全クリエイター必見、2026年春頃から新たに始まる制度「未管理著作物裁定制度」について詳しく解説します。文化庁が「未管理著作物裁定制度」のPDFを用意していますので、こちらもご覧下さい。
「未管理著作物裁定制度」とは?
これは、連絡先や利用ルールが明記されていない著作物に対し、正当に使いたい人が申請すれば、文化庁の裁定により利用が可能になる制度です。そして、”使いたい人” と “作った人” をつなぐ新しい仕組みです。
使われないまま眠っていた作品に価値が生まれ、クリエイターが正当な報酬を得られるチャンスでもあります。
背景にある課題
「未管理著作物裁定制度」が始まる背景には、次のようなことがあります。
・公開されているが、誰にも管理されていない著作物が増えている。
・「使いたいけど、著作権者が誰か分からない」「連絡先もない」ため、使えずに終わってしまうケースが多数。
この制度のしくみ(簡単な流れ)
「未管理著作物裁定制度」の仕組みと簡単な流れをご説明します。
1. 利用希望者が作品を見つける(例:ブログで見かけた写真など)
2. 連絡先を探すが、「利用ルール・問合せ先・連絡先」が見つからない or 連絡したが14日以内に応答なし
3. 文化庁に申請(=裁定の申し出)
4. 文化庁が審査し、裁定(利用許可)を出す
5. 利用希望者が「補償金」を支払い、正式に利用が可能に
6. 著作権者が後日名乗り出れば…
– 利用料(補償金)を遡って受け取れる
– 利用を続けさせる or 停止させることもできる
裁定制度で利用可能になる著作物(対象)
「未管理著作物裁定制度」で、利用可能になる著作物とは、以下すべてに当てはまる場合が対象になります。
・利用ルールの記載なし(例:「転載禁止」等の表記がない)
・問い合わせ先の記載なし
・連絡先がない or あるけど14日間返事がない
・管理団体による「集中管理」がされていない(JASRACなど)
裁定制度の対象とならないもの
「未管理著作物裁定制度」の対象とならないものは以下になります。
・利用ルールや問合せ先が明示されている著作物
・管理団体により集中管理されている作品(音楽など)
・連絡したら14日以内に返事があった著作物
クリエイターが知っておくべきメリット
「未管理著作物裁定制度」で、クリエイターが知っておくべきメリットについて解説します。
・知らぬ間に使われていても安心
→ 裁定情報は文化庁サイトで公開。後から気づいても利用料を請求できます。
・「作品が使われるニーズ」を発見できる
→ 忘れていた古いイラストや写真が、誰かの目にとまって再利用される可能性あり。
・裁定後もクリエイターの権利は保護される
→ 後から連絡すれば利用停止もできるし、契約やライセンス変更も可能です。
「裁定されたら無料で使われるの?」→ いいえ!
裁定されたら無料で使われる訳ではありません。以下の義務が発生します。
・利用希望者は相場に応じた補償金を支払う義務があります。
・著作権者は、文化庁指定の機関から遡って補償金を受け取ることができます。
「裁定されたら一生使われる?」→ いいえ!
裁定されたら一生使われる訳ではありません。
・著作権者が連絡を入れれば利用停止にできる。
・逆に「もっと使ってほしい」と思えば、改めて利用契約を結ぶチャンスも。
全クリエイターへのアドバイス
「未管理著作物裁定制度」開始に伴い、全クリエイターへのアドバイスになります。しっかり以下の要点を理解しておきましょう。
1. 作品を公開するときは必ず
・利用ルール(例:「商用利用不可」など)
・問い合わせ先(メール・SNSなど)を記載しましょう!
2. 過去の作品も見直して
・利用されたいと思っていなかった古い作品にニーズがあるかも。
3. 文化庁のサイトをチェック
・自分の作品が裁定対象になっていないか確認することができます。
良くある誤解と回答
「未管理著作物裁定制度」の良くある誤解とその回答についてです。
Q. 14日間連絡できなかったら、権利がなくなるの?
A. いいえ。裁定後でも、利用停止や補償金の受け取りが可能です。
Q. 勝手に無料で使われてしまうの?
A. いいえ。利用者は補償金を支払います。
Q. 一度裁定されたら、ずっと使われ続けるの?
A. いいえ。著作権者が申し出れば停止可能です。
Q. 自分の作品が勝手に使われていたらどうする?
A. 文化庁サイトで裁定情報を確認。連絡すれば補償金の受取や停止が可能です。