この記事では、バイオベンチャー Atlas Venture の Bruce Booth による、Syndax Pharmaceuticals (シンダックス・ファーマシューティカルズ / SNDX) が開発した「Revumenib(商品名:Revuforj)」の興味深い道のりをご紹介します。Syndax の「Revumenib(商品名:Revuforj)」は、バイオテクノロジーの医薬品開発に内在する忍耐と革新の証です。
2024年11月15日、KMT2A遺伝子転座を有する再発または難治性の急性白血病患者(成人および小児)に対する最初で唯一のメニン阻害剤である Syndax Pharmaceuticals が開発した「Revuforj®(一般名:revumenib)」のFDA承認が発表されました。
With Syndax's Revuforj approval, chalk up another FDA win for Atlas' legacy portfolio!
Fun biotech history below…
We backed Vitae Pharma in 2004 (Fund VI), called Concurrent Pharma originally. It was the early stays of computational drug discovery and they had a platform…
— Bruce Booth (@LifeSciVC) November 19, 2024
「Revumenib(商品名:Revuforj)」とは?
「Revumenib(商品名:Revuforj)」は、Syndax Pharmaceuticals が開発した経口投与可能なメニン阻害剤で、再発または難治性の急性白血病患者を対象としています。特に、KMT2A遺伝子の転座を有する患者に効果が期待されています。
作用機序: Revumenib は、メニンとKMT2A(別名:MLL)との相互作用を阻害します。この相互作用は、特定の急性白血病の発症に関与しており、阻害することでがん細胞の増殖を抑制します。
臨床試験と承認: AUGMENT-101 と呼ばれる第1/2相臨床試験では、104人の再発または難治性の急性白血病患者が参加し、21%の完全寛解率が報告されました。これらの結果を基に、2024年11月15日に米国食品医薬品局(FDA)から承認を受けました。
適応症: Revumenib は、KMT2A遺伝子の転座を有する再発または難治性の急性白血病患者(成人および1歳以上の小児)を対象としています。
SYNDAX
Syndax は、Revumenib の適応拡大を目指し、NPM1変異を有する急性骨髄性白血病(AML)患者を対象とした臨床試験も進めています。また、他の標準治療薬との併用療法の研究も行われており、治療効果の向上が期待されています。
Revumenib の開発と承認は、メニン阻害剤として初めてのものであり、特定の急性白血病患者に新たな治療オプションを提供する重要な進展とされています。
Vitae Pharma (ヴィータ・ファーマ) の起源 – 2004年~2016年
2004年にアトラス・ベンチャーの支援を受けて設立され、当初は Concurrent Pharma (コンカレント・ファーマ) という社名でした。「Contour」と呼ばれる初期のコンピューター創薬プラットフォームを活用し、薬物ポケットのモデル化を行い、構造に基づく創薬へのシフトを象徴した。
Vitae は、12年間にわたって約8つのプログラムを進め、独自開発と提携による資産のバランスを取った。2014年にIPO(新規株式公開)を行い、RORgamma と LXR を標的とする2つの自己免疫疾患治療薬を原動力として、2016年に Allergan に買収された。
メニン阻害剤プログラム(当時、探索段階のVTP-50469)は Allergan の重点分野ではなく、スピンアウトされた。
Syndax への移行(2017年)
Syndax は Vitae からメニン阻害剤資産を継承し、その中には以下が含まれる。
– VTP-50469 は SNDX-5613(Revumenib)へと進化
– メニンプログラムに関連するより広範な化学的知的財産。
Syndax は SNDX-5613 の前臨床および臨床開発を進め、FDAの承認を得るに至った。
Revumenib(2024年)の承認
メニン阻害分野における勝利であり、その治療効果の可能性を示している。
– 創薬に必要な粘り強さを示す:
発見から承認まで約10年、3社(Vitae、Allergan、Syndax)にわたる。バイオテックのハイリスク性を如実に示す例である。バイオテックが開始した8つのプログラムのうち、Revumenib のみが承認された。
– 構造に基づく創薬の成功:
Revumenib は、精密な分子設計を可能にする「Contour」のようなコンピュータープラットフォームの潜在能力を実証した。この成功は、長期的な成果を得るためには、発見段階でのイノベーションが重要であることを示している。
– Atlas Venture の遺産:
Atlas Venture Fund VI にとってのマイルストーンであり、変革をもたらすバイオテクノロジー企業の育成における実績を強化する。
– Syndaxの実行:
臨床実行、戦略的フォーカス、パイプラインの優先順位付けにおけるマスタークラス。株主価値を大幅に創出する一方で、患者にインパクトのある治療オプションを提供する。
まとめ
Revumenib の承認は、オリジナルの Vitae の創薬チーム、構造に基づく薬剤設計分野、そしてシンダックスの臨床チームの勝利です。これは、現代のバイオテクノロジーのイノベーションを定義する、企業間の協力的な取り組みの好例です。