株価の未来を予想する、炭鉱のカナリアとして知られるハイイールド債 (iShares iBoxx $ High Yield Corporate Bond ETF / ティッカー: HYG) についてご紹介します。
「炭鉱のカナリア」とは、リスクをいち早く知らせてくれる指標となるものを指します。そしてこのハイイールド債またの名をジャンク債ETF (HYG) の値動きは、株価指数の変動にも先行して動くことがあることが知られています。リスクの高い債券のハイイールド債の値動きを見ておくことで、株価の未来予想をすることができます。
その背景にはジャンク債として知られるハイイールド債券の性質にあります。
ハイイールド債 (HYG) とは?
資産運用会社が恐怖を感じ、リスクを避けるようになったとき、最初に調べるのはハイイールド債券市場、いわゆる「ジャンク債市場」です。これは、アメリカの最も負債を抱えた低格付けの企業が取引される金融市場の一分野です。ジャンク債とは、財務的に苦しく、債務不履行や利払い不能のリスクが高い企業が発行する債券のことで、非常にリスキーな商品です。
ハイイールド債 (HYG) の流出は株価の大きな下落局面において、様々な株式市場のニュース媒体で「ハイイールド債券は炭鉱のカナリアか?」、「ジャンク債ETFの流出、これは炭鉱のカナリアか?」というような見出しの記事が並びます。
近年ではコロナで始まった金融相場の終焉を決定付けた、2022年1月上旬を機にハイイールド債 (HYG) は高値から下落に転じています。
同じ頃、ハイテク株の指数ナスダックはどうだったか?というと、ナスダックは2021年11月の下旬に天井を付け、ハイイールド債 (HYG) が下落に転じた2022年の1月上旬を機に下落に転じています。
2022年を振り返ると、金融相場の最後の逃げ場が2022年1月だったことが分かります。
2022年のベアマーケット・ラリーを知らせる、ハイイールド債 (HYG) の値動き
2022年のベアマーケットにおいても、6月下旬〜7月上旬にハイイールド債 (HYG) は底値を入れて上昇を開始しました。この動きに連動するようにダウやナスダックなどの指数は底値から大きく上昇を開始しました。年初来やられっぱなしのナスダックは6月の底値から20%以上の上昇を記録しました。
この時株価は、負の材料出尽くし、金利低下とアノマリー的なサマーラリーで一気に上昇トレンドに入りました。8月はFOMCがないことも影響しているような気がします。
ベアマーケット・ラリーの終焉でも HYG がシグナル
ベアマーケットのラリーも天井に近づくと、先行指標とされるハイイールド債 (HYG) は8月2日にTDシーケンシャル “9” にて既に天井圏を示唆している可能性があります。それから遅れること8月8日 S&P500 はTDシーケンシャル “9” にて同様のサインを検知しています。
これにてベアマーケットラリーが終わり、再び株価は下値を転げ落ちるのか見ものですね。
このようにハイイールド債 (HYG) の値動きからも指数株価の値動きを先行して占うことができるのです。ハイイールド債 (HYG)、ジャンク債ETFが下落に転じるようなニュースが出たら十分に気をつけるようにリスク管理を行いましょう。