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人生の折返しに潜む慢性病というリスクについて

人生の折返しに潜む慢性疾患というリスクについて

今回は人生の折り返し、後半戦に潜む健康リスクについて考えてみたいと思います。人生、40代目前になると、現実問題として横たわるのが “歳を取る” という当たり前なことだと思います。20代、30代の時とは異なり、一歩一歩老いていくこと = 高齢化に伴って、健康が悪化することを考慮するとより深刻なものになると思います。

最近の統計によると、2050年には一人暮らしの未婚男性高齢者の割合が59.7%に増加し、4人に1人が独り身の高齢者になるというデータが出ています。女性も同様に、独り身の高齢者が増加しています。

特に日本では、平均寿命の延びに伴い、高齢者人口のより大きな割合が、現実問題として認知症(アルツハイマー)やその他の慢性疾患により今後身体能力を失っていくことが予想されます。

現状でも、高齢者の介護が問題となっており、介護施設が満員で空きがなく、空きを待つ状態が続いています。この状況を見ても、この先、日本の超高齢社会は相当なディストピアが広がることが予想されます。

「ピンピンコロリ」という言葉がありますが、そのように健康で最後を迎えられれば幸運ですが、多くの高齢者は歳を重ねるごとに何らかの慢性疾患を抱え、一人で日常生活を送ることが困難になり、介護が必要になると考えられます。

しかし、誰が介護してくれるのでしょうか?家族や配偶者がいれば介護してもらえるかもしれませんが、多くの高齢者は身寄りもなく余生を過ごすことになります。その場合、誰が面倒を見てくれるのかという疑問が生じます。

お金があれば老人ホームに入るなど何かしらの手段があるかもしれませんが、お金も身寄りもない場合、独り身の高齢者にとって健康であることが最後の砦となるでしょう。

このような思いに至ったのには

私がこのような思いに至ったのは、30代も終盤に差し掛かり、周りを見渡すと同世代の知り合いの親が亡くなられたり、若い頃に見ていたアイドルや俳優、アーティストが年を取っていくのを見ることで(もちろん自分も例外ではなく)、否が応でも時の流れや歳月の経過を実感します。

私自身も、2011年の東日本大震災を機にランニングを始めました。運動は体に良い、体に適度なストレスを与えると健康に良いという認識から、もう13年以上日課としてランニングを続けてきました。すると、今年に入って脚の付け根に違和感を覚え、それでもその違和感を拭い去るようにランニングを続けていると、とうとう走れなくなり、歩行も少し困難になりました。

明かにおかしいと思い調べてみると、股関節の擦り減りなど、これまでの負担が積もり積もって応じた結果であることを理解しました。この時私は、人の体というのは有限なんだな … というのを思い知らされました。自分では健康のために走っているのだから、特に問題ないという認識でしたが誤算が応じる結果となってしまいました。

今になって思えば、ストレッチしてから走るなど、もう少し労わる必要があったんだと反省しています。このように一時的に歩けなくなり/歩きにくくなるという経験を得て、40代目前、ある意味人生の折り返し地点に立たされたことにより、今後の健康リスクについて改めて考えるようになったのです。

神経変性疾患で親を亡くした知り合いの母

知り合いのお母さんが昨年、筋萎縮性側索硬化症(ALS)で亡くなったという知らせを聞きました。そのお母さんは何か異変を感じ、いくつかの病院を訪れてやっと病名がALSだと分かったそうです。

ALS は、神経系の病気で、運動ニューロンが徐々に死滅し、筋肉の萎縮や麻痺を引き起こします。つまり筋肉がどんどんと動かなくなり、最後は舌まで動かなくなるので食べることもできず、笑顔を作ることもできなくなります。

この家族は幸い、2人の子供とその家族、奥さんへの大きな愛を持ったお父さんにより、お母さんに残された余生を家で介護して過ごすことになりました。既に日常生活が困難になっていたため、家族はローテーションしてお母さんの介護を続けました。

病名を聞いてから1年半だったでしょうか?お母さんは亡くなったと聞きました。息子さんはお母さんのオムツ交換もしていたという話を聞くと、私たちが生まれた時にお母さんや親がしてくれていたオムツの交換を、今度は子供たちがするというのは当たり前のことなんだと思いますが、感慨深いですね。

神経変性疾患を治す薬はまだない

私はこの頃、丁度バイオテクノロジーについて学んでいたのですが、神経変性疾患がどれほど恐ろしいものなのかというのを最近思い知らされました。がん治療はここ数十年ブレイクスルー (新薬や新しい治療法) が続いていますが、神経変性疾患については2024年現在、治療する確かな方法は一つもありません。

