最近の市場の混乱は、投資の好機となるのでしょうか?私たちはそう考えていますが、それは従来のリーダー企業ではありません。
モルガン・スタンレーのウェルス・マネジメントの最高投資責任者(CIO)であるリサ・シャレットが、投資機会がどこにあるかを説明し、3つの具体的な分野を強調しています。
市場のテーマ
2025年が始まって約10週間、市場はすでに多くの変動を見せています。市場のテーマは、FRBの利下げ期待や生成AIの成長から、景気過熱とインフレの懸念へ、そして今はワシントンの急速な政策変更によるスタグフレーションの懸念へと移っています。
このような状況では、単純に「押し目買い」を推奨することはできませんが、経済のソフトランディングをベースケースとする中で、いくつかの投資機会が見えてきています。
投資の3つのポイント
① シクリカル株の下落と金融セクターの価値
最近、景気循環株(シクリカル株)がディフェンシブ株に対して大きく劣後 しています。自動車や素材産業の不安要素は理解できますが、金融株が過剰に売られている ように見えます。
金融セクターは2025年に利益成長が予測され、割安なバリュエーション となっており、魅力的な投資機会が生まれています。さらに、ワシントンの規制緩和の流れを考慮すると、金融業界はその恩恵を最も受ける可能性があります。
すでにM&A活動の復活、商業・産業向け融資の増加、コスト削減と生産性向上による純金利マージンの改善 が見られます。
② 長期債の買われすぎ
最近、株式の売りと同時に米国債が買われ、10年債利回りは4.3%近くまで低下 しました。しかし、その一部は「タームプレミアム」の縮小によるものです。
現在の政策の不透明性を考えると、タームプレミアムが低下し続けるとは考えにくく、過去30年間で最も警戒が必要な状況です。
ワシントンの急速な政策変更や、米国の財政赤字の拡大が懸念される中で、長期債は割高になっている可能性があり、一部利益確定の機会と考えられます。
③ 米ドルの弱体化と海外市場の魅力
最近、米ドルが弱含んでいる一方で、海外市場にはポジティブな要素が増えています。
– 欧州では財政改革が進み、支出と投資が加速する可能性
– 中国では新たな景気刺激策が浮上
これらの変化により、米国以外の市場へ分散投資する戦略が有効になってきています。
市場の変化にどう対応すべきか?
投資家の中には、「選挙以降、市場はあまり動いていない」と考える人もいるかもしれません。しかし、FRBの政策変更、”マグニフィセント・セブン” の支配力低下、トランプ再選の可能性など、市場環境は確実に変化しています。
現在、多くの投資家が今が買い場なのかを見極めようとしています。答えは「イエス」ですが、以前のリーダー銘柄に戻るのではなく、新たなリーダーを見つけることが重要です。
今後の戦略としては、以下の3つが有効です。
1. 金融株や国内製造業(特に中型インダストリアル)などのシクリカル株を追加
2. 米国以外の市場に分散投資(新興市場、日本、特定の欧州市場)
3. 長期債の一部を売却し、資金を他の資産に振り向ける
市場の変動が大きい今こそ、慎重ながらも機会を活かす投資戦略が重要です。