Fundstrat のトム・リー、トランプ大統領の関税について「市場には下振れリスクがある」と述べる。
Fundstrat のリサーチ部門トップであり、Fundstrat Capital CIO でもあるトム・リーが CNBC の「Squawk Box」に出演し、トランプ大統領の関税が市場に与える影響、米国の消費者への影響、ビットコインに対する見解などについて語りました。
トム・リーは「押し目買い」を推奨
ナスダックが3.35%下落、S&P先物も83ポイントの下落となっています。次のゲストは、トランプ大統領がカナダ、メキシコ、中国への関税を導入したことに対し市場が過剰反応する可能性があると警戒しつつも、投資家には「押し目買い」を推奨しています。
トム・リー氏は Fundstrat のリサーチ責任者であり、同社の最高投資責任者(CIO)、そしてCNBCの寄稿者でもあります。
これは良い兆候です
司会者 : トム、今回の下落幅は1.5%以下と大きなものではありませんが、これを押し目と捉えるべきでしょうか?あるいはさらなる過剰反応があると考えていますか?
トム : 実際、先物が開いたときには下落幅はさらに大きかったです。小型株は4%以上、ナスダックは3%以上下落していました。ただ、今は市場が少し落ち着きを取り戻しているようです。
先週の動きが深刻だったことを考えると、1.5%の下落幅で収まるのはある意味勝利ともいえます。週末にはかなりのパニックがあったので、これは良い兆候です。
3カ月以内には関税が撤回される可能性がある
司会者 : 市場は現在、この関税が一時的な交渉の一環であり、実際に実施されるとしても短期間で終わると考えているようです。この考えは妥当だと思いますか?
トム : はい、その可能性は十分あると思います。3カ月以内には関税が撤回される可能性があります。交渉による譲歩が得られれば、そうなるでしょう。
また、関税の影響を受けた他国が景気後退に陥れば、それらの国の中央銀行が緩和策を取ることで流動性が向上することも考えられます。ですので、状況は厳しいですが、下支えとなる要素も存在しています。
短期的にはインフレ圧力がかかる可能性がある
司会者 : では、米国の中央銀行(FRB)はこれにどう対応すると思いますか?トランプ大統領は中央銀行に利下げを求めていましたが、FRBはインフレデータを重視し、慎重な姿勢を保っていますね。
トム : FRBとしては慎重に行動する必要があります。短期的にはインフレ圧力がかかる可能性がありますが、それがインフレ期待を変えるわけではありません。
それでも、関税が引き金となった景気後退を避けるためには、他国の中央銀行が緩和を進めるでしょう。
短期的な痛みを伴う可能性がある
司会者 : また、市場はトランプ大統領が株式市場の強さを重視していると考えています。そのため、もし市場に大きな影響が出る場合には、彼が政策を調整すると期待されていますが、あなたはどう思いますか?
トム : 最終的にトランプ大統領の目標は米国を強くすることにあると思います。経済も企業も強くしたいと考えているでしょう。ただし、短期的な痛みを伴う可能性があります。
市場が今回の下落を乗り越えられるかどうかが試されているように感じます。
多くのアメリカ人は急激なコスト上昇を吸収できる余裕がない
司会者 : さらに、関税の影響がアメリカの消費者にどのように広がるかも注目されています。例えば、スーパーでの食材価格の上昇が家計に与える影響などです。アメリカ人がこの痛みに耐えられるか、それとも反発するか、どう見ていますか?
トム : アメリカ人は財布に響くことには敏感です。ガソリン価格が上昇すると消費者心理が冷え込むように、スーパーでの価格上昇も同様です。特に多くのアメリカ人は急激なコスト上昇を吸収できる余裕がないため、この影響は無視できません。
この関税は貿易慣行の全面的な見直しというよりも、交渉するための手段
司会者 : さらに企業側がこのコストをどの程度吸収するのか、それとも消費者に転嫁するのかも議論されています。
トム : 一部の企業はコストを吸収しますが、他の企業はインフレを理由に価格を引き上げる可能性があります。ただ、最近ではこうした動きに対して消費者や市場からの反発が強まっているため、簡単ではないでしょう。
結局のところ、この関税は貿易慣行の全面的な見直しというよりも、カナダやメキシコと交渉するための手段として用いられているように見えます。