消費者心理を動かす「インフレ」、「株式市場」、「政治」という3つの要素についてご紹介します。コメディアンのルイス・CKは、10年前に米の人気TV番組に出演した際に次のようなコメントを残し、10年経った今もこのコメントが注目を集めている。
すべてが素晴らしく、誰も幸せではない
COVID による前例のない金融緩和を経て、失業率は4%を切り、株式市場はかなり好調で、5%の収入を得ることができる。消費者信頼感と経済成長はずっと密接な相関関係にあったが、ここ1、2年のインフレ/地政学リスクにより、消費者のセンチメントは完全に変化している。
欧米のZ世代の間では、自分が置かれている経済状況、インフレによる物価高騰で、普通に働いても生活がままならないことを嘆く様子を TikTok などで投稿し、涙を流す姿がミームと化してソーシャルで溢れている。
Gen Z:
🔊"I don't want to work anymore" … 🤨
What do you think of her reasons? pic.twitter.com/CMEa9h6L9Z
— Wall Street Silver (@WallStreetSilv) November 6, 2023
貧乏暇なしの筆者からすると、だったら泣いてないで唇を噛み締めて、現在の状況を変えるべく努力をしなければいけないのではないのか?若い世代よ、流石にそれは甘ちゃん過ぎるのではないか?というような感想を抱きますが、投稿にはいくつかのパターンが存在するようです。
「Z世代新社会人が定時出勤のつらさを涙の訴え」話題
ちゃんとTikTokバズ定型「派手に泣くかわいい女の子」にしてるし
ご本人USC卒のデジタルマーケ系で派手な芸能人仕事やるNYC企業に入ってるっぽいので
むしろ就職早々成果だしてキャリアの機会につなげていて立派に感じたhttps://t.co/KEPEtpnh40— うまみゃん/辰巳JUNK (@TTMJUNK) October 29, 2023
(1) 悲劇のヒロインとなり同情を集め、PVを稼ぐ
(2) この流れがソーシャル上でミームと化しており、本当に泣きを入れる
(3) Z世代に限らず、インフレにより生活が成り立たない人々の泣き
の投稿が存在するようです。現在のインフレは間違いなくZ世代に新たな精神的な傷跡を残すでしょう。少々脱線しましたが、消費者心理を動かしているものは実に3つあると言えます。
消費者心理を動かす3つの要素
・インフレ (特にガソリン価格)
特にガソリン価格の上昇は、日常生活に直接的な影響を与え、消費者の心理に大きな影響を及ぼします。
・株式市場
株式市場の動向は、経済の健全性のバロメーターと見なされることが多く、市場が好調な時は一般的に消費者信頼感が高まる。
・政治
政治的な不安定さや政策の変更は、経済に直接的な影響を及ぼし、消費者の心理に反映される。
インフレ、それもアメリカの場合はガソリン価格、株式市場、そして政治です。おそらく、80年代以来初めて大幅なインフレに見舞われ、多くの人々に傷を負わせたからだろう。
特に金融業界以外の一般人にとっては、インフレ率が下がることよりも、物価が下がることを望んでいます。ですから、インフレ率が10%から4%になったとしても、あるいは何であれ、ガソリン価格は2019年よりも高くなり、2019年よりも安くなるまでは、人々はそれに嫌悪感を抱くでしょう。
彼らが好感を持つ確率は、現時点ではデフレを祈るようなものですが、それもまた危険と言えます。つまり、たとえ一握りの変数、あるいは多くの変数が素晴らしいものであったとしても、人々は感情的に傷を負った1つか2つに執着するということです。
世代に残す傷
1970年代から80年代にかけての2度のオイルショックはインフレをもたらし、当時の世代に深い傷を残しました。この時期の経験は、多くの人々の経済に対する見方や行動に長期的な影響を与えたのです。
そして今、当時の状況とはまた少し異なりますが、コロナ後のインフレ、地政学リスクが起こした物価高騰は再び、Z世代に心理的な傷跡を残そうとしています。
Gen Z may be left permanently psychologically scarred by high inflation, per Bloomberg.
— unusual_whales (@unusual_whales) November 4, 2023
現代社会の矛盾
これは現代社会が抱える矛盾とも言える。統計上の経済指標が良好であっても、一般の人々が日常生活で感じる経済状況とは異なることがあり、人々は経済的な数字よりも、自分たちの感情や直接的な経験に基づいて判断する傾向にある。
経済的な豊かさと個人の幸福感は必ずしも直結しない
ルイス・CKのコメントは、経済的な豊かさと個人の幸福感の間の複雑な関係を浮き彫りにしています。経済指標が良好であっても、それが必ずしも一般の人々の幸福感に直結するわけではないということです。消費者心理は、単なる数字以上のものに影響されるため、これらの感情的な要素を理解することが求められる。
これは日本人の消費支出が深く関係していて、ドル円が120円台に後退した1-2月は消費支出が伸びていて、岸田政権の支持率も上がっています。ドル円が再び上昇に転じた3月以降は消費支出と政権支持率が下げに転じています。結論は明白です。円安は直接岸田政権の支持率低下に繋がっているということ。 https://t.co/j7f3KYpoTt pic.twitter.com/RXNTlYHQJc
— Emin Yurumazu (エミンユルマズ) (@yurumazu) November 11, 2023
エミンユルマズ氏が指摘するように、ドル円で見ると円安が直接岸田政権の支持率低下に繋がっている、というのも消費者心理を動かす要素として機能していることがうかがえます。
円安が日本の消費者心理に影響を与えているということです。日本のような資源に乏しい国では、通貨の価値が下がると輸入品の価格が上昇します。
これは特にエネルギー資源に関して顕著で、円安は石油や天然ガスなどの輸入コストを増加させます。これらのコスト上昇は、電気代やガス代など、一般消費者の日常生活に直接的な影響を及ぼします。
このように、結局はいつの時代も消費者心理を動かすのは「インフレ」、「株式市場」、「政治」と3つの要素で説明することができます。