こちらの記事は2023年1月に投稿されたもので、既に少し情報が古くなっています。そこで2024年2月現在新たに冒頭を加筆し、AIと市場と最新情報をお届けします。
AIが大手ハイテク企業の領域を超えて拡大してきた
これまでの経緯を辿ると、生成AIの大ブームにより、NVIDIA や Microsoft などのAI大本命に資金が流れ、続いて他のAI関連半導体 AMD や Broadcom、Supermicro、ARM → サイバーセキュリティ銘柄 → そしてデータ&アナリティクス界隈にも流れてきているように感じます。
つまり AI (人工知能) の恩恵を受けて、「AI半導体関連」→「セイバーセキュリティ」→「データ&アナリティクス」… という流れで、AIが大手ハイテク企業の領域を超えて拡大してきたことが明らかになってきています。
サイバーセキュリティを2024年の重要なテーマ
AIやハイテク分野に精通した、I/Oファンドのリード・テクノロジー・アナリストのベス・キンディグ氏は、サイバーセキュリティを2024年の重要なテーマになると予測しています。
データ&アナリティクス界隈にもAI恩恵が流れてきた?
続いて、機械学習モデルに不可欠なデータ・タイプの多様化に伴い、その将来的な重要性に疑いの余地はありません。23Q4の Confluent の決算を見ると、いよいよデータ界隈にも AI 恩恵が流れてきている可能性があります。似たような領域にいる Snowflake、MongoDB の決算を見ると、更に明らかになってくると思います。
NVIDIA がAI関連の新興企業に投資拡大
$NVDA Nvidia files its first ever 13F:
5 total positions split across $230.41 million:
1. $ARM, 63.95%
2. $RXRX, 32.98%
3. $SOUN, 1.59%
4. $TSP, 1.32%
5. $NNOX, 0.16% pic.twitter.com/4PjpRgto4W— Hedge Vision (@HedgeVision) February 14, 2024
2024年2月14日に公開された Nvidia の 13F (証券取引委員会が、1億ドル以上の適格資産を持つ機関投資マネージャーに対して提出を義務付けている) によると、Nvidia がAI分野への強めの投資をしていることが明らかになりました。同社の5つのポジションは以下である。
5つのポジション合計で2億3041万ドル:
1. ARM (ARM) 63.95%
2. Recursion Pharmaceuticals (RXRX) 32.98%
3. SoundHound AI (SOUN) 1.59%
4. TuSimple Holdings (TSP) 1.32%
5. Nano-X Imaging (NNOX) 0.16%
ざっくりとした感想としては、Nvidia 自体がAI革命の代表であり中心、コアであるために、ここまでAI領域に振り切った気持ち良すぎるポジションを取れるのだと思います。特に目を見張るのは、Nvidia による Recursion Pharmaceuticals の投資です。
Nvidia は Recursion Pharmaceuticals と既に提携しています。Nvidia の H100 GPU を搭載した Recursion の社内スーパーコンピュータ BioHive-1 の拡張により、バイオ製薬会社が完全に所有または運営する最も強力なコンピュータとなり、Top500リストで最も強力なスーパーコンピュータ50の中に入る可能性が高いとされています。
また Nvidia のCEOジェンスン・ファン氏は、”次の驚くべき革命は生物学とテクノロジーの交差点で起こる” と明言しており、それらの理由からSPAC上場した Recursion Pharmaceuticals へのポジションを確立させていると想像します。以下は、Nvidia の 13F で明らかになった各社の簡単な紹介です。
・ARM (ARM)
Nvidia は、半導体およびソフトウェア設計のリーディングカンパニーである ARM に戦略的関心を抱いている。エヌビディアの中核事業がGPUであり、AIやディープラーニングへの関心が拡大していることから、ARM への投資は同社の戦略目標に合致しており、特にチップ設計と開発における相乗効果を考慮している。
