アメリカに上場しているピュアプレイの宇宙関連企業を一覧表でご紹介します。2019年に、リチャード・ブランソン卿の宇宙旅行会社 Virgin Galactic (ティッカー:SPCE) が IPO して以来、パンデミックの2020年を経て、2021年のコロナ禍に多くのピュアプレイの宇宙関連企業が SPAC を通じてアメリカの株式市場に上場を果たしました。
いくつか紹介しますと、SpaceX の唯一のライバル企業とされる Rocket Lab (RKLB) や、小型ロケット打ち上げの ASTRA (ASTR) など、衛星観測データを提供する Planet (PL)、観測衛星ソリューションの BlackSky (BKSY) など上げるときりがありませんが、2021年は13社の宇宙関連のベンチャー企業が SPAC 上場しました。
宇宙関連、宇宙ビジネスをテーマにしたETFも登場しています。まず最初に発売された、Procure Space ETF (UFO) は、2019年4月に発売されました。このファンドには、ボーイング (BO)、マキサー(MAXR)、イリジウム・コミュニケーションズ (IRDM)、インテルサット (I)、エアバス (EADSY) といった宇宙関連株の保有銘柄に加えて、2021年12月20日には、SPAC 上場で合併したアストラ (ASTR)、ロケットラボ (RKLB)、ブラックスカイ (BKSY)、スパイアグローバル (SPIR) などの企業も組入れ銘柄として追加されています。
コロナ禍で始まった金融相場では時の人となった、Cathie Wood (キャシー・ウッド) のアーク・インベストメント・マネジメントは、2021年の初めに ARK Space Exploration ETF (ARKX) を発売しました。この宇宙に特化したETFには、ボーイング (BO) とアマゾン (AMZN)、Mynaric (MYNA) などが含まれています。
更に、2021年後半には、商業衛星の設計、製造、打ち上げ、データ収集に焦点を当てた Sidus Space (SIDU)、ピーター・ティールやARKファンドも投資したことで知られる、ドイツのレーザー通信製造会社 Mynaric (MYNA) や、カナダの衛星ブロードバンド企業 Telesat (TSAT) が続けてナスダックに上場するなど、更にピュアプレイの宇宙企業が増えるなど、人類最後のフロンティアと言われる宇宙ビジネスへの期待が膨らみます。
宇宙ビジネスは2040年までに1兆ドルを超える評価額に達する可能性
モルガン・スタンレーによると、宇宙ビジネスは2040年までに1兆ドルを超える評価額に達する可能性があると言います。この宇宙セクターは、宇宙飛行士を軌道に乗せるなど、関連するアプリケーション、Starlink (スターリンク)、AST SpaceMobile が狙う消費者向けブロードバンド・ネットワークから政府出資の通信機器、レイダー、宇宙インターネット接続の強化まで、宇宙ビジネスは数え切れないほどのイノベーションを支えています。
こちらのページでは、Virgin Galactic を始めとる SPAC 上場したピュアプレイの宇宙関連企業と、最近アメリカ市場に上場した宇宙関連企業 (銘柄) を一覧表示で分かりやすくご紹介します。
2019年以降に SPAC 上場したピュアプレイの宇宙企業
注目度は独断と偏見ですので、あくまでも参考だと思って下さい。
企業名 | ティッカー | 業種 | 注目度 |
---|---|---|---|
Virgin Galactic | SPCE | 民間宇宙旅行 | ☆☆ |
Astra | ASTR | 小型ロケットの打上げ | ☆☆☆ |
Rocket Lab | RKLB | ロケットの打上げ、宇宙ソリューション | ☆☆☆☆☆ |
Spire Global | SPIR | 観測衛星 (主に海運、気象、農業、漁業) | ☆☆ |
BlackSky | BKSY | 観測衛星 (主に政府、軍事関連) | ☆☆ |
Planet | PL | 観測衛星データ (地球観測) | ☆☆☆☆ |
AST Spacemobile | ASTS | 衛星インターネット | ☆☆ |
Momentus | MNTS | 宇宙インフラサービス | ☆ |
Redwire | RDW | 宇宙ソリューションの開発、製造、販売 | ☆☆ |
Arqit Quantum | ARQQ | 衛星量子暗号、セキュリティー | ☆☆☆ |
Virgin Orbit | VORB | 小型ロケットの打上げ | ☆☆ |
Satellogic | SATL | 観測衛星 | ☆ |
Terran Orbital | LLAP | 観測衛星、小型衛星メーカー | ☆☆ |
SatixFy | SATX | 自社開発チップセット、次世代衛星通信システム | ? |
Intuitive Machines | LUNR | 宇宙探査 (月面アクセス、月軌道配信、月距離での通信) | ☆ |
更に詳しく2019年〜2021年に SPAC 上場した NewSpace 13銘柄を紹介
2021年以降に IPO したピュアプレイの宇宙企業
Sidus Space | SIDU | 商業衛星の設計、製造、打ち上げ、データ収集に焦点を当てている | ☆ |
Mynaric | MYNA | 通信レーザー機器の設計・製造 | ☆☆☆ |
Telesat | TSAT | 衛星ブロードバンド | ☆☆ |
SPAC を通じて株式公開にを計画中
Maritime Launch | MAXQ | 新興の商業宇宙衛星の打上げ会社 | ☆ |
D-Orbit | BREZ | 宇宙物流・輸送市場の大手 (※ 市場環境の悪化によりSPAC上場を断念) | ☆☆☆ |
World View | LHC | 成層圏探査 | ☆ |
カナダの宇宙輸送サービス会社 Maritime Launch (マリタイム・ランチ) は、2022年4月にNEO取引所でティッカーシンボル「MAXQ」で取引が開始されました。
イタリア発の宇宙物流・輸送サービス D-Orbit (ディーオービット) は、2022年8月に市場環境の悪化から SPAC での上場を取り止めています。宇宙投資家の中には、D-Orbit の SPAC 上場を楽しみにしていた投資家もおり、ガッカリした … との声も聞こえました。
2023年は今のところ、成層圏探査のリーダーである World View (ワール・ドビュー) が Leo Holdings Corp. II とのSPAC取引により株式公開を進めています。
宇宙をテーマにしたETF
Procure Space ETF | UFO | 宇宙をテーマにした世界初のETF | ☆☆ |
ARK Space Exploration & Innovation ETF | ARKX | 宇宙探査と革新をテーマにしたETF | ☆☆ |
宇宙をテーマにした Procure Space ETF (UFO) とは?
