ウォーレン・バフェット率いる Berkshire Hathaway (バークシャー・ハサウェイ) は、2024年第4四半期にS&P 500に連動するETF、「SPDR S&P 500 ETFトラスト(SPY)」と「バンガードS&P 500 ETF(VOO)」の保有を全て売却しました。
🚨 BREAKING:
Berkshire Hathaway just reported new trades
Exits: $VOO, $SPY, $ULTA
Reduces $C, $BAC, $NU, $CHTR, $LPX
Added: $DPZ, $VRSN, $SIRI, $POOL, $OXYBuffett bearish on the economy? pic.twitter.com/oXtsKF0Eqy
— Michael Burry Stock Tracker ♟ (@burrytracker) February 14, 2025
バフェットの S&P 500 ETF 売却で衝撃が広がる
これらのETFの合計保有額は約4,500万ドルと、バークシャーの総資産に比べるとごく一部です。バフェット氏は長年にわたり、個人投資家にはS&P 500に連動する低コストのインデックスファンドへの投資を推奨してきました。
しかし、バークシャー・ハサウェイ自体は、個別銘柄への投資を主とするアクティブ運用を行っています。そのため、これらのETFの売却は、バークシャーの投資戦略に沿ったポートフォリオの調整と考えられます。
具体的な売却理由は公表されていませんが、バークシャーは同時期に新規で国際的なアルコール飲料会社 Constellation Brands (コンステレーション・ブランズ / STZ) などの新規投資を行っており、資金の再配分や市場環境の変化に対応した可能性があります。
他にもバフェットらしい安定した多くの人が知っている底堅いビジネスの銘柄を買い増しています。
ポイント
今回のバークシャー・ハサウェイの S&P 500 ETF 売却のポイントは、バークシャー全体のポートフォリオとしては、SPY = 39,400株、VOO = 43,000株というのは個別に比べるとかなりスパイス程度の持分を売却した程度のことだと思います。
しかしオークツリー・キャピタルのハワード・マークス氏も述べている通り、マグニフィセント・セブンが多くを占めるS&P 500指数の現在の株価収益率(P/Eレシオ)が歴史的な平均を上回っています。
現在のS&P 500指数のP/Eレシオは約22倍であり、これは1988年以降のデータに基づくと上位10%に位置する高水準です。このような高いバリュエーションは、将来的なリターンの低下を示唆しており、投資家は注意が必要だとマークス氏は述べています。
以上のことを考えると、バフェットがS&P 500指数に連動するETFを売却したことは自然なことだと思います。
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投資家の声
一部のユーザーは、これらのETF保有分はバークシャーのポートフォリオの極めてわずかな部分を占めるに過ぎないとして、その重要性を軽視しています。
あるコメントでは、「バークシャーのポートフォリオの0.01%にしかならないと思います。それには何の意味があるのかよくわからない」とコメントしている。
バークシャーの豊富な資金力があれば、ETFへの投資よりも個別銘柄を直接保有する方が効率的ではないかという意見もある。あるユーザーは、「これだけの資金があるのに、なぜ SPY や VOO を保有する必要があるのか?そのレベルの株式を保有すればいいだけだ」と指摘している。
バークシャーがQ4に追加した銘柄
$BRK Berkshire's stock portfolio end of 2024. pic.twitter.com/QF1EeuJSO1
— App Economy Insights (@EconomyApp) February 18, 2025
Constellation Brands (コンステレーション・ブランズ / STZ)
バークシャーはQ4に新たにコンステレーション・ブランズへ投資しました。同社は、コロナやモデルロ・エスペシャルなどのビールブランドを保有するアルコール飲料メーカーであり、ワインブランドとしてはメイオミ、ロバート・モンダヴィ、キム・クロフォードなども展開しています。バークシャーは第4四半期に562万株、総額12億4,000万ドル相当のコンステレーション・ブランズ株を取得しました。
Domino’s Pizza (ドミノ・ピザ / DPZ)
世界最大級のピザチェーンであるドミノ・ピザは、デリバリーとテイクアウトサービスで知られています。バークシャー・ハサウェイは、この企業の成長性と収益性を評価した可能性があります。