・Recursion Pharmaceuticals (RXRX)
Recursion Pharmaceuticals は、生物学と人工知能の交差点で事業を展開し、創薬に注力している。Nvidia の Recursion への多額の投資は、Nvidia のコンピューティング技術が関連性を高めている分野であるヘルスケアとライフサイエンスにおけるAIの応用に対する Nvidia の関心を浮き彫りにしている。
・SoundHound AI (SOUN)
SoundHound AI は音声対応AIと会話知能技術を専門としている。Nvidia の SoundHound への投資は、テクノロジー・エコシステムにおいて重要性を増しているAI主導のインターフェースとアプリケーションの能力を強化するための戦略的な動きと見られる。
・TuSimple Holdings (TSP)
TuSimple は自動運転トラックに特化した世界的な自律走行技術企業。Nvidia の TuSimple への出資は、Nvidia がGPUとAI技術を積極的に開発・販売している分野である自律走行車への関心と一致している。
・Nano-X Imaging (NNOX)
Nano-X Imaging はデジタルX線装置を開発しており、世界中で医療画像へのアクセスを向上させることを目指している。Nvidia の投資は、小規模ではあるが、革新的なヘルスケア技術、特に Nvidia のコンピューティングとAI能力を活用できる技術への関心を示している。
Nvidia が開示した投資は、半導体、ヘルスケア、自律走行車、AIインターフェースを含む様々な分野にわたるGPU、AI、コンピューティング技術におけるコアコンピタンスを活用する首尾一貫した戦略を反映している。特に ARM と Recursion Pharmaceuticals への投資は、それぞれチップ技術の将来と創薬におけるAIの応用に対する重要な賭けである。
ここまで、今回開示された Nvidia の 13F から明らかになったポジションの企業について触れました。今回の Nvidia のポジションは、繰り返しになりますが、Nvidia というAI革命のコアプレイヤーだからこそ成せるポジションだと思います。そのことをじっくりと吟味する必要があると思います。
非常にざっくりとですが、ここまでが2023年〜2024年2月現在までの AI と市場の流れになります。
ーーーーーーーーー 2024年加筆部分 ーーーーーーーーー
2022年12月1日にテスト版が公開された ChatGPT は、その後1週間も経たないうちに100万人のユーザーを集め、年が明けた現在も常に話題の中心となっています。
そのことも影響したのか、対話型チャットAI「ChatGPT」の登場で2023年1月下旬以降、アメリカに上場されている AI (人工知能) 企業/関連銘柄にも再び注目が集まっています。
この熱狂の対してブルームバーグは2023年2月1日の記事で、かつてのブロックチェーン技術の熱狂を持ち出して警告しています。
ChatGPT、あらゆる AI を求めるトレーダーが殺到。人工知能関連銘柄が今年に入って急騰している、ブロックチェーン技術によって引き起こされた投機的な熱狂が思い出される。これらは、トレーダーを投機的なバブルに駆り立てる最新の流行語である人工知能に渦巻く幸福感から恩恵を受け、過去のバブルの記憶を呼び起こしている異種の企業の一部である。 – Bloomberg
こちらの記事では、アメリカの株式市場に上場されています、ピュアプレイのAI (人工知能) 企業/銘柄、AI関連銘柄についてご紹介します。AI (人工知能) 銘柄に投資したいという方は是非参考にして下さい。
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目次
- Generative AI (生成AI) 革命について
- 大手ハイテク企業が次々に AI (人工知能) 技術を採用
- ・バンク・オブ・アメリカが選ぶAI銘柄
- ・モルガン・スタンレーが選ぶAI銘柄
- ピュアプレイのAI銘柄
- ・C3.ai (シースリー・エーアイ / AI)
- 金融相場と C3.ai の歩み
- ChatGPT による AI バブル再び?
