2022年12月の雇用統計、CPI である程度決定的となりそうですが、金利が天井を打ち2023年にかけて米国はリセッションを迎え、相場のサイクルも逆業績相場となるのであれば、いよいよ新しい相場 (相場の一階部分) への期待が膨らみます。そこで2022年のドル高で手を出せなかった円資産を為替を見ながら現物に変えていきたいと思っています。
今考えているのは、投資信託で、例えばVTI「楽天・全米株式インデックス・ファンド」やVT「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」のようなコアとなる投資信託を円で買い、投資信託では変えない、新興国 (中国/台湾の比率が低い)、ブロンティア・マーケット部分をETFで購入しようと考えています。
ドルでETFを買うのと、円建てで投資信託を買うのでは、若干の違いがありますが、例えばETFはザラ場中に売買できますが、投資信託は売買に少し時間がかかります。しかし、長期投資という手法であれば、ETFも投資信託も成果としては同じパフォーマンスが出ますので、今回は為替の影響 (ドル高) なども考慮し、円建ての投資信託で十分だと判断しました。
新興国/ブロンティア・マーケットのETFを今すぐには買えない理由として、行き過ぎたドル円、為替がもう少し落ち行くまでは様子を見つつ、来年以降早いタイミングで数回に分けて考えていこうと思います。それでは、2023年以降の長期投資用のポートフォリオについてご紹介します。
コアは「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」
まず長期投資のコアとなる部分、すなわち β (ベータ) は今回割安だと考えられる VT こと「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」を考えています。これまでは VTI こと「楽天・全米株式インデックス・ファンド」を積み立てていましたが、投資の10年間の大きなテーマ的に、GAFA、FAANGs などの大型ハイテク株が今後もアウトパフォームするか?というと、既に旬は過ぎてしまっており、今後も成長が見込めるか?というと以下の記事のように投資テーマの転換点にあると思います。
2022年は為替の影響もあり、新興国株が叩き売られましたので、為替が大きく動くのであれば、米株よりも割安に放置されています新興国株に妙味が出てくると思います。
今後 GAFA などのハイテク株の上値が重く、リセッション到来で米株も上がりにくい相場になった場合、VTI こと「楽天・全米株式インデックス・ファンド」など GAFA の比率が多い銘柄よりも、VT のような割安に放置されており世界に投資するETFの方がアウトパフォームしやすいかもしれません。VT こと「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」には、中国、台湾も含まれていますが、数%程度ですのでノイズ程度かと思います。(楽天証券ではない場合は同様の「eMAXIS Slim 全世界株式 (オール・カントリー)」でも同一のパフォーマンスです、こちらの方が純資産総額、信託報酬が安いという特徴もあり、総合的にはこちらの方がおすすめです)
日本の投資信託の新興国株 (例えば eMAXIS Slim 新興国株式インデックス) は半分くらいの比率で中国、台湾が含まれていますので、地政学的なリスクを考慮すると長期では持ちにくいのではないか?と考えます。
Bank of America や有名な投資銀行などは、以下のように中国株に強気ですが、デッドキャットバウンス狙いだと思います。
中国株のロング…. COVID 再開は米国/EAFEの株式にとって非常に強気であり、中国の「過剰貯蓄」は高く、中国株は依然として逆張りロングトレードである。
テイルリスクである中国による台湾侵攻や、中国が進めるゼロコロナ政策によるサプライチューンの混乱、国内経済の停滞が続くのではないか?と予想されます。
サブは新興国、フロンティア・マーケットのETFを購入
モルガン・スタンレーは、「新興国市場を検討する3つの理由」という新しい記事で、2023年戦略展望から得られる重要なポイントとして、過去数回の経済サイクルでは、新興国市場が米国市場より先に回復していることを指摘しています。
・米ドルは2022年にピークを迎え、2023年にかけて下落する
・新興国株式と日本株式は、2桁のリターンを達成する可能性がある
をあげており、新興国市場の潮目が変わる可能性があるとアジア・新興国株式戦略のチーフ、ジョナサン・ガーナー氏は述べています。
バリュエーションは明らかに割安で、世界のインフレが予想以上に早く緩和され、FRBが利上げを中止し、米ドルが下落するにつれ、循環的な風向きが新興国市場に有利になりつつあります。