VeriSign (ベリサイン / VRSN)
インターネットドメイン名の登録とインフラストラクチャサービスを提供するベリサインは、.com や .net などのトップレベルドメインの管理で知られています。同社の安定した収益基盤とインターネット業界での重要な役割を評価したかもしれません。
Sirius XM (シリウスXM / SIRI>
衛星ラジオ放送を提供するシリウスXMは、多様な音楽、スポーツ、ニュース、トーク番組を提供しています。バークシャー・ハサウェイは、同社の独自のコンテンツとサブスクリプションモデルに注目した可能性があります。
Pool Corporation (プール・コーポレーション / POOL)
プール関連製品の大手ディストリビューターであるプール・コーポレーションは、プール設備や関連アクセサリーの販売で市場をリードしています。住宅市場の成長とアウトドアレジャー需要の高まりに注目した可能性があります。
Occidental Petroleum (オキシデンタル・ペトロリアム / OXY)
エネルギー業界の大手であるオキシデンタル・ペトロリアムは、石油・ガスの探査・生産を手掛けています。バークシャー・ハサウェイは、オキシデンタル・ペトロリアムのポジションをずっと追加しています。
セクターローテーション : 金融機関から消費者関連企業へ
バフェット氏が金融機関から消費者関連企業へと再配分したことも注目されています。バンク・オブ・アメリカやシティグループなどの銀行の保有株の削減は、金融セクターの潜在的な課題についての議論を促しました。
ある個人投資家は、「バフェット氏は、金利の高騰により借入がより高価でリスクの高いものとなるため、銀行には今後問題が生じると見ている」と指摘しています。
一方で、ドミノ・ピザやプール・コーポレーションなどの企業への投資増加は、消費支出の回復力に対する信頼を示唆している。この戦略は、経済変動のなかでより安定していると認識されているセクターへの潜在的なシフトを示している。
2024年第4四半期、バークシャーは純売り越し
バフェット氏のバークシャー・ハサウェイは、現在の株式市場の高騰に対する慎重な姿勢を反映し、投資ポートフォリオの積極的な調整を行っている。2024年第4四半期には、バークシャーは純売り越しとなり、約60億ドルの株式を売却した。
2024年第4四半期は、金融セクターの削減し、消費者セクターへの自信を示した。一方でバークシャーは、Apple のポジションを維持しており、以前の削減にもかかわらず、3億株(約751億ドル相当)という大量の保有株を維持し、ポートフォリオ最大のポジションとなっている。
バークシャー、現金保有額は過去最高の3252億ドル
バークシャー・ハサウェイは、2024年に現金保有高を大幅に増加させました。6月末時点で2769億ドル、9月末には3252億ドルと、いずれも過去最高を更新しています。
この現金比率の増加は、同社が保有株式の一部を売却し、大型投資を控えていることが要因とされています。特に、Apple (アップル / AAPL) の保有を約半分に減らし、Bank of America (バンク・オブ・アメリカ / BAC) などの主要保有株の一部売却したことが現金増加に寄与しています。
ウォーレン・バフェット氏は、魅力的な投資機会が限られている現状を踏まえ、慎重な投資姿勢を維持しています。その結果、現金比率が高まっていると考えられます。
これらの動きは、バフェット氏の慎重な投資姿勢と、将来の投資機会に備える意図を示唆していると考えられます。
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ある投資家は、「バークシャーの現金保有高は、特にそれが過去最高水準にある場合、投資家にとって歴史的に良い警告のシグナルとなってきた」と強調しています。
また、多額の現金を維持することは、バークシャーが将来の投資機会を最大限に活用することを可能にし、バフェットの価値重視の哲学に沿うものであるということです。この見地では、現金の保有は市場悲観論ではなく、戦略的な柔軟性として捉えられています。
今回の動きに対する見解
アナリストらは、この動きについてさまざまな見解を示している。売却は、より高いリターンが期待できる個別銘柄やその他の投資機会に資本を再配分するというバークシャーの戦略に沿ったものであるという意見もある。
また、これはより広範な市場に対する慎重な見通しを反映したものであり、パッシブなインデックス投資からのシフトを促すものであるという見方もある。
投資家は、バークシャーの過去の業績と投資哲学を考慮し、これらの動向を注意深く監視しています。S&P 500 ETFからの撤退を戦略的な再編成と見る向きがある一方で、より広範な市場見通しに対する警戒のシグナルと解釈する人もいます。