- AI関連銘柄 (番外編)
- ・Veritone (ベリトーン / VERI)
- ・BigBear.ai (ビックベア・エーアイ / BBAI)
- ・SoundHound AI (サウンドハウンド・エーアイ / SOUN)
- ・Guardforce AI (ガードフォース・エーアイ / GFAI)
- ・AI関連銘柄一覧
- 革新的技術とバブルの崩壊
- まとめ (ChatGPT に聞く)
Generative AI (生成AI) 革命について
The generative AI 🤖 revolution is here 💥
Total value of generative AI startups hit $48bn, up 6x from 2020
Short 🧵 below on the Next Big Thing (1/23)
Cc:@Noahpinion @erikbryn @amcafee @balajis @Jason @DavidSacks @ylecun @Scobleizer @GerardAraud @gilliantett @bgurley @msuster pic.twitter.com/1a6nEV8cas
— Science Is Strategic (@scienceisstrat1) March 4, 2023
はじめに、OpenAI による ChatGPT の登場で更に加熱する、Generative AI (生成AI) 革命について確認しておきましょう。Generative AI スタートアップの総額は480億ドルに達し、2020年に比べると6倍に増加しています。Generative AI 革命は、学術・企業研究の基盤の上に成り立っています。
ChatGPT のような大規模なAIモデルは、学習させるのに異常なほどの計算能力が必要です。大規模な言語モデルやその他の生成型AIシステムのトレーニングにかかる膨大なコストを考えると、最大のAIシステムの開発・展開者としては、産業界がアカデミアを凌駕している。Google、Microsoft、Meta、Amazon などの大手ハイテク企業は、AIに関する学術研究の主要な出版社にもなっています。
AIブームの恩恵を受ける半導体メイカー Nvidia
AIブームの恩恵を受けている主な半導体メイカーは、Nvidia です。Nvidia は第四四半期の決算で、AI特需といえる決算内容を叩き出し、AIチップが牽引し、米国クラウドプロバイダーが多くの製品を購入しました。(しかしこれまで同社を駆動させていた、データセンター売上、ゲーミングPC市場の陰りは注目すべき点だと思います。) Nvidia は全AIチップの80%を製造しており、ChatGPT の実行には推定1万個の Nvidia チップが必要とされています。
OpenAI は Generative AI のリーダー
ある指標では、史上最も急速に成長しているスタートアップが ChatGPT を手掛ける OpenAI かもしれないとされている。GitHub Copilot (GitHub と OpenAI が開発したクラウド型人工知能ツール) のような Generative AI システムは、すでにソフトウェアエンジニアに大規模な生産性向上をもたらしています。
Generative AI が様々な業種に浸透しようとしています。イギリスの法律事務所 Allen & Overy は、弁護士による契約書作成を支援するAIチャットボットを導入しました。これは、OpenAI が作ったGPT技術を使って作られたツールです。
現在、少なくとも539社の Generative AI のスタートアップが存在します。リーダーの OpenAI を除けば、これまでにまとめて110億円以上の資金を調達しており、OpenAI は110億円以上の資金調達に成功しています。
AIが創薬に革命を起こす?
投資家たちは、AIが創薬に革命を起こすことに賭けています。AIを活用した創薬への資金提供は過去5年で3,800%増の20億ドル(約2200億円) COVID 危機の際、バイオテックや大手製薬会社がワクチンや治療薬の開発・最適化にAIを活用したことも知られています。
AIの広範な利用は、生物学的および化学的データの増加、計算能力、より賢いアルゴリズムを活用し、高騰する医療費を削減し、治療法のない病気の治療法を生み出す創薬革命の始まりに過ぎないと考えています。
AI技術の競争も米国 vs 中国
AIイノベーションが最も活発な国が、米国、中国です。AIの学術出版物では、米国よりも中国の方が多く出版されています。例えば、今でも話題の本として挙げられる、元MSR Asia 立ち上げたメンバーであり Google China を立ち上げた Kai-Fu Lee (カイ・フー・リー) 氏による2018年の著書『AI Superpowers: China, Silicon Valley, and the New World Order』は、AI覇権争いで中国が米国を打ち負かすと信じていることを正確に示しており、一読の価値があります。
大手ハイテク企業が次々に AI (人工知能) 技術を採用
多くの大手ハイテク企業が事業に AI (人工知能) 技術・ソフトウェアを取り入れています。例えば、Google の親会社である Alphabet (アルファベット / GOOGL)、クラウドコンピューティングの巨人 Amazon (アマゾン・ドット・コム / AMZN)、グラフィックチップのリーディングカンパニー Nvidia (エヌビディア / NVDA)、Salesforce (セールスフォース / CRM)、Netflix (ネットフリクス / NFLX) など多くの大手ハイテク企業です。
なかでも Microsoft (マイクロソフト / MSFT) は2023年1月11日に、ChatGPT で話題のスタートアップ企業 OpenAI への1.3兆円の追加投資を発表するなど (Microsoft は ChatGPT に Azure を提供している)、その関係を強化しています。Google は、Google 検索の驚異となり得ると警戒しています。
