株価がいきなり下げに転じ長めな下げ相場となった時、また大きな下げの局面を迎えた場合に iDeCo (確定拠出年金) の運用はどのようにするのがベストなのでしょうか?新型コロナウイルスの影響で、リーマンショック以来となる大きな下げ相場を迎えている現在 (2020.2.29)、改めてそういったシーンはどう対処するべきなのかを考えみましょう。
まず私は SBI 証券で iDeCo を運用し4年くらいが経ちます。丁度オバマ政権からトランプに移行したトランポリン相場の恩恵を受け、損益率は非常に好調に推移しておりました。2019年後半以降、かなり実態経済から離れた上げ相場でどこまで上げるかという感じでしたが、遂にコロナの世界的なパンデミックにより下げに転じ、2020年2月28日現在12%近い調整となりました。
単刀直入に答えを
コロナウイルスの世界的な感染拡大と共に、2/24 (月) 〜 2/28 (金) の相場は一転下げに転じ、この間一部の iDeCo 投資家の間では損失が広がる前に安全資産へスイッチングが叫ばれました。例えばあなたが全力で投資信託を積立ていたとしたら、損失が出る前に定期預金にスイッチングすることを指します。しかしほとんどのケースでは、”そのままにしておく“、市場に居続けることが長期投資家にとって最も重要なポイントになります。(一つ付け加えるとすると、iDeCo の出口戦略が近いという方は安全資産へのスイッチングが望ましいというケースもあると思います)
iDeCo の特性を思い出す
まず iDeCo の特性を思い出し初心に帰りましょう。そう、iDeCo は原則60歳まで引き出すことができず、あなたの運用がこの後も数十年も続くのであれば、今回の下げもいつかは解消されます。現に2008年のリーマンショックでは4年7ヶ月という時間をかけて元通りになっています。
下げ相場ではどうしても、目の前の損失に気を取られてしまい安全資産にスイッチングをしたくなるものです。しかし目先の損失に気を取られ、損切りしてしまうと今後の相場で回復した時にその恩恵を受けることができません。もし相場の天井と底が分かるというのであれば、天井で安全資産にスイッチング、底で投資信託にスイッチングすることができれば投資を最適化できますが至難の技です。
数%の元本割れとなってしまっても数年後〜には回復することを見込んで腰を据えて運用することが iDeCo には求められます。株価が下がっているからと焦って損失確定してしまうのは、そもそも iDeCo の投資スタイルとはかけ離れているのです。上記のように iDeCo の特性を思い出し、長い目で市場を捉え場当たり的な損切りは避けたい所です。人の心理はどうしても、毎月コツコツと積立てきた自分の資産が目減りしてしまうことは非常に耐え難いものです。しかしそこは2次的な思考を巡らせ、資本主義経済とは長期的には右肩上がりである、というような流れにコミットする必要があるのです。
iDeCo の賢い投資戦略
ちなみに iDeCo の最も賢い投資戦力では、スイッチングは大変有効な武器になります。前提として、もしあなたが相場を読めるのであれば、上げ相場では<定期預金>に積立ておき、相場が下げてきた局面で<定期預金>をスポット買いの要領で、<投資信託>にスイッチングすることで投資効果を最大限に発揮することができます。相場を読むにはある程度の経験値や、研究が必要だと思いますので万人に勧めるものではありません。
スイッチングする際の注意点
スイッチングには注意しておきたい点が数点あります。
・スイッチングには時間がかかる
例えば<投資信託>から→<定期預金>にスイッチングする場合
この場合2日間の日数がかかります。営業日にスイッチングを行っても、次の日が価格の決定日となるので、もしその日に大きな価格変動が起これば不利になる可能性もあるのです。
続いて<定期預金>から→<投資信託>にスイッチングする場合
このケースだと定期預金を売却し、投資信託を購入するまでに5日間という日数がかかるので注意が必要です。<定期預金の販売> → 価格決定 (ここまで3日間) → <投資信託の購入> → 価格決定 (ここまで5日間) → <スイッチング完了> と合計5日間を要します。下げ相場だと思って定期預金を全力で投資信託にスイッチングしたところ、思わぬ上昇をくらい予想よりも高く買ってしまう何てことも起こり得るのです。
こういった事も考慮し、スイッチングを行う際は一気に全額スイッチングしても大丈夫か?何回かに分けて日をずらしてスイッチングした方が良いのか?など、スイッチングのタイミングや口数も考慮しましょう。
コロナ相場での最適解は?
コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、影響がかなり長期化することが織り込まれてしまいました。今後考慮しないといけないのことを以下にピックアップします。
・実態経済は今はましでも、段々と後退しいく
・スペイン風邪のように第二波が警戒されている
・FRB など中央銀行によるジャブジャブな資金供給が大きなバブルを生む可能性
・ヨーロッパで成り立たなくなる国が出てくる
など上げるときりがありませんが、一つ言えることはナンピン買いの繰り返しは危険でしょう。一部の有識者は、コロナが世界的にパンデミックを迎える大分前の2月中旬に一旦株を手仕舞いしていると言います。私も含め iDeCo でインデックス全力買いしている個人投資家はガチホールドしつつ、これから状況を鑑みてコツコツ積立投資を行っていくことが重要でしょう。一例として、個人投資家で今の相場でも損益がマイナスになっていない方のほとんどが、2008年リーマンブラザーズ破綻の時にコツコツと積立投資を続けて来た人だということは覚えておきましょう。
コロナ相場による懸念材料
壮絶なバブルが来る気がします。 https://t.co/D2CqGlozDf
— エミン ユルマズ (JACK) (@yurumazu) March 16, 2020