サイケデリック薬の本が遂に日本でも発売されたとのことで、早速手に取ったのが精神科医でインペリアル・カレッジ・ロンドン付属ハマースミス病院医学部脳科学部門の神経精神薬理学教授デヴィッド・ナット氏の著書『幻覚剤と精神医学の最前線』です。海外では、『Psychedelics: The revolutionary drugs that could change your life – a guide from the expert』として2023年1月に出版されています。
以前 Zoomy でも取り上げた「サイケデリック医薬品を手がける臨床バイオ企業の躍進」記事のように、幻覚剤とも呼ばれるサイケデリック薬は、脳に作用して知覚、気分、認知機能に変化をもたらすことを述べています。
またこれらのサイケデリック・ドラッグは、うつ病治療薬として多くの臨床段階のバイオ企業が開発に乗り出しています。うつ病治療のパイプラインは、現在より新しいアプローチへと大きくシフトしています。セロトニン作動性幻覚剤、カッパ(κ)オピオイド作動薬、NMDA幻覚剤、神経活性ステロイドは、現在では2023年の試験の58%を占めています。
デビッド・ナット教授は、サイケデリック薬(マジックマッシュルームに含まれるシロシビン、LSD、DMT(アヤワスカ)など)が脳内でどのように作用するのかについての研究について語ります。 また、デビッドは、サイケデリック薬が、うつ病、不安、中毒などの精神疾患の新たな治療薬となる可能性についても論じています。
本書『幻覚剤と精神医学の最前線』について
本書『幻覚剤と精神医学の最前線』は、精神科医療と神経科学における大きな革命の幕開けに立っている今、サイケデリクスの科学についての決定的なガイドです。「サイケデリクスやMDMAに興味を持つすべての人にとって完璧な入門書」と評するのは、ドラッグ・ポリシー・アライアンスの創設者で元事務局長のイーサン・ネーデルマンです。
この分野で世界的な権威であるデヴィッド・ナット教授が、サイケデリクスが私たちの健康にどのように影響を与えるかについて解説します。50年にわたる禁止、犯罪化、そして恐怖が続いた後、科学はついに、サイケデリクスが危険でも有害でもないことを示しています。
むしろ、安全で倫理的なガイドラインに従って使用されることで、うつ病、PTSD、OCD、摂食障害、さらには依存症や慢性痛まで、多くの精神的健康状態に対する強力な最新治療法となることがわかってきています。
世界的に著名な神経精神薬理学者の一人であるナット教授は、この分野で15年間研究を続けてきました。そして2018年、彼は最初の学術的なサイケデリクス研究センターを共同設立しました。
これは、世界中の人々に根拠のある情報を提供するという彼の使命のもとで成り立っています。このセンターは、MDMA、アヤワスカ、マジックマッシュルーム、LSD、ケタミンなど、さまざまな形の薬物に対する理解と利用への関心を復活させました。
その結果、薬物の分類だけでなく、脳のメカニズムや意識についての新たな発見にもつながり、画期的な成果を挙げています。サイケデリクスの利点に関する話題が溢れるこの時期に、この本は、近い将来にメインストリームに取り入れられるであろう薬物について、熱気に流されることなく、専門家からの直接的な知識を提供します。