ChatGPT の登場以降 (2023年1月現在)、Nvidia (エヌビディア / NVDA) の株価の戻りも加速しています。上記で紹介した大手ハイテク企業は、AI (人工知能) 技術を取り入れているものの、AIにだけフォーカスしているわけではありませんので、AI関連銘柄として認識されています。
バンク・オブ・アメリカのAIピック銘柄
Bank of America (バンク・オブ・アメリカ) のAIピック銘柄としては、大手ハイテク企業 Alphabet (GOOGL)、Microsoft (MSFT)、Nvidia (NVDA)、Meta Platforms (META)、Apple (APPL)、Baidu (BIDU)、Adobe (ADBE)、Plantea (PLTR) をピックアップしています。
モルガン・スタンレーが選ぶ、A.I.銘柄
Morgan Stanley (モルガン・スタンレー) が選ぶ、A.I.の恩恵を受ける銘柄ピックが、大手ハイテク企業 Alphabet (GOOGL)、Meta (META)、Amazon (AMZN)、The Trade Desk (TTD)、Unity (U)、Shutterstock (SSTK) をピックアップしています。
2023年3月上旬現在、大手ハイテク企業の決算は低調であり、ゼロ成長の企業もあります。利上げが後数回としても、ある程度金利は高いまま維持されると考えると長期で大手ハイテク株をロングするのはお勧めできないと思っています。
ピュアプレイのAI (人工知能) 銘柄
AI (人工知能) だけにフォーカスした、アメリカの株式市場で上場されている純粋なAI銘柄は2023年1月現在、C3.ai (シースリー・エーアイ / AI) の1社しかありません。
他には社名に “AI” が入っていたり、AI (人工知能) の技術を採用した企業はいくつかありますが、C3.ai はビジネスのコアに AI (人工知能) を取り入れており、人工知能が全体の中心となっています。
このように2023年1月現在、ピュアプレイの AI (人工知能) 銘柄はまだ非常に少ないと言えます。その例では、かつての宇宙銘柄に類似しており、2019年にピュアプレイの宇宙銘柄に投資するには、宇宙旅行会社の Virgin Galactic (ヴァージン・ギャラクティック / SPCE) しかありませんでした。
しかし、2020年のコロナ以降で始まった低金利の金融相場で、雨後の筍のように次々とピュアプレイの宇宙銘柄がSPAC上々を果たしました。2023年1月現在、ピュアプレイの宇宙銘柄は13社以上が株式市場に上場しています。
そう考えるとピュアプレイのAI企業も、今後益々AI技術にブレイクスルーが起こることで増えていくかもしれません。
C3.ai (シースリー・エーアイ / AI)
2020年12月9日、純粋なAI (人工知能) 銘柄のIPO第一弾として登場したのが、鬼軍曹 Thomas M. Siebel (トーマス・M・シーベル) 率いる C3.ai (シースリー・エーアイ / AI) というエンタープライズAIアプリケーション・ソフトウェアの会社です。ティッカーシンボルが「AI」と分かりやすいのも特徴です。
C3.ai は、エンタープライズAIアプリケーションの開発、導入、運用のためのエンドツーエンドプラットフォーム「C3 AI Platform」や、グローバルに組織のデジタル変革を実現する業界特化型 SaaS エンタープライズAIアプリケーションのポートフォリオ「C3 AI applications」などの完全統合製品ファミリーを提供しています。
現在カスタマイズ可能なAIアプリケーションを、石油・ガス、金融サービス、製造、防衛など、さまざまな業種の顧客に販売しています。C3.ai はアマゾン、マイクロソフト、アルファベットなど大手のハイテク企業のクラウド部門ともパートナーシップを結んでいます。
【関連記事】C3 AI、「C3 Generative AI Product Suite」の提供開始を発表
丁度この記事を書いた翌日、2023年1月31日に、C3.ai が新製品「C3 Generative AI Product Suite」の提供開始のプレスリリースを発表しました。プレスリリースでは、ChatGPT や GPT-3 などの最先端のモデルを C3 AI のエンタープライズAI製品に統合したことが報じられています。
金融相場と C3.ai の歩み
C3.ai を語る上で欠かすことのできないのが、C3.ai の IPO から現在までの歩みです。C3.ai の株価は、IPO後の史上最高値から91%ダウンしています。つまり株価が 10/1 になったということです。C3.ai は2020年の金融相場で IPO された銘柄であり、2022年12月9日に公開価格43ドルで上場され、初日は2.2倍の92ドルで取引を終えています。
低金利環境下で繰り広げられた金融相場とは言え、べらぼうに高いバリエーションで取引されていたことが分かります。その後高値183ドルをつけていますが、その後は下り坂を転げ落ちています。
この間に何があったのか?と言えば、金融相場から金融相場の終焉、FRBの利上げによる金利上昇によって、この手のハイパーグロース株が死に絶えた … という過程を辿っています。こういう銘柄に投資する場合は、「相場のサイクル」や「革新的技術とバブルの崩壊」の歴史について、しっかりと学ぶ必要があります。
再び C3.ai の現在の株価に話を戻すと、C3.ai の株価は底練りから、ChatGPT の登場で再び AI (人工知能) に注目が集まると、再注目、再評価されるという現象が2023年の1月下旬に起こりました。これは経済学者のカルロタ・ペレスが提唱する、「技術の再評価」 (詳しくは後述します) に当たる可能性があります。「革新的技術の登場」→「投資家に見つかる」→「バブルの崩壊」→「再評価」の部分に当たる可能性もあり、注視したいと思います。
ChatGPT による AI バブル再び?
