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【CCIR】ウクライナの主要なモバイル通信事業者 Kyivstar が SPAC 上場

【CCIR】ウクライナの主要なモバイル通信事業者 Kyivstar が SPAC 上場

かなり久しぶりに注目の SPAC 銘柄について詳しくご紹介したいと思います。Cohen Circle Acquisition Corp. I(CCIR)は、2024年10月11日に設立された特別買収目的会社(SPAC)で、金融サービス技術やフィンテック関連分野への投資を目的としています。

設立者である Betsy Z. Cohen (ベッツィー・Z・コーエン) 氏は、SPAC 業界で豊富な経験を持つベテランです。2025年1月13日、CCIR はアラブ首長国連邦ドバイに本社を置く多国籍デジタルオペレーター VEON の子会社であり、ウクライナの主要なモバイル通信事業者 Kyivstar (キエフスター) との非拘束的な意向表明書(LOI)を締結しました。

Kyivstar とは?

Kyivstar はウクライナのモバイル市場で約50%のシェアを持ち、戦時中でも5億ドルのEBITDAを計上しています。

この取引が成立すれば、Kyivstar は米国市場に上場する初のウクライナ企業となり、ウクライナの復興と成長に直接投資する手段として注目を集める可能性があります。

マージの時期は?

Cohen Circle Acquisition Corp. I(CCIR)は、2025年第2四半期までにウクライナの主要通信事業者である Kyivstar との正式な合併契約を締結する予定です。

この合併により、Kyivstar は米国のナスダック市場に上場し、VEON は新たに上場する企業の80%以上の株式を保持する見込みです。現在、VEON はこの取引を円滑に進めるため、2025年3月までに事前の組織再編を完了する計画です。

さらに、VEON は2023年から2027年にかけて、ウクライナのデジタルインフラ再建のために10億ドルの投資をコミットしています。この投資は、エネルギーの回復力強化や4Gカバレッジの拡大、デジタルサービスの開発など、ウクライナの通信インフラの強化を目的としています。

VEON は、ウクライナ市場における Kyivstar を通じて、同国のデジタルインフラの再建と経済復興に積極的に貢献しています。

VEON とは?

VEON は、アラブ首長国連邦ドバイに本社を置く多国籍デジタルオペレーターで、アジアやヨーロッパの6つの市場で約1億6,000万人の顧客にモバイル通信やデジタルサービスを提供しています。

同社は1992年にロシアで設立され、当初は VimpelCom として知られていましたが、2017年に現在の名称に変更しました。現在、VEON はバングラデシュ、カザフスタン、キルギスタン、パキスタン、ウクライナ、ウズベキスタンで事業を展開しています。

ウクライナにおいて、VEON は主要なモバイル通信事業者である Kyivstar の100%親会社です。Kyivstar は27年以上にわたりウクライナで事業を展開し、同国の通信セクターで最大の納税者であり、優れた雇用主としても知られています。

CCIR のカタリスト

・強固なターゲット企業のファンダメンタルズ
キエフスターはウクライナの携帯電話市場で約50%のシェアを占め、戦時中にも5億ドルの EBITDA を計上しています。これは、同社の事業が強固で、状況が安定すれば将来的に業績が向上する可能性が高いことを示唆しています。

・ウクライナ唯一の米国上場企業
この取引が成立すれば、Kyivstar はウクライナの復興と成長に直接的に関わる唯一の米国上場投資手段となります。和平交渉が進展すれば、ウクライナの戦後復興に投資しようとする投資家の関心を集める可能性がある。

・SPAC のベテラン、ベッツィ・コーエンの評判
多くの SPAC スポンサーとは異なり、ベッツィ・コーエン氏には確かな実績があり、この取引の信頼性を高めている。

ファンドのポジション

2024年Q4に、Magnetar Financial、Ramya Rao、Goldman Sachs、AQR Capital Management、Healthcare of Ontario Pension Plan という5つのファンドが新規で購入しています。

センチメント

・短期的な推進要因
ウクライナに関する取引の確定と投資家のセンチメントの変化に注目する。

・上場後の成長
キエフスターの上場が成功すれば、その財務状況と地政学的な展開がさらなる上昇の鍵となる。

・マクロ経済リスク
和平交渉、ウクライナへの欧米からの投資動向、Kyivstar に恩恵をもたらす可能性のあるインフラ支援に注目する。

リスク

CCIR は、特別買収目的会社(SPAC)として設立され、現在、ウクライナの主要通信事業者であるKyivstarとの合併を目指しています。SPACは、投資家から資金を調達し、特定の期間内に未公開企業との合併を通じて上場を目指す企業形態です。

この期間内に適切な買収先を見つけられない場合、SPACは解散し、投資家には信託口座に保管されている資金が返還されます。CCIR は現在、Kyivstar との合併に向けた非拘束的な意向表明書(LOI)を締結しており、正式な合併契約の締結を目指しています。

この段階では、投資家の資金は信託口座に保管されており、合併が完了するまで引き出されることはありません。したがって、合併が成立しない場合でも、投資家は信託口座に保管されている資金を受け取ることができ、リスクは比較的低く抑えられています。

ただし、合併が成立した場合、投資家は新たに上場する企業の株式を保有することになり、その後の株価変動や市場リスクにさらされる可能性があります。

特に、Kyivstar はウクライナで事業を展開しているため、地政学的リスクや経済状況の変化が投資に影響を与える可能性があります。したがって、投資判断を行う際には、これらのリスク要因を十分に考慮することが重要です。

日本の証券会社で買える?

2025年2月21日 (金) より、SBI証券で「CCIR」の取り扱いが開始されました。