本書『Loputtomat loiset』(日本語訳タイトル:『寄生生物の果てしなき進化』)は、フィンランドの生態学者で進化生物学者の Tuomas Aivelo (トゥオマス・アイヴェロ) 氏による著作で、2018年にフィンランドで出版されました。本書は、ウイルス、細菌、寄生虫などの寄生生物と人類との複雑な関係を、多面的に探求しています。
アイヴェロ氏は、マダガスカルでのフィールドワークやチューリッヒ大学での研究経験を持ち、これらの知見をもとに、寄生生物が人類の進化や健康に与える影響を詳細に解説しています。
彼はまた、フィンランドの科学雑誌「Tiede」のウェブサイトで人気のブログ「Kaiken takana on loinen(すべての背後に寄生生物がいる)」を執筆しており、一般読者にも科学的知識をわかりやすく伝えることに定評があります。
本書では、寄生生物がどのようにして人間の体内に入り込み、共生し、時には病気を引き起こすのかを、具体的な事例とともに紹介しています。例えば、マラリアやデング熱などの感染症が、気候変動や人間の生活様式の変化によってどのように拡大するかについても考察しています。
さらに、寄生生物が生態系や進化に果たす役割についても触れ、彼らが単なる害ではなく、生物多様性の一部として重要な存在であることを強調しています。
日本語版『寄生生物の果てしなき進化』は、2021年12月に草思社から出版され、2024年10月に文庫版が出版されました。この翻訳版では、アイヴェロ氏の豊富な知識と経験が、日本の読者にも伝わりやすい形で紹介されています。
寄生生物学や進化生物学に興味のある方、また人類と微生物の関係について深く知りたい方にとって、本書は貴重な情報源となるでしょう。
本書は、科学的な内容を一般読者にも理解しやすく伝えることを目的としており、専門的な知識がなくても楽しめる構成となっています。アイヴェロ氏の軽妙な語り口と豊富なエピソードにより、寄生生物の世界が生き生きと描かれています。
読者は、本書を通じて、私たちの身近に存在する見えない生物たちとの関係を再認識し、自然界の複雑さと美しさに驚嘆することでしょう。『寄生生物の果てしなき進化』は、科学リテラシーを深める一冊として、多くの読者におすすめできる作品です。
2020年の COVID-19 によるパンデミック、24年秋以降からアメリカで水面下で拡散を続け、年末には人にも感染が報告された H5N1 (鳥インフルエンザ)、24年12月にアフリカのコンゴで報告されたインフルエンザに似た原因不明の病気 (実は重度のマラリア) など、既存の感染症が強化されたり、H5N1 のような新しい感染症が報告されるなど、人類の新たな脅威として感染症が認識されています。
寄生生物というテーマを通じて、人類の歴史や未来、そして私たち自身の体について、新たな視点を提供してくれることでしょう。