ChatGPT が登場して、2023年1月下旬現在、約1ヶ月以上が経過しましたが、株式市場にも ChatGPT による AI (人工知能) ブームが到来しています。その象徴的なニュースをご紹介します。
・ブルームバーグは2023年1月24日、「人工知能ツール「ChatGPT」が世界を席巻してから数週間、Nvidia (エヌビディア) はウォール街の有力候補として浮上している。」と紹介しており、冴えなかった同社の株価にも ChatGPT が恩恵をもたらした。
・2023年1月26日、SPAC上場したメディア企業 BuzzFeed が、ChatGPT を使用してコンテンツを大量生産すること (その他、従業員の12%を解雇したこと) が報じられると、株価は200%以上上昇しました。
・C3.ai は2023年1月31日、新製品「C3 Generative AI Product Suite」を発表し、ChatGPT や GPT-3 などの最先端のモデルを C3 AI のエンタープライズAI製品に統合することをアナウンスして株価は急上昇しました。
これらは全て、ChatGPT の登場によりもたらされたものであり、今の株式市場は「ChatGPT、GPT-3 を取り込んだ製品・サービスです」とアナウンスするだけで株価が上がるようなバブリーな状態になっている。この流れが当分続くのか、更に加熱していくのか観察する必要があります。
AI (人工知能) 関連銘柄 (番外編)
AI (人工知能) 技術を採用した、アメリカの株式市場に上場されている、AI関連銘柄をご紹介します。
Veritone (ベリトーン / VERI)
Veritone (ベリトーン) は、エンタープライズ向け人工知能 (AI) ソフトウェアおよびソリューションのリーダーです。Veritone のソフトウェア、サービス、産業用アプリケーションは、商業部門と規制部門の両方の組織にサービスを提供し、デジタル移行を加速・最大化することで、世界最大かつ最も認知度の高いブランドに、より効率的な経営、意思決定の迅速化、収益性の向上を実現しています。
Veritone の超拡大型エンタープライズAIプラットフォームである aiWARE™ は、機械学習モデルの成長し続けるエコシステムを編成し、オーディオ、ビデオ、その他のデータソースを実用的なインテリジェンスに変換します。Veritone は、プロフェッショナルサービスやマネージドサービス、そして堅牢なパートナーエコシステムを通じて、今日と明日の問題を解決するAIソリューションを開発・構築しています。
同社は2017年5月に、1株当たり15ドルの公募価格でナスダックにIPOしています。
BigBear.ai (ビックベア・エーアイ / BBAI)
そして2021年12月8日、2番目に今度はSPAC上場 (裏口上場) を果たしたのが、メリーランド州コロンビアに本社を置く BigBear.ai (ビックベア・エーアイ / BBAI) です。
同社は、複雑な実世界環境におけるミッションクリティカルな運用と意思決定をサポートするために、AIを活用した分析とサイバーエンジニアリングのソリューション、機械学習、クラウドベースのビッグデータ分析を提供しています。
BigBear.ai の顧客には、米国情報機関をはじめ、製造、物流、商業宇宙、その他の分野の顧客がおり、BigBear.ai のソリューションは、信頼できる予測的洞察力と目標志向のアドバイスを通じて、世界を見渡し、形成するために利用されています。
SoundHound AI (サウンドハウンド・エーアイ / SOUN)
2022年4月28日にSPAC上場したのが、音声AIサービスの SoundHound AI (サウンドハウンド・エーアイ / SOUN) です。SoundHound は、世界中の企業に音声AIサービスの一部または全部を提供する Houndify のプラットフォームで知られています。
Houndify で音声インタラクションを提供する。Houndify は、自動音声認識 (ASR) と自然言語理解 (NLU) エンジンをサポートし、ユーザーと会話し、適切な応答をすることができます。Houndify の人気は、人間の会話を模倣する能力から生まれたものです。1つの文章の中に複数のコマンドがあっても、カジュアルな語彙で複雑な要求を理解できる音声アシスタントに対応しています。
Guardforce AI (ガードフォース・エーアイ / GFAI)