つまり、ドルがピークを打ったのであれば、新興国に資金が戻ってくることが予想され、米株よりも新興国/フロンティア・マーケットを見渡すと割安ということです。
このようなことから長期投資のサブ枠としては、新興国/フロンティア・マーケットのETFに妙味がありそうです。投資信託で新興国/フロンティア・マーケットに投資する商品を探すと、eMAXIS などの人気シリーズでは、中国、台湾比率の多い商品しかありません。しかし一部の新興国なら投資信託でもETFと似たような商品がありそうです。
フロンティア市場に投資できる投資信託は少ない
例えばベトナムETFに似た投資信託として「ベトナム成長株インカムファンド」というのがあります。いくつかベトナムに投資できる投資信託がありますが、純資産と信託報酬の面から「ベトナム成長株インカムファンド」という商品が一番手堅そうです。
他にもメキシコ、フィリピン、イスラエルに投資できる投資信託もありますが、残念ながら、ポーランド、コロンビアに投資できる投資信託はないようです。
台湾のテイルリスク
台湾に関しては、ほぼ半導体の Taiwan Semiconductor Manufacturing Company (TSM) が占めており、半導体のスーパーサイクルは終わってしまったため、今から買える感じはしないのですが、バフェットが2022年第三四半期に TSM を取得していますので、2022年のオキシデンシャル・ペトロリウム (OXY) の大量取得のように、個人投資家には見えない α 部分が見えているのでしょうか?
新興国/フロンティア市場のETFを購入
新興国、フロンティア・マーケットへの投資については、ETFを選択します。ちなみに現在手持ちのドルでは、ポーランドETF「Ishares Msci Poland ETF (EPOL)」、ベトナムETF「VanEck Vietnam ETF (VNM)」を購入しています。
ポーランドはロシアによるウクライナ侵略の影響で、ウクライナから国民が流入しており、その影響で経済は良い意味でインフレ傾向にあるといいます。EPOL には、同国の銀行、国営石油会社などに加えて、ワルシャワに拠点を置くビデオゲーム開発企業、最近では「サイバーパンク」などのタイトルで有名な CD Projekt、食料品店の小売チェーン Dino Polska、多国籍衣料品小売業者 LPP S.A. などが上位銘柄として含まれいます。
ベトナムETF「VanEck Vietnam ETF (VNM)」は、FRBの積極的な利上げの影響によって、ベトナムの不動産セクターで焦付きが起きておりベトナム株式が低迷していますが、FRBの利上げの終わりが近いのであれば、ここから持ち直してくるのではないかと思います。
既に手持ちのドルは短期銘柄に突っ込んでしまっているため、円でドル資産を買う分については、もう少し為替の動きを見てからフロンティア・マーケットに投資するETF「iShares MSCI Frontier and Select EM ETF (FM)」の購入を考えています。政治が安定するなら割安水準にある南米コロンビアETF (GXG) なども面白いのではないかと考えています。
2023年以降のポートフォリオ
まとめますと、これまで好調だった米国のリセッション、中国の停滞、FRBの利上げによってドル高になった影響で、それ以外の新興国やフロンティア・マーケットが割安に放置されており、今後の為替の動向によっては、歴史的な投資テーマのサイクル的にも、新興国/フロンティア・マーケットのターンが来るのではないかと予想されます。
このことから2023年以降のポートフォリオは、全米ではなく全世界の方が割安であるということから、投資信託「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」をコアとして持ち、サブの投資枠では新興国/フロンティア・マーケットに投資するETF「iShares MSCI Frontier and Select EM ETF (FM)」への投資を考えています。
2023年1月現在の保有銘柄、購入する銘柄をご紹介します。
<長期投資枠>
・eMAXIS Slim 全世界株式 (オール・カントリー)
「つみたてNISA」枠で、年初から数回に分けてまとまった額でスポット購入をします。以後もこちらを積立予定です。
・ベトナム成長株インカムファンド (少額)
22年の12月に中国比率の多い新興国のインデックスファンドを売却した資金で乗換えました。為替の関係でドル資産が買いづらかったため、こちらを購入しただけですので深い意味はありません。
・FM (フロンティマーケットのETF)
・VNM (ベトナムのETF)
・EPOL (ポーランドのETF)
新興国、フロンティアマーケットETFへの投資期間は、3年〜5年くらいのスパンで考えています。ガチホではないので注意が必要です。