ファイナンシャル・タイムズが選ぶ2022年のビジネスブック・オブ・ザ・イヤー (15冊のロングリスト) の最優秀に選ばれた、今年とにかく必ず読んでおきたい1冊『Chip War: The Fight for the World’s Most Critical Technology』、日本版『半導体戦争 世界最重要テクノロジーをめぐる国家間の攻防』についてご紹介します。
まず日本版の装丁が非常に残念ですね … 上記の画像は、左が英語版で右が台湾版です。海外の作品で日本で発売される際の装丁やポスターのダサさって何なんでしょうね?マジョリティ層に合わせるとこんなにダサくなるのでしょうか、漏れなく残念な感じです。装丁よりも中身が大事ですので本書について触れていきます。
2023年必読の書
まずクリス・ミラーの本書は、昨年1月に日本語版が発売されたダニエル・ヤーギン著作の『新しい世界の資源地図: エネルギー・気候変動・国家の衝突』が2022年を象徴する1冊になるとすれば、本書『半導体戦争 世界最重要テクノロジーをめぐる国家間の攻防』は2023年を象徴する1冊になるのではないかと思います。
特に米株投資、半導体企業に投資していたり、地政学、テクノロジーに興味がある個人投資家には必読の書です。半導体の覇権をめぐる世界的な戦いをタイムリーかつ重要な形で描いた本書、『半導体戦争 世界最重要テクノロジーをめぐる国家間の攻防』は、半導体の誕生から現在に至るまで、技術、経済、地政学などにまたがる半導体の歴史を紐解きます。
米国がいかにして半導体産業を発明し、ソ連や日本の挑戦から半導体産業の覇権を守ったかという物語から始まります。そして、グローバル化の時代、米国が半導体産業の多くを台湾、韓国、オランダにアウトソーシングしたことを解説し、最後に2010年代の中国の挑戦と米国の対応について論じています。
内容
マイクロチップは、現代世界が依存する希少資源である新しい石油であることを知ったら驚くかもしれない。今日、軍事、経済、地政学的なパワーは、コンピュータチップを基盤として構築されている。自動車、スマートフォン、株式市場、電力網など、ミサイルから電子レンジに至るまで、ほとんどすべてが半導体上で動いている。
しかし、台湾、韓国、ヨーロッパに製造拠点を奪われたことで、アメリカの優位性は失われつつあります。しかし、台湾、韓国、ヨーロッパに製造拠点を奪われ、アメリカの優位は失われつつあります。チップ戦争で明らかになったように、半導体に他のどの製品よりもお金をかける中国は、アメリカに追いつくためにチップ製造に数十億ドルを注ぎ込んでいます。アメリカの軍事的優位と経済的繁栄がかかっているのだ。
経済史家のクリス・ミラーが、半導体が現代生活で重要な役割を果たすようになった経緯と、アメリカが半導体の設計と製造において支配的となり、この技術を軍事システムに応用するようになった経緯を解説します。アメリカが冷戦に勝利し、世界的な軍事的優位に立ったのは、他のどの国よりも効果的にコンピューティング・パワーを活用できたからである。
しかし、最近になって、中国は半導体製造の野心と軍事的近代化を両立させ、追いついてきた。本書は、半導体戦争を題材に、半導体技術を守るための同盟国への働きかけや、成立したばかりのCHIPS法、中国への新たな輸出規制など、世界的な影響を概観した、明るく、タイムリーで、魅力的な一冊です。
チップ産業が世界経済の構造と地政学的パワーのバランスを決定しているということである。しかし、本書は極論ではありません。もし、一般読者にシリコン時代を理解させ、それがドラマと重要性において原子時代に匹敵することを最終的に認識させることができる本があるとすれば、それは「Chip War」であろう。
– ニューヨーク・タイムズ
タフツ大学の歴史学者、クリス・ミラーによる半導体の刺激的な歴史…彼の本はこれ以上ないほどタイミングが良い…(特徴)鮮やかな証言(と)色とりどりの人物
– フィナンシャル・タイムズ
タフツ大学のクリス・ミラーは、彼のエレガントな新刊『Chip War』で、経済的、地政学的、技術的な力がこの重要な産業をどのように形成したかを示している。” “この産業をよりよく理解しようとする人にとって、『Chip War』は素晴らしい出発点である。
– エコノミスト誌
魅力的な…訓練された歴史家であるミラーは、読者を数十年の半導体の歴史に案内し、カラフルな逸話の使用により、このテーマが生き生きとしている。『Chip War』は、ますますデジタル化する世界での半導体の覇権をめぐる数十億ドルの戦いが、今後数年間で激化することは明らかだ。
– フォーブス