今回は、世界の資本市場に関する業界をリードする解説する The Kobeissi Letter がツイートしていた、過去に起きた銀行破綻の歴史について学びましょう。
2023年4月現在、FRBの耐久的な利上げにより、チャラついた Silvergate Bank (シルバーゲート銀行)、Silicon Valley Bank (シリコンバレー銀行)、Signature Bank (シグネチャー銀行) 3行の銀行破綻が起きています。過去を振り返ると、歴史上のあらゆる危機の中で、資産/銀行破綻が最も多いということが分かります。
過去に起きた銀行破綻の歴史
The 2023 banking crisis has had just 2 bank failures, SVB and Signature Bank, for a total of $319 billion in assets.
By comparison, over 500 banks collapsed between 2007 and 2014 for an inflation adjusted $960 billion in assets.
Between 1980 and 1995, more than 2,900 banks… pic.twitter.com/yVbAweh4HI
— The Kobeissi Letter (@KobeissiLetter) April 17, 2023
2023年の銀行危機は、Silicon Valley Bank (SVB) と Signature Bank のわずか2行の銀行破綻で、総資産は3190億ドルです。これに対し、2007年から2014年の間に500以上の銀行が破綻し、インフレ調整後の資産額は9600億ドルでした。
1980年〜1995年の間には、2,900以上の銀行が破綻し、資産額は2兆2,000億ドルでした。この危機で他の銀行が破綻しなければ、今年の銀行破綻に関わる総資産は、534の銀行が破綻した1989年の3,890億ドルを上回ることになります。
歴史によると、銀行の破綻は大量に発生するもので、2023年の時点ではまだ見られない。1921年〜1929年の間に、年間平均635の銀行が破綻した。1930年〜1933年にかけては、9,000の銀行が破綻した。
2023年は世界大恐慌の時代には遠く及ばないが、わずか2行の銀行破綻は歴史的な出来事である。歴史上のあらゆる危機の中で、資産/銀行破綻が最も多いということになる。銀行破綻が増えるのか、それとも歴史に逆らうのか?
歴史的に銀行の破綻は大量に発生する傾向があることは事実
金融情勢は長年にわたり大きく変化し、銀行セクターの安定性と回復力を高めるために規制改革が実施されてきました。
2007年から2008年にかけての金融危機に対応して、世界中の政府や金融規制当局は、米国の「ドッド・フランク・ウォール街改革・消費者保護法」のような、より厳格な規制を導入しました。これらの措置は、自己資本規制の強化、ストレステストの実施、リスク管理の強化などにより、将来の銀行危機を防止することを目的としています。
歴史的に銀行の破綻は大量に発生する傾向があることは事実ですが、現在の金融情勢や規制環境は、銀行の破綻を抑えるのに役立つかもしれません。さらに、中央銀行は危機の時期に金融機関への支援を積極的に行っており、広範囲に及ぶ銀行破綻の可能性をさらに低減させることができる。
しかし、金融セクターには常に潜在的なリスクが存在するため、慎重な姿勢を貫くことが不可欠です。地政学的緊張、景気後退、不測の事態などの要因は、金融不安を助長し、銀行の破綻につながる可能性があります。投資家は、金融セクター全体の健全性、潜在的なリスク、規制の動向を常に把握し、十分な情報に基づいた意思決定を行う必要があります。
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現在、米国の銀行預金で起こっていること
現在米国の銀行預金者の間で起こっているのは、銀行保険が適用されない部分のお金が短期債券やMMF (マネーマーケットファンド) への移行です。
米国の銀行預金者が FDIC (連邦預金保険公社) によって保護されていない預金を短期債券やMMF (マネーマーケットファンド) に移行する理由は、より安全性を追求し、資産のリスクを分散させたいという意図からです。
MMF は、短期の債券やその他の金融商品に投資することで、高い流動性と低いリスクを提供する投資ファンドです。これは、銀行の預金口座に対する適切な代替手段とされており、投資家には比較的安全な避難先として機能しています。
短期債券もまた、銀行の預金口座に対するより安全な代替手段として人気があります。これらの債券は、企業、地方自治体、または政府が発行し、短期間(通常は1年以内)で満期を迎えるため、利益と安全性のバランスが取れた投資として捉えられています。
預金者が銀行保険が適用されない部分の資金を短期債券やMMFに移行することで、預金者は自分の資産を保護し、金融リスクを軽減することができます。
ただし、このような動きが大規模になると、銀行への預金が減少し、銀行の資金調達が困難になる可能性があります。このため、金融当局は、市場の安定性や銀行業界の健全性を維持するために、引き続き監視と規制を行っていく必要があります。
取り付け騒ぎの形態も変化している
現代の金融システムでは、インターネットやスマートフォンを利用して、銀行預金や投資商品へのアクセスが容易になっています。このため、取り付け騒ぎの形態も変化し、銀行の窓口に並ぶことなく、オンラインで資金移動が行われることがあります。つまり、クリック一つで銀行預金からお金が移行し取り付け騒ぎに繋がるケースもあることを頭に入れておくことが大切です。
デジタル化が進んだ現代の金融環境では、銀行や投資家がパニックに陥ったり、市場に不安が広がると、急速に資金が移動し、金融機関にとって取り付け騒ぎとなるリスクが増加しています。このような状況は、銀行の資金調達や流動性に悪影響を与える可能性があります。
金融機関や中央銀行は、デジタルな取り付け騒ぎに対処するために、リスク管理や資本維持に関する規制を強化し、市場に不安が広がらないようにすることが重要です。また、金融機関は、顧客の信頼を維持し、銀行の安全性と健全性を確保するための取り組みを継続して行うべきです。
投資家もまた、市場の変動に過剰に反応せず、冷静な判断を維持することが重要です。資金を移動する際は、リスクとリターンのバランスを考慮し、適切な投資判断を行うことが求められます。