2021年9月29日に上場したのが、Guardforce AI (ガードフォース・エーアイ / GFAI) です。同社は、グローバルな統合セキュリティソリューションプロバイダーで、確立されたセキュアードロジスティクス事業を補完するロボットソリューションと情報セキュリティサービスの開発に重点を置いている企業です。
40年以上の専門的な経験を持つ Guardforce AI は、公共機関や民間企業が所有する高価値の資産を保護し、輸送するための信頼できるブランド名として知られています。Guardforce AI は、安全性と保護機能を強化する革新的な技術とサービスを開発し、提供しています。
同社に関しては、AI的要素がないように感じるのですが … トレーダーの間では社名にAIが入っているため、一応AI関連銘柄にカウントされるとのことでした。
AI関連銘柄一覧
会社名 | ティッカー | 業種 |
C3.ai | AI | エンタープライズAIアプリケーション・ソフトウェア (2023年3月現在、株式市場で唯一のピュアプレイのAI銘柄) |
Veritone | VERI | エンタープライズ向け人工知能 (AI) ソフトウェアおよびソリューションのリーダー |
BigBear.ai | BBAI | AIを活用した分析とサイバーエンジニアリングのソリューション、機械学習、クラウドベースのビッグデータ分析 |
SoundHound AI | SOUN | 世界中の企業に音声AIサービスの一部または全部を提供する Houndify のプラットフォームを運営 |
Guardforce AI | GFAI | グローバルな統合セキュリティソリューションプロバイダー |
革新的技術とバブルの崩壊
ChatGPT の登場で、2023年1月下旬再び AI (人工知能) 銘柄がトレンドに戻ってきた訳ですが、ChatGPT が登場する前にこの手のハイパーグロース株は一度ボコボコにやられていること、次のトレンドとしてメタバースがもて囃されていた頃に、当のメタバースを代表する企業 META がボコボコにやられていること、その他、STEPN、NFT、WEB3 … と、次から次へとトレンドが入れ替わり、その度にバブルが崩壊していく歴史を忘れてはいけません。
このような「革新的技術とバブルの崩壊」は常に付きもので、歴史的にバブルは必ず崩壊してきました。ある革新的な技術 (例えば、AI、メタバース、NFTなど) が登場すると、いち早く投資家により発見されます。
そして、その新技術に対して非常に高いバリエーションの評価が与えられます。その後に起こるのがバブルの崩壊です。バブルの崩壊は枚挙に遑がなく、(1999年ドットコムバブル、それ以前の自動車バブル、鉄道バブル、蒸気機関のバブル、鉄鋼バブル、ラジオバブル … ) 何れも崩壊しています。今回だけはバブルは弾けないと思うのは傲慢です。
著書『技術革命と金融資本 (Technological Revolutions and Financial Capital)』で、経済の好不調について、長期的な視点に立ち、テクノロジーと金融を独創的かつ説得力のある方法で結びつけ、新しい解釈を提示した経済学者のカルロタ・ペレスは、シュンペーターのイノベーションの集積に関する理論に基づいて、なぜ技術革命ごとにパラダイムの転換と「ニューエコノミー」が生じるのか、また特定の産業に集中したこれらの「バースト」が、金融バブルと危機を再来させるのかについて説明しています。
上記の図に戻ると、まず「革新的技術の登場」します
↓
革新的技術は「投資家による発見」されます
↓
「バブル崩壊」します
↓
再び革新的技術が「再評価」されます
↓
革新的技術が「社会のパラダイム変革」を起こす
という一連のタイムラインを頭に叩き込む必要があります。多くの個人投資家やミーハー人は、革新的技術の登場で飛び付き、逃げ遅れてバブルの崩壊で退場していきます。
まとめ
2023年2月上旬現在、今市場を見ても Twitter を見てもみんなが AI (人工知能) に強気になっている。1月下旬の大規模なショートカバーからみんなが FOMO 乗り遅れまいと躍起になっている。
人類は鉄道やインターネットと同じ位全てをひっくり返す革新を目前にしている。それはAI。ネットが小売、出版、音楽などにしたように、AIは10年後、社会を今とは全く違う様相に変えてると思う。クリプトじゃなくてAIが次の10バガーの巣窟。この大波に乗れるか乗れないかで生活が変わる。準備はいい?
