今回は金利上昇局面 (債券が売られる) でプレイしたい TMV (Direxion デイリー 20年超米国債 ベア3倍 ETF) と、金利が低下する局面 (債券が買われる) でプレイしたい TMF (Direxion デイリー 20年超米国債 ブル3倍 ETF) についてご紹介します。
TMV とは?
TMV (Direxion デイリー 20年超米国債 ベア3倍 ETF) は、手数料および費用控除前の日々の投資成果を、ICE米国財務省20+年債指数のパフォーマンスの300%とすることを目的としています。つまり債券の売り (ベア) ETFの3倍です。
金利上昇局面でプレーしたい TMV
金利が上昇していく局面でプレーしたいのが、債券のベアETFこと TMV (Direxion デイリー 20年超米国債 ベア3倍 ETF) です。TMV は米国債20年の価格が低下 (金利上昇) すると、3倍上昇するETFです。
上記のチャートのように金利が上昇している局面では TMV を購入することでパフォーマンスを上げることができます。2022以降の株式市場では、猛威を奮うインフレから FRB はアグレッシブな金利引上げを行っており、またその憶測が市場を席巻し、金利は上昇を続けています。
2022年の局面で見た場合、もしインフレが制御不能になり始めた場合、TMV ファンドは、ICE米国財務省 20+Year Bond Index の日々の下げ幅の300%に追従し、トレーダーに債券市場の持続的下落を利用する手段を提供する可能性があります。
このような明らかに金利がブレイクアウトする時にトレードしたいのが TMV です。まとめると、TMV は、金利上昇局面、つまり債券価格が下がる局面をターゲットにしています。
TMV は3倍レバレッジを使用しており、20年超の米国債価格が1%下がると、TMV の価格は大体3%上がるという仕組みです。したがって、金利が上昇すると予想される場合や、インフレが懸念される場合には、TMVは魅力的な投資対象となります。
2022年9月のFOMCくらいまで、金利は強気
FRBのパウエル議長は、8月のジャクソンホールで年末のアメリカの政策金利 (FFレート) を4%まで上がっていき、政策金利を少なくとも2023年1年間は水平飛行でその水準を維持する方針を示しました。
このことからパウエル議長は目先インフレ退治に躍起になり、リセッションも止む終えず金利を引き上げていくことが考えられます。少なくとも9月のFOMCまでは金利が上昇していくことが予想できるため、TMV でトレードしていくことが好ましいと思います。
TMVと米10年債券利回りの関係
上記は TMV (青い線) と米10年債券利回り (緑の線) のチャートです。共に2022年、FRBがインフレ退治に利上げを高らかに宣言してからアグレッシブルに連動して上がっていることが分かります。注目すべきは、利上げ最終局面では下降傾向にあるということです。
金利が低下する局面では TMF
一方、金利が上昇することで損をするのが TMF (Direxion デイリー 20年超米国債 ブル3倍 ETF) です。TMF は金利低下局面、つまり債券価格が上がる局面をターゲットにしています。TMF も3倍のレバレッジを使用しており、20年超の米国債価格が1%上がると、TMFの価格は大体3%上がるという仕組みです。
したがって、金利が下がると予想される場合や、デフレが懸念される場合には、TMF は魅力的な投資対象となります。
もし FRB がインフレ抑制のために経済成長を犠牲にするならば、イールドカーブの長めの部分で債券市場がさらに大きく動く可能性があります。Direxion の TMF は、ICE米国債 20+Year Bond Index の日々の上昇率の300%に連動するファンドで、トレーダーに機会を提供するかもしれません。
直近であれば FRB による利上げが終わる局面 (これ以上利上げできない、金利を上げられない) で、TMF を買っていくことでパフォーマンスを上げることができます。
2022年FRBの金融政策における政策金利
パウエル議長は、2022年8月のジャクソンホールで、2023年以降も向こう1年間は政策金利を水平飛行 (高止まり) されることを示唆しており、目先今後も金利は高い状態が予想されます。
つまり FRB による利上げが終わったからといって、TMF のような債券ブル3倍に飛びついても金利が高い状態が続くようであれば、当分は死に金になってしまうことも考えられます。長期投資の場合は早めにスタンバイするのも有りかもしれません。
上手いタイミングとしては、利上げにより米国経済がリセッションを迎える前兆を捉え、FRB が利下げに転じる前ぐらいのタイミングであれば、TMF をトレードしても面白いかもしれません。
債券は金利上昇に弱い
債券のブルベアETFを手がける時は、「債券はマイルドな資産だが、金利上昇が弱点」と、覚えておくと良いでしょう。金利が上昇する局面では TMV 債券ベア3倍で攻めて見ましょう。
MOVE 指数に注目
債券のブル/ベアETFをトレードする際は、債券版恐怖指数と呼ばれる MOVE 指数 (Merrill Lynch Option Volatility Estimate) を注目しよう。MOVE指数はバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチが算出・公表する、米国債の先行き変動リスクを示す指数。一般的に数値が高いほど投資家が債券相場の先行きに不安を感じているとされる。
MOVE指数は、アメリカの金利スワップオプション市場のボラティリティ(価格変動の激しさ)を表す指数で、債券市場の「恐怖指数」とも称されます。具体的には、MOVE指数は、アメリカ国債の1ヶ月先のボラティリティを基に算出されます。
数値が高いということは、投資家が将来の金利変動について不確実性やリスクを感じていることを示しています。一方、指数が低いときは、市場が比較的安定している、または予想される金利変動が小さいことを示しています。
したがって、MOVE指数は債券のブル/ベアETFをトレードする際に重要な指標となり得ます。この指数を用いることで、市場の金利変動への期待や感じ方を理解し、それに基づいて投資戦略を計画することが可能となります。
2022年はインフレを機にFRBの利上げ (量的引き締め) の影響を受けて、MOVE 指数は上昇しました。つまり債券は売られた訳で TMV (20年超米国債 ベア3倍 ETF) がアウトパフォームした訳です。
インフレが天井を打ち、インフレがマイルドになっていくことが確認できれば、又これ以上利上げできないとなればFRBは今度は利上げに転じます。すると債券が買われるので TMF (20年超米国債 ブル3倍 ETF) の方に妙味が出てきます。
また債券にも値頃感が出ると債券は買われるので TMF に妙味が出てきます。このように債券版恐怖指数のチャートを見ながら、TMV、TMF のような債券のブルベアETFをトレードすることもできます。
考察 : 2022年9月末の振り返り
new cycle high on 10y pic.twitter.com/Q6cq7wPjif
— Michael J. Kramer (@MichaelMOTTCM) September 20, 2022
今振り返ると長期金利が新高値に入り、強気のサイクルに入ったタイミングで、TMV と DRV をロングしておけば爆益でしたね。この間にイギリス新大統領トラス首相による政策エラーなども重なり長期金利は 4% まで上昇しています。
レバレッジETFをトレードする際にはリスクも考慮すること
それぞれのETFに投資する際には、金利の動きを予想するだけでなく、レバレッジによるリスクも考慮する必要があります。レバレッジETFは価格変動が大きいため、予想が外れた場合の損失も大きくなります。また、これらのETFは主に短期的な投資を目的として設計されており、長期間保有するとレバレッジの再調整によるコストや、価格変動の累積効果により期待通りのリターンが得られない可能性もあります。