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高金利環境では、投資戦略の再評価が求められる

高金利環境では、投資戦略の再評価が求められる

債券の価格は金利と反対に動くため、金利が上昇すると債券の価格は下落します。したがって、将来的に金利が大幅に上昇すると予想している場合、現在長期債を購入することはリスクが高いと言えます。

もしここから、70年代〜80年代のようなインフレ第二弾が起こるとすれば、金利は更に上昇することが予想されます。また、私たちの社会という世界は、グローバリゼーションの終焉 (ブロック経済へ)、先進国の人口の高齢化などを迎えており、これらの要素が金利に影響を及ぼすような時期に差し掛かっています。

高金利 & インフレの時代

本サイトでも何度も言及しているように、正に高金利&高インフレの時代に突入しています。

低金利から高金利の時代へ、株式市場はどうなるのか?

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1970年代と1980年代には、オイルショックが2回発生し、それが原因でインフレが急速に上昇しました。これに対応するため、FRBは金利を大幅に引き上げました。

1973年の第一次オイルショックと1979年の第二次オイルショックは、世界経済に大きな影響を与えました。これらのオイルショックは、原油価格の急激な上昇を引き起こし、それがインフレを引き起こしました。

このインフレに対抗するために、FRBは金利を引き上げる政策を採りました。その結果、金利は10%を大幅に超え、一時は20%近くまで上昇しました。この高金利政策は、経済の冷却とインフレ抑制を目指していましたが、同時に経済活動を抑制し、一部では深刻な不況を引き起こしました。

国債のリターンには非対称性がある

国債のリターンには非対称性が存在します。金利が0%付近になると、国債の価格は上昇の限界に達しますが、金利が上昇すると、国債の価格は理論的には無限に下落します。

これは、金利が下がるときの国債価格の上昇幅が限られているのに対し、金利が上昇するときの国債価格の下落幅には上限がないためです。

この非対称性は、特に長期債に投資する際には重要なリスクとなります。長期債は短期債よりも金利の変動に敏感で、金利が上昇すると価格の下落が大きくなります。

以上のことから、金利が将来的に上昇すると予想している場合、長期債の購入は大きなリスクを伴います。

FRBが利下げに転じるのなら

金利が再び幾分か下がるとすれば、米国経済がリセッションを起こし、FRBが利下げに転じる局面が来るのであれば、金利の下げる余地はあると思いますので、国債をスイングするようなトレードも考えられます。

しかし2023年8月現在、米国経済は底堅く堅調に推移していることから、FRBの利下げは遠のいています。現在長期の米国債を買う理由は見当たらなく、リスクでしかないでしょう。

景気後退があろうがなかろうが、金利が長期的に上昇する可能性の方が、目先の金利引き下げの可能性よりもはるかに大きいと推測する。

長期債は金利の動向に敏感に反応する

特に、長期債券は金利の変動に対して非常に敏感で、金利がわずかに変動するだけで価格が大きく変動することがあります。一部の個人投資家に売買されている TMF については、もし持っているという人がいれば、一時的にどこかで逃げるチャンスがあるかもしれません。

しかし金利が今後も長期的なサイクルとして上昇する可能性を考慮すると、長期債への投資は「死金」or「損失を被る」可能性の方が高いのではないかと思います。素直に高金利環境でもワークする株式に行った方が良いでしょう。

金利はまだ上がる?

金利は経済の状況によって変動します。経済が成長し、インフレが上昇すると、FRBはしばしば金利を引き上げてインフレを抑制します。逆に、経済が減速し、インフレが低下すると、FRBは金利を引き下げて経済を刺激します。

現在の経済状況は、過去10年以上にわたる低金利環境からの脱却と、それに伴うインフレと金利の上昇局面にあります。これは、新型コロナウイルスのパンデミックが経済に与えた影響と、それに対するFRBによる前例のない大規模な財政支出と金融緩和が、経済の回復とともにインフレ圧力を高めています。

また2023年の初めはハードランディングや景気後退が囁かれていましたが、米経済は底堅く、景気後退がなければFRBも利下げすることはできず、まだ当分金利が高い局面が続くという訳です。

注意しなければいけないのが、今回の金利上昇は一時的なものではなく、数十年に続いた低金利の流れから高金利環境への、長期的なトレンドの変化となりうるということです。

それは過去の低金利環境の経済 (例えば、労働市場の緊張、供給チェーンの問題、持続的な財政支出など) と、現在の高金利環境の経済が全く異なっているように、インフレ圧力を持続させ、それに対応するために金利が上昇する可能性を示しています。

また、FRBの視点からしても、現在の株価が高い状況では、金利を引き下げる可能性は低いと考えられます。株価が高いことは、経済が過熱していることを示しており、それに対応するためにはFRBは金利を引き上げる必要に迫れるからです。

債券市場のサイクルは何十年も続く傾向がある

株式に比べて、債券利回りの動きを予測するのは非常に難しい。とはいえ、歴史的にわかっていることもある。債券市場のサイクルは何十年も続く傾向があるということです。

株式市場のサイクル (強気相場、弱気相場) が平均10年、長くて20年程度であるのに対し、債券市場のサイクルは30年〜60年程度続く傾向があります。

私たちは40年にわたる債券の強気相場から抜け出し、利回りはますます低下している。かつて PIMCO を経営していたビル・グロスや、ジム・グラントのような非常に有名な人たちは、時折、債券市場は谷に達しており、これから利回りが上昇すると言う。

しかし、振り返ってみると、彼らは2002年、2003年、2011年、2012年あたりにもこのような発言をしている。つまり、どんなに優れたコメンテーターでも、予測するのは難しいということだ。

しかし債券サイクルの転換点に達したと、ある程度の確信を持って言えると思う。したがって、債券利回りは一貫して上昇するわけではないが、今後30年間は上昇傾向にあると予想できる。

高金利環境では、投資戦略の再評価が求められる

このように金利の上昇は、投資環境を大きく変え、投資家が自身の投資戦略を再評価することが求められるかもしれません。金利が低い時代には、投資家はリスク資産に投資することで高いリターンを追求することができましたが、既にそれは過去の話になりつつあります。

金利が上昇すると、リスク資産への投資はリスクは増大します。今迎えている “高金利環境” では、この新たな金利環境に適応し、リスクを適切に管理しながらリターンを追求する能力が、投資家のパフォーマンスを左右することになります。

そのには、投資家が金利リスクを理解し、そのリスクを適切に管理するための戦略を持っていなければいけません。