値を実証しています。世界中の組織が、より安全で、より豊かで、持続可能な地球の未来を創造するために宇宙を活用するという変革の波に乗っています。

確かに今年 Spire Global は、4月から8月までにざっくりと次のような契約の獲得、新サービスの提供を開始しています。

– Spire Global、米国国家偵察局から無線周波数データに関する契約を獲得

– Spire Global と OroraTech、カナダ宇宙局から宇宙からの山火事検知手法の実証実験を受注

– Spire Global と BlackSky が提携、AIを活用したリアルタイムな海上カストディサービスを提供へ

– Maritime Cleantech Company、船舶追跡データの提供に Spire Global を選定

– Spire、光衛星間リンクを実現し、データ遅延を大幅に削減する業界最高水準の技術を提供開始

– OroraTech、山火事監視衛星8基の提供に Spire Global を選定

– OceanMind、違法漁業撲滅のために Spire Global の衛星船舶追跡データを採用

– Spire Global、RDCアビエーションに採用され、航空会社の収益性と運航コストの洞察を強化

– Spire Global、衛星ベースの航空監視システムの設計と実証で1600万ユーロのESA契約を獲得

– Spire Global、GHGSat から排出量監視用衛星コンステレーション拡張のための宇宙サービス契約を受注

– Spire Global、地球観測データのNASA契約更新で650万ドルを獲得

このように、今年ご紹介した宇宙ビジネスのニュースでも、他の宇宙企業に比べて Spire Global はコンスタントに新規契約を獲得しているのをお知らせしてきました。

その背景には、宇宙SPACのプロフェッショナル Space Case 氏が述べているように、EO (地球観測) が産業として市場を形成してきていることの裏付けではないかと思います。

特に、2023年の夏は世界各地を猛暑が襲い、このような記録的な猛暑は数千年ぶりだと言います。このことからも地球温暖化、気候変動は地球の緊急の大きなテーマです。

この記事を書いている8月中旬頃にも、ハワイ州マウイ島で発生した大規模な山火事と町を焼失したニュースが世界中を駆け巡りました。近年温暖化による山火事は年々酷くなる一方です。

Spire はこの分野にも積極的に参入しており、今年 OroraTech と、地球規模の気温モニタリングに特化した8衛星コンステレーションを構築、打ち上げ、運用する契約を締結。Spire は、世界中の顧客のためにアクティブな火災監視機器として機能している。

ひとたび運用が開始されれば、この8つの衛星コンステレーションは、山火事の追跡と監視に特化した最初で最大の衛星コンステレーションとなる。

一方で、Spire は、813社の年間契約顧客(ARR)を抱えているが、四半期収益は2650万ドルに過ぎない。ARRの顧客一人当たりの収益はそれほど多くないようだ。

地球観測衛星のプレイヤー

地球観測企業 BlackSky (ブラックスカイ / BKSY)、Spire Global (スパイア・グローバル / SPIR)、Planet (プラネット / PL) はいずれも2024年の終りまでに黒字化を達成する予定であり、EO (地球観測) が産業として成熟するのを目の当たりにしている。

・BlackSky (ブラックスカイ / BKSY)

【BKSY】BlackSky (ブラックスカイ) について

高解像度の地球観測データと分析サービスで知られる BlackSky は、迅速なデータ提供能力で他社と一線を画している。リアルタイムの洞察を提供する能力は、防衛、災害対応、インフラ監視などに応用できる。

・Spire Global (スパイア・グローバル / SPIR)
小型衛星の多様なフリートにより、気象、海事、航空に関するデータを収集し、企業や政府機関に貴重な洞察を提供している。同社のデータ分析は、海運から環境モニタリングまで幅広い分野の意思決定に影響を与える。

・Planet (プラネット / PL)

【PL】地球観測衛星データの Planet(プラネット・ラボ)について

地球の高周波画像を撮影する小型衛星群を運用する Planet の強みは、日々の変化を検出する能力にある。これは農業、都市計画、環境保全に大きな影響を与えることが予想される。

地球観測データとアナリティクスの需要は堅調に伸びている

地球観測データとアナリティクスの需要は堅調に伸びている。技術が進歩し、データにアクセスしやすくなるにつれ、産業界はリアルタイムの地球観測による洞察の価値を認識している。

EO業界の収益性向上への動きは、黎明期の実験的段階から成熟した商業的に実行可能な分野への移行を示すものである。農業や都市計画から防衛や災害対応に至るまで、EOデータの価値を認識する業界が増えるにつれ、こうしたサービスへの需要は高まる一方である。

結論として、BlackSky、Spire Global、Planet の3社の軌跡は、EO業界の広範なトレンドを象徴している。特に地球の課題である気候変動のトレンドと相まって、サービスに対する需要の高まりを感じさせる。

上記3社に関しては、それぞれに特色があり、BlackSky は軍事やAIに力を入れおり、Spire は気象、海事に注力しており、Planet は農業、林業など正に地球観測というように広範囲に渡りデータを提供している。

観測衛星の企業にはリーディングカンパニーとして Maxar Technologies が君臨していたが、アドベントインターナショナルが買収し、株式は非公開にされた。

2023年8月現在、宇宙SPAC銘柄で株価が戻り基調なのは Rocket Lab ぐらいだと思うが、Spire Global に関してはナスダックから上場廃止宣告を受けているが (1ドルを割ったことから)、他の1ドルを割った銘柄に比べると、まだまだ視聴率が低すぎるのか株価の戻りは弱いままである。

地球観測企業をウォッチしている海外投資家からしても、Spire はもっと評価されて良いのではないか?というような声を聞くが、引き続き観察を続けたい。