— まりーさん@ USA🇺🇸YOLO❗️(You Only Live Once) (@maryoakleysan) February 6, 2023
そういう時こそ深呼吸して冷静に考えてみたいのが、この手のグロース株が本格的に息を吹き返すには低金利環境が必要である。そのためには FRB が利下げに転じる必要がある訳だが、世界のトレンドは、チャールズ・グッドハートとマノジ・プラダンによる著作『人口大逆転 高齢化、インフレの再来、不平等の縮小』が論じるように、高金利インフレの再来期とされている。
コモディティの55年サイクルや、足元の石油/コモディティ株の強さ、1970年代のような石油ショックの第一弾、第二弾の波を見ていると、このまま素直にインフレが収まり、再び低成長&低金利の時代が来るのか?は良く考えれなければいけない。
C3 AI (AI) は2022年10月の安値から既に2倍になっている … 余り深入りは禁物だと思う。
最後に ChatGPT に聞いてみました
最後に ChatGPT に以下の質問をしてみました。
Q. ChatGPT にビジネスモデルはあるの?
A. OpenAI が開発したAIモデルである ChatGPT は、独自のビジネスモデルを持っていません。その代わり、OpenAI は、自社の製品やサービスにその技術を利用したい企業とのライセンス契約や、サブスクリプションベースでAPIを通じてモデルへのアクセスを提供するなど、様々な手段で言語モデルの収益化を図っています。また、OpenAI は、こうした商用利用だけでなく、人類全体に役立つ優しいAIの普及・発展を目標に、AI分野の研究開発も行っている。
Q. ChatGPT がハイテク企業などのビジネスをドライブさせることはあるの?
A. はい、ChatGPT をはじめ、OpenAI が開発したAI言語モデルは、さまざまなハイテク企業などで、さまざまな形でビジネスを推進するために利用されています。一般的な用途としては、以下のようなものがあります。
1. カスタマーサービスとサポート。企業は ChatGPT や他のAI言語モデルを利用して、カスタマーサービスやサポートの自動化を行い、チャットボットやバーチャルアシスタントを通じて、顧客からの問い合わせに迅速かつ正確に回答しています。
2. コンテンツ作成。商品説明、マーケティングコピー、ニュース記事など、高品質のコンテンツを生成するためにAI言語モデルが利用されています。
3. ビジネス・インテリジェンスと分析。顧客レビューやフィードバックなど、大量のデータをAI言語モデルで分析し、顧客感情や嗜好に関する貴重な洞察を得ることができます。
4. Eコマース向けチャットボット。AI言語モデルは、eコマースサイトのチャットボットの構築に使用されており、お客様が必要な商品を見つけ、購入プロセスを案内するのに役立っています。
これらは、ChatGPT のようなAI言語モデルがハイテク産業やそれ以外の分野でどのようにビジネスを推進できるかを示すほんの一例に過ぎません。この技術の潜在的な用途は数多く、AIと機械学習の分野で新たな進歩が見られるように、常に進化を続けています。
以上のように、ChatGPT にはビジネスモデルがない、今のところ AI 技術は各々のハイテク企業が取り入れているのは既知の事実であり、特に新しい材料はなさそうである。ちょっと思い出せば、私たちはつい最近メタバースやNFT、仮想通貨のバブルを経験したばかりである。
最後の最後にビル・ゲイツは、「ChatGPT が職場を効率化することで「我々の世界を変えるだろう」と語っています。