最近バブルハンターとして知られる、投資運用会社GMOの共同創設者であるジェレミー・グランサム氏と、新書『Entropy Economics: The Living Basis of Value and Production』を25年1月に上梓したアメリカの著名な経済学者、ジェームズ・K・ガルブレイス氏の仮想通貨 (暗号通貨、暗号資産) に対する見解が非常にウィットに富んだものだったので、こちらの記事でご紹介します。
仮想通貨は投機手段としては非常に優れたもの
ジェレミー・グランサム氏は、今の米株市場は、歴史上の「スーパー・バブル」の中でも上位にランクインする状況になっていると語りながら、仮想通貨に対する次のような見解も語っています。
仮想通貨市場の規模も現在では4兆ドルに達しており、これは無視できない存在になっています。仮想通貨について議論する際、ビットコイン単体の話をしているのか、それとも市場全体の話をしているのかを明確にする必要があります。
私は仮想通貨全体を指して話しています。なぜなら、これらは何も生み出さず、実際には決済手段としてもほとんど機能していません。しかし、投機手段としては非常に優れたものです。
仮想通貨は投機的な手段
ジェームズ・K・ガルブレイス氏は、ビットコインやドージコインなどの暗号通貨に対して批判的な見解を示している。最近のインタビューで、同氏はこれらのデジタル資産は有形の商品やサービスを生み出さず、交換手段としての実質的な有用性も欠いていると強調した。
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その代わり、同氏はそれらを主に投機的な手段と特徴づけ、ファンダメンタルな価値創造よりも短期的な利益に興味を持つ投資家を惹きつけていると述べた。
ガルブレイス氏の懐疑的な見方は、より広範な暗号通貨市場にも及びます。同氏は、特に最近の景気刺激策の文脈において、暗号通貨市場を過剰流動性と投機熱の産物と捉えています。
同氏は、暗号通貨投資の急増は技術革新というよりも、ハイリスク・ハイリターンを求める資本の利用可能性によるものであると指摘しています。
仮想通貨が本質的に投機の対象となっている
ジェレミー・グランサム氏とジェームズ・K・ガルブレイス氏の2人の共通点として、仮想通貨(暗号通貨)が本質的に投機の対象となっていることを認めている点が挙げられます。
FTXの崩壊とサム・バンクマン=フリードの逮捕によって、2022年には仮想通貨市場全体が暴落し、投資家の信頼は大きく揺らぎました。しかし、それからわずか数年で、2025年1月にはビットコインが600%も上昇し、史上最高値を記録しました。この驚異的な価格変動こそが、仮想通貨が投機的なジェットコースターのような資産であることを証明しています。
グランサム氏は、仮想通貨が何も生み出さず、実質的な価値を持たないと指摘しており、ガルブレイス氏も、仮想通貨の価格上昇は実際の経済的価値ではなく、投機マネーの流入によるものだと批判しています。
このような極端な値動きは、伝統的な金融市場では考えにくいものですが、仮想通貨市場では短期間で何度も繰り返されてきました。これが「デジタル・ゴールド」としての価値を生むという意見もありますが、一方で、価格が投機によってのみ支えられているという側面を無視することはできません。
この不安定性をしっかりと理解することが大切だと思います。