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【選書】『コンテナから読む世界経済 : 経済の血液はこの「箱」が運んでいる!』

コンテナから読む世界経済 : 経済の血液はこの「箱」が運んでいる!

今回は参考図書として、コンテナ輸送、市場と業界の動向、国内雑貨輸送に関して調査・研究を進めている拓殖大学商学部教授、松田琢磨氏の著書『コンテナから読む世界経済 経済の血液はこの「箱」が運んでいる!』をご紹介します。

本書について

この箱は何を入れ、どこに向かい、どのような影響を世界に与えるのか?世界経済の血液とも言われる海運物流のカギを握るのはこの「箱」である。また、「コンテナの動き」を追えば、世界経済の流れもつかめる。経済を動かし、生活・ビジネスを支えるコンテナに迫る。

目次:
はじめに――「経済の血液」としてのコンテナ
序 章 身近なものの動きから眺めるコンテナ輸送
第1章 「コンテナの動き」で、なぜ世界経済が読めるのか
第2章 経済の血液としての「箱」を理解しよう
第3章 海運物流・コンテナ輸送はどう発展していったのか
第4章 いま世界で起きている海運問題と、経済活動への影響
第5章 「海運の動向」から読み解くこれからのビジネス・経営
第6章 今後、「コンテナ船」はどこに向かうのか
おわりに――水、空気、コンテナ輸送

本書について紹介されている情報はこの程度ですが、本書の冒頭では、コロナ禍で話題となったマルク・レビンソン氏の著書『コンテナ物語 世界を変えたのは「箱」の発明だった 増補改訂版』についても触れています。

パンデミックの影響で世界経済が停滞すると、サプライチューンが混乱を来し、その後のエバーグランデがスエズ運河で座礁し、6日間にわたって運河を完全に封鎖しました。この座礁は、世界中の貿易と物流に影響を与え、多数の船舶が運河の両側で待機し、膨大な貨物の遅延や配送の混乱を引き起こしました。

移行も混乱するコンテナ輸送についてのニュースが度々報道され、それを見た人々もコンテナについて関心を寄せたことでマルク・レビンソン氏の著書『コンテナ物語 世界を変えたのは「箱」の発明だった 増補改訂版』が注目されるきっかけとなります。

私がコンテナ船に興味を持った理由

私がコンテナに興味を持ったきっかけは、当時観察していた日本の優れたバリュー投資家が、パンデミックもろに影響を受けていた2020年3月〜4月頃に、海上コンテナリース業界で世界5位の企業である CAI International (CAI) の株式を何回かに分けて数千万円以上拾い集めていました。

私は丁度2020年のコロナ相場で個別株のトレードを始めたばかりの新米だったため、割安だから拾ってるぐらいにしか観察することができませんでした。しかし、その後時間の経過と共にトランプ氏のワープスピード計画でワクチンが出来があると、翌2021年3月には CAI の株式は、2020年3月の大底10ドルから5倍の50ドルになり、更には同年6月に三菱HCキャピタルが CAI の買収をアナウンスし、最終的に CAI の株価は56ドルになりました。

この華麗なトレードで、私が観察していた優れたバリュー投資家さんは億人になりました。この一連のトレード、コロナの大底から、いつかは経済再開を見込んで、経済再開で最初に動くコンテナ株を大量に仕込み、経済再開で株価は火を噴き、最後にはなんと三菱HCキャピタルに買収される … という夢のような一連のトレードを見せつけられて、マクロ経済を読めないといかんな … と思ったのでした。

その後も、順番的にはコンテナ銘柄 → バルク船銘柄 → タンカー銘柄と大相場となり、マクロ経済、経済の循環をしっかりと理解していれば、この大波に乗ることもできたかもしれないのに、私は要所要所で小判鮫のように儲けることしかできませんでした。そこで、世界の物流について学ぶべく本書を手に取りました。

コンテナから世界経済を読む

コンテナは、世界経済の血液とも言われる海運物流のカギを握る重要な要素です。標準化されたサイズと形状のコンテナは、あらゆる種類の商品を効率的に輸送することができ、世界中の港や陸上輸送手段と互換性があります。このような特性から、コンテナは国際貿易の基盤となっており、経済の発展や繁栄に大きく寄与しています。