老舗の宇宙航空関連企業
Maxar Technologies | MAXR | 観測衛星の世界的なリーディングカンパニー | ☆☆☆☆ |
Viasat | VSAT | 衛星通信 | ? |
Iridium Communications | IRDM | 衛星電話、衛星インターネット | ? |
Aerojet Rocketdyne Holdings | AJRD | 宇宙、防衛、民間向けのロケット、 | ? |
Boeing | BA | 航空宇宙機器開発製造 | ☆☆☆ |
Lockheed Martin | LMT | 航空機・宇宙船の開発製造 | ☆☆☆ |
Northrop Grumman | NOC | 戦闘機・軍用輸送機・人工衛星・ミサイル・軍艦などを製造している軍需メーカー | ☆☆☆ |
L3 Harris | LHX | テクノロジー企業、防衛請負業者、情報技術サービスプロバイダ | ☆☆☆ |
気候変動対策のための衛星の増加
宇宙産業は今、様々な観点から注目を集めています。2021年にグラスゴーで開催された COP26 では、気候変動に関して宇宙がどのように貢献できるかを考えるプログラム、セッションなども行われました。例えば Planet という観測衛星のデータ会社では、24時間365日地球をモニタリングし、観測しデータを何年にも渡り集めています。
スペースデブリの管理に取り組む
2021年11月に、ロシアが自国の衛星に対して対衛星ミサイル実験を行い、自国の人工衛星の1つを爆破した。このような行為が、スペースデブリ (宇宙ごみ) を発生させ、宇宙で働く宇宙飛行士を危険に晒し、これからの宇宙開発を遅らせる危険かつ無責任な行為です。このような軌道上のデブリを減らすために宇宙企業同士が提携するケースも増えています。
宇宙バブル?
コロナ禍の2020年以降、多くの宇宙ベンチャーが SPAC 上場をしました。その中には Spire (衛星観測) のように上場後に WSB (WallStreetBets) におもちゃのように買い上げられ、様々な要因でトレンドが終了すると10ドル以下となり、meme 株のような有様になり下がってしまう銘柄もあります。
それには当初 S-1 で報告していた業績の下方修正や、スケジュールの遅延などにより売られてしまっているケースが多いです。BlackSky も同様に、下方修正に次ぐ下方修正で株価を落としています。
2021年11月〜2022年2月中旬、年金利上昇局面の株価の推移
2021年11月下旬以降、金利の上昇を受け多くのハイパーグロース株、SPAC株などが売られる局面を迎えました。Spire、BlackSky などの観測衛星企業の株価は半分から更に半分になるなど、厳しい戦いを強いられています。
ロシアがウクライナに侵略したことで変化
2022年2月24日に、ロシアがウクライナに侵略したことで相場にも少し変化が見られています。一旦悪材料出尽くしか?という大方の見方からナスダックが遂に反発、ピュアプレイの宇宙株、Space Spac の中でも有望な Rocket Lab (RKLB)、Arqit Quantum (ARQQ) は反発し、Spac Spac の中でも堅実な Planet (PL) なども底打ちしたような感じがしました。
そして注目すべきは、2022年2月26日に、ウクライナの副首相ミハイロ・フェドロフ氏が、イーロンマスクに Twitter で呼びかけたことで、SpaceX の Starlink (スターリンク) がウクライナで始動したというニュースです。これにより、ようやく宇宙株に物色が入るかもしれません。
宇宙銘柄的には、宇宙愛好家の Space Case さんが紹介しているように観測衛星企業だと思います。期待値が高い順ですと、地球観測市場における世界的なリーダー Maxar (MAXE)、地球観測衛星の Planet (PL)、観測衛星ソリューションで米国陸軍、国家偵察局などを顧客に持つ BlackSky (BKSY) などです。
Space is going to change the world and so many people don’t get it yet
Easy to forget
But talking w/ friends tonight abt Ukraine
I mentioned that companies like $MARX $PL $BKSY would be key in supporting intelligence efforts
They’d never heard of those them
😮
We are early
— Space Case (🛰,📈) (@spacecasemartin) February 27, 2022
宇宙は世界を変えるのに、まだ多くの人がそれを理解していません。
忘れがちなこと
しかし、今夜は友人とウクライナについて話していた。
$MAXR $PL $BKSY のような企業が諜報活動を支援する上で重要であると述べた。
彼らはそのような名前を聞いたことがありませんでした。
😮
我々は早いもの勝ちだ