オークツリー・キャピタルのハワード・マークス氏は、著書の『投資で一番大切な20の教え 賢い投資家になるための隠れた常識』で、株式市場で掘り出し物 = バーゲンを見つける時の洞察について次のように述べています。
バーゲンの発見
適正価格の資産は私たちの目的ではありません。なぜなら、それらはリスクに見合った公正なリターンを提供するに過ぎないと結論づけるのが合理的だからです。
もちろん、過剰評価された資産は私たちに何の益ももたらしません。私たちの目標は、過小評価された資産を見つけることです。それらをどこで探すべきでしょうか?良い出発点は、次のようなものです。
・あまり知られておらず、完全には理解されていないもの
情報の非対称性が存在する場所では、知識を持つ者が優位に立てます。
・表面上、基本的に疑問のあるもの
第一印象で判断されがちな資産も、深く掘り下げることで本質的な価値が見えてくることがあります。
・論争の的となっている、不快な、または恐ろしいもの
不安や恐怖が過剰に反映された資産は、実際のリスクとリターンのギャップを生む可能性があります。
・「尊敬される」ポートフォリオには不適当と見なされるもの
一般的な基準に合わないからといって、必ずしも価値がないわけではありません。
・未評価、不人気、愛されていないもの
これらの資産は市場からの注目が少なく、その分価格が低く抑えられる傾向にあります。
・過去のリターンが悪いもの
過去のパフォーマンスが将来のパフォーマンスを決定するわけではありません。むしろ、過去の低パフォーマンスは改善の余地を示すことがあります。
・最近、売却の対象となっているもの
売却は必ずしも価値の低下を意味するものではなく、むしろ買い手にとっての好機を示すことがあります。
要するに、バーゲンが存在するための必要条件は、”認識 (perception)” が実際よりもかなり悪いことであると言えます。それはつまり、最高の機会は通常、他の多くの人がやらないことの中にあるということです。
結局のところ、誰もが何かについて良い気持ちを持ち、喜んで参加するものは、バーゲン価格ではないのです。
真の価値とは?
投資において、真の価値を見出すことは簡単ではありません。市場は常に情報に基づいて動いており、その情報がもたらす影響はしばしば過大評価されたり過小評価されたりします。私たちが目指すべきは、その中で見落とされがちな「バーゲン」を見つけることです。
多くの投資家は、確実性を求め、リスクを避ける傾向にあります。これは人間の本能として理解できますが、それが結果として市場の非効率性を生むのです。これらの資産を見つけるには、市場のノイズに惑わされず、本質的な価値に注目することが重要です。
他の投資家が恐れて避けるものこそ、私たちが冷静に分析し、評価するべきなのです。市場の真の価値を見極めるためには、確固たる信念と徹底的なリサーチが必要ですが、その先にあるリターンは計り知れません。
投資における成功は、常に他の人々が見落としている価値を見つけることにあります。そして、それは往々にして、多くの人が避けたがるところに隠されているものなのです。
過去の例として、2008年の金融危機後の金融株や、2020年のコロナ禍初期に売り込まれたコンテナ船などの船株、旅行関連株が該当します。これらはその後大きな回復を見せました。