ここ数年、2021年にFDAによって承認されたバイオジェンの抗アミロイドβモノクローナル抗体で、脳内のアミロイドβプラークを標的とした「アデュカヌマブ (アデュヘルム)」と、2023年にFDAによって承認された抗アミロイドβモノクローナル抗体で、アミロイドβプラークを標的とした「レカネマブ (レキンビ)」が新しい治療薬として加わりました。

また、現在イーライリリーは、アルツハイマー病の治療に向けて、アミロイド斑標的抗体治療薬「Donanemab (ドナネマブ)」を開発しています。この薬剤は、脳内のアミロイドベータプラーク(アミロイド斑)を標的とし、アルツハイマー病の進行を遅らせることを目的としています。これらの治療薬は、アルツハイマー病の根本的な治療法ではなく、症状の進行を遅らせたり一時的に改善するために使用されます。

神経変性疾患とは、神経細胞(ニューロン)が徐々に損傷し、機能を失い、最終的には死滅する進行性の疾患を指します。これらの疾患は、脳や脊髄などの中枢神経系に影響を及ぼし、認知機能や運動機能、感覚などに障害を引き起こします。主な神経変性疾患には次のようなものがあります。

・アルツハイマー病
記憶力や認知機能が徐々に低下する最も一般的な認知症の一つ

・パーキンソン病
運動制御に問題を引き起こし、震え、筋肉のこわばり、運動の遅れなどの症状を呈する

・ハンチントン病
運動、認知、精神面に影響を与える遺伝性の疾患

・筋萎縮性側索硬化症(ALS)
運動ニューロンが徐々に死滅し、筋肉の萎縮や麻痺を引き起こす

・脊髄小脳変性症
運動の調整に関与する脊髄や小脳の神経細胞が徐々に失われる疾患

上記の神経変性疾患を見て頂ければ分かるように、日本や先進国で大きな問題となっているのが神経変性疾患の一種「アルツハイマー病」なんですね。そして神経変性疾患が恐ろしいのは、日常生活が一人では送れなくなるということです。

知り合いの息子さんのお母さんの場合は、素晴らしい家族とその繋がりがあったからこそ、在宅での治療、余生を送るという選択ができたんだと思いますが、介護する側の負担もかなり大きなものがあり、なかなか困難なことだと思います。

また、アルツハイマーは認知症を起こす病気の中の一種ですが、2024年警視庁のまとめによると、認知症での疑いで行方不明届けが出ている数が1万9000人余りで最多となりました。更に500人以上が亡くなって見つかっていると言います。

高齢化が進むなか、今後認知症で行方不明になる人も更に増えることが予想されます。

歳をとる事は危険なことである

歳をとることは素晴らしいことであると同時に、危険なことでもあります。歳を取ることでリスクが増す慢性疾患には他にも、がんや心臓病、糖尿病 (2型糖尿病)、上記で紹介した神経変性疾患など、長期間にわたって進行し、管理や治療が必要な疾患のことを指します。

神経変性疾患では、アルツハイマー病が特によく知られていますが、認知症の発病は次第に日常生活が送れなくなるほど患者から能力を奪っていく。患者は介護と支援が必要になる。

がんや心臓病については、死亡が比較的早く、ときには突然やってくる。がんや心臓病で長期にわたり、ときには何十年にもわたって共同の苦痛を経験する患者はあまりいない。

しかし、それがまさに認知症患者とその家族にもたらすものである。ほとんどの人々は、そして間違いなく社会全体は、高齢化社会が一体何をもたらすことになるのか気づいていない。

悪い習慣を認識して断ち切る

これらの病気は、昨日今日でどうにかなるものではなく、若い時からの生活習慣によってもたらされるものであり、若い時の不摂生の末に行き着く疾患です。つまり、ある程度若いうちにこのことを認識し、予防していかなければならないのです。

例えば、若い頃から大量にアルコールを摂取していた場合、その行き着く先は腎臓病や糖尿病などです。若いうちは何も気にしないかもしれませんが、そのツケが歳を取ってから回ってくることを知っておいて損はないでしょう。

ここで早くから認識、理解しておかなければいけないのが、全ては習慣によって作用されるということです。習慣には良い習慣と悪い習慣があります。例えば科学的にも手洗いが習慣化されたことで、私たちの生存率はかなり向上しました。

同じように歯磨きも良い習慣です。歯磨きの習慣がない人は歯がないでしょう。タバコを吸うことが習慣であれば、その頻度や量にもよりますが、肺癌などのリスクは高まります。もしあなたが長生きしたい場合は、タバコは悪い習慣と言えます。

このように、知らず知らずのうちに無意識のうちに習慣となってしまっている悪い習慣を認識し、その習慣を断ち切っていくことが大切です。

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