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レイ・ダリオ「不況よりも深刻な問題」について懸念を語る

億万長者の投資家レイ・ダリオは最近、米国経済について深刻な懸念を表明し、その状況が「不況よりも深刻な課題に直面している」と警告しました。

NBCの『Meet the Press』でのインタビューでダリオ氏は、「私たちはより根本的な問題を抱えています。貨幣秩序の崩壊が進行中です」と述べました。

世界最大のヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエイツの創業者であり、6月に出版予定の新著『How Countries Go Broke(国家が破綻する仕組み)』の著者であるレイ・ダリオ氏が登場しました。

トランプ関税がもたらすものとは?

司会者 : トランプ元大統領の関税政策は、現在世界が直面している複雑な問題を悪化させていると思いますか?

レイ・ダリオ : それは、どのように処理されるかによって全く異なる結果をもたらします。

関税を導入する現実的な理由としては、税収を得ることや、製造業と雇用を国内に戻すことがあります。ただし、それが実務的かつ安定的に行われるのか、それとも混乱的で対立を生む形で進められるのかは大きな違いを生みます。

現在の関税政策について「非常に混乱的です」とした上で、「関税の導入は、生産システムに石を投げ込むようなもので、世界全体の効率性に大きな悪影響を与える可能性がある」と述べました。

将来の景気について警鐘を鳴らす

レイ・ダリオ : 今、私たちは景気後退の瀬戸際にあります。しかも、もしこれが適切に処理されなければ、リセッション(景気後退)よりも深刻な事態になることを懸念しています。

私が本当に心配しているのは、もっと根本的な問題です。我々は『金融秩序の崩壊』という現象に直面しています。もはやこのような支出は持続不可能であり、ドルや関税に関する議論は、そうした大きな変化の一部なのです。

さらに、国内の社会秩序にも深い変化が起きています。私たちは今、非常に重大な転換点に立たされているのです。

世界秩序に大きな変化が起きている

世界秩序に大きな変化が起きており、それは1930年代と非常によく似ています。私は歴史を研究してきましたが、歴史は何度も繰り返されます。

関税、債務、新興国が既存の覇権国に挑む状況──こうした「秩序の変化」は非常に大きな混乱をもたらすものであり、うまく処理されなければ、リセッション(景気後退)よりも深刻な状況を招く可能性があります。

米国の財政赤字問題

たとえば財政赤字の問題です。今のままではGDP比で約7%の赤字が続くと見込まれます。これを3%まで削減できれば、全体として健全に管理できるはずです。

私は「3%ルール」と呼んでいますが、議会のメンバーにはこの目標を掲げてほしい。そうでなければ、国債の需給バランスが崩れ、他の問題と重なって、通常のリセッションよりもはるかに悪い結果になるでしょう。

最も懸念しているのは「通貨の価値」

私が特に懸念しているのは、「通貨の価値」です。債券というのは、ある人の負債が別の人の資産になっているという関係性に基づくものです。その「価値の保存手段」が脅かされると、インフレや金利上昇を通じて、大規模な混乱を引き起こします。

1971年のドル金本位制の崩壊や、2008年の金融危機のような出来事──いや、それ以上に深刻な事態が同時多発的に起こる可能性すらあります。

たとえば景気後退に加えて、国内の政治的分裂、国際的な地政学的緊張や軍事的衝突が重なれば、世界経済は深刻なダメージを受けるでしょう。

今の国際秩序と通貨制度は、第二次世界大戦後の1945年にスタートしたものです。それらは周期的に再編されてきました。私は今、それが崩壊しつつあることを非常に懸念しています。

しかし、それは避けられないものではありません。財政赤字を再構築すること、利害の対立を秩序ある交渉で回避することなど、私たちには選択肢があるのです。

その一つの答えとして私は「3%の財政赤字ルール」を提案しています。これは1991年から1998年まで、超党派で合意のうえ実現された実績があります。

国としての強みを活かしつつも、良い交渉を通じて、不要な対立や非効率な政策が深刻な混乱を生まないようにするべきです。私たちはそれを秩序ある形で乗り越えることができます。

考察

X や動画ではセンセーショナルに、このレイ・ダリオ氏の見解が伝えられています。自身が6月に出版する予定の新著『How Countries Go Broke(国家が破綻する仕組み)』のプロモーションも挟むかのように、”金融秩序の崩壊” について触れているのも流石です。

確かに今回のAIバブルも、沢山の靴磨きを巻き込んでいます。その殆ど人が金融の歴史を知らず、目先のAIブームに飛び込んだものだと思います。そのような一次思考の人々が、その後どうなったのか?は歴史が証明しています。