コンテナの動きを追うことで、世界経済の流れを把握することが可能です。例えば、コンテナの輸送量や積み荷の内容が多くの国々の輸出入の状況を反映しており、それを分析することで、経済成長の兆候や減速の可能性を見極めることができます。また、コンテナのルートや輸送コストの変動は、世界の政治情勢や為替相場、エネルギー価格の変化など、さまざまな要因に影響を受けています。

経済を動かし、生活やビジネスを支えるコンテナは、製品や資源の移動を円滑に行うための基盤です。コンテナの存在によって、世界中の人々がさまざまな商品やサービスにアクセスできるようになり、地球規模でのビジネスチャンスが生まれています。このように、コンテナは現代の国際経済の成長と発展を促進する重要な役割を果たしています。そして、コンテナの動きを研究・分析することは、経済の先行きを予測し、適切な戦略を立てる上で非常に有益な情報となります。

パンデミックで大きな影響を受けたコンテナ市場

COVID のパンデミックによって世界経済が停止したとき、コンテナ船は大きな影響を受けました。パンデミックの初期段階においては、COVID-19によって世界経済が停止したとき、コンテナ船は大きな影響を受けた。パンデミックの初期段階において、需要の減少、港湾の混雑などが起きました。

世界各地で戸締りや旅行制限が行われ、消費者の生活必需品に対する需要は激減した。その結果、コンテナ船の需要が減少し、「空船」と呼ばれる出航中止や運賃の下落を招きました。

安全衛生対策により港湾労働力が減少し、貨物の積み下ろしに遅れが生じた。その結果、港湾の混雑が発生し、世界のサプライチェーンがさらに混乱した。

また渡航制限により、船会社は定期的な乗組員交代を行うことが困難となり、乗組員の疲労や福利厚生の懸念につながりました。また、航空便が限られていることや検疫が厳しいことから、物流上の課題も出てきました。

再び世界経済が動き出すと

ワクチンが開発され、世界経済が回復し始めると、コンテナ船の在庫は急速に増加しました。需要の枯渇:経済が再開され、個人消費が再開されると、商品に対する需要の枯渇が輸送量の増加につながり、運賃が上昇しました。

港湾の混雑、労働力不足、コンテナの供給制限など、世界のサプライチェーンに継続的な混乱が生じ、輸送の遅延や輸送コストの上昇を招きました。これらの要因により、コンテナ船会社の収益が増加し、株価の上昇につながりました。

パンデミックにより電子商取引への移行が加速し、オンラインで購入した商品を輸送するためのコンテナ船サービスの需要が増加した。更に、世界各国の政府が景気刺激策を実施したことにより、消費者の需要が高まり、船舶量が増加しました。

以上のように、パンデミックによってコンテナ船業界は当初は混乱していましたが、ワクチンが完成すると経済が再開され再び世界経済が動き出すことで、物資の需要が増加し、船会社の収益が増加したことでこれらのセクターの株価も急上昇しました。

船株で上昇した順番が、コンテナ船 → バルク船 → タンカーだったのはなぜか?

コンテナ船、バルク船、タンカーの株価がそれぞれ異なるタイミングで上昇した理由は、主にそれぞれの船種が取り扱う貨物や市場状況、需要と供給のバランスの違いによるものです。

・コンテナ船

コンテナ船は主に製品や消費財を運ぶため、経済活動が再開されると、消費者の需要が急速に回復しました。これにより、コンテナ運賃が上昇し、コンテナ船の収益性が改善されたため、株価が最初に上昇しました。

・バルク船

バルク船は鉱物、穀物、鉄鉱石、石炭などの原材料を運ぶため、経済活動が回復し始めると、建設やインフラ投資などの需要が徐々に増加しました。このため、バルク船の運賃も上昇し、株価が次に上昇しました。

・タンカー

タンカーは原油や化学製品などの石油関連商品を運ぶため、需要はエネルギー市場の動向に大きく影響されます。COVID-19による経済停滞で原油需要が減少し、石油価格が下落したため、タンカーの運賃は上昇しませんでした。しかし、経済活動が徐々に回復し、エネルギー需要が増加すると、タンカーの株価も上昇し始めました。

これらの理由から、株価の上昇順序がコンテナ船 → バルク船 → タンカーとなりました。それぞれの船種が対応する市場状況や需要の変化によって、株価の動きが異なるタイミングで現れたためです。