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Larimar Therapeutics のパイプライン「Nomlabofusp」のカタリスト

【LRMR】Larimar Therapeutics のパイプライン「Nomlabofusp」のカタリスト

現在フェーズ2の試験中である、Larimar Therapeutics のパイプライン「Nomlabofusp(CTI-1601)」は、フリードライヒ失調症治療薬として、FDAのSTARTプログラムに選ばれました。

この治療薬は、Reata Pharmaceuticals のFDA承認され上市された「SKYCLARYS (omaveloxolone)」とは異なり、病気の根本原因に直接作用することが特徴です。

Reata Pharmaceuticals が IPO してからバイオジェンに買収されるまでの物語

Reata Pharmaceuticals は、この疾患に対する別のアプローチの治療薬「SKYCLARYS (omaveloxolone)」を開発し、2023年7月28日にバイオジェンに73億ドルで買収されました。

Nomlabofusp の潜在的価値

「Nomlabofusp」は、フリードライヒ運動失調症の根本的な原因に直接作用するため、治療効果が高い可能性があります。このような薬剤がFDAのSTARTプログラムに選ばれることで、承認プロセスが加速される可能性があり、治療薬としての市場価値が非常に高まることが期待されます。

Larimar の「Nomlabofusp」は、米国食品医薬品局(FDA)から以下の指定を受けています。

– 希少小児疾患指定(Rare Pediatric Disease Designation)
– ファストトラック指定(Fast Track Designation)
– 希少疾病用医薬品指定(Orphan Drug Designation)

Reata の買収との比較

Reata Pharmaceuticals が73億ドルで買収されたことは、希少疾患市場における治療薬の高い市場価値を示しています。「Nomlabofusp」がFDA承認され、成功を収めれば、Larimar Therapeutics も同様の評価を受ける可能性があります。特に、「Nomlabofusp」が病気の根本原因に作用する点で、他の治療薬よりも競争優位に立つことができます。

「Nomlabofusp」のカタリスト

Larimar Therapeutics の「Nomlabofusp」に関する重要なカタリストが、今後の数年間で予定されています。これらのイベントは、フリードライヒ運動失調症(FA)の治療に向けた「Nomlabofusp」の開発進展において、重要なマイルストーンとなります。

・Q4 2024 – Interim OLEデータの発表

2024年第四四半期にオープンラベル拡張試験 (OLE) の中間データが発表される予定です。このデータは、「Nomlabofusp」の長期的な安全性と有効性を示す重要な情報を提供し、治療の進展に大きな影響を与える可能性があります。

ポジティブなデータが得られれば、治療の臨床的な有効性が確認され、市場の期待が高まるでしょう。これは、株価の上昇や投資家の関心を引き寄せる要因となる可能性があります。

・Mid-2025 – Confirmatory Study の開始

2025年半ばには、パイプライン「Nomlabofusp」の確認試験が開始される予定です。この試験は、薬剤の有効性を最終的に確認するための重要なステップとなります。この試験の開始は、FDAによる承認を目指すプロセスにおいて重要な進展を示し、投資家にとっても前向きなシグナルとなるでしょう。

・H2 2025 – BLAの提出

2025年後半には、生物学的製剤申請 (BLA) が提出される予定です。これは、FDAの承認を得るための正式な申請であり、「Nomlabofusp」が市場に投入される最終段階です。

BLAの提出は、治療薬が市場に出るための最終段階を示し、承認が得られれば、Larimar Therapeutics にとって大きな商業的成功をもたらす可能性があります。

フェーズ3試験はないのか?

現時点では、Larimar Therapeutics の「Nomlabofusp」は、フェーズ3臨床試験を直接実施する予定はないようです。その代わりに、確認試験 (Confirmatory Study) が予定されています。

通常、確認試験はフェーズ3臨床試験と類似した役割を果たしますが、いくつかの違いがある場合があります。確認試験は、既存のデータ (例えば、フェーズ2の結果やオープンラベル拡張試験のデータ) を基に、薬剤の有効性と安全性をさらに検証し、規制当局 (この場合、FDA) の承認を得るために行われる試験です。

フェーズ3を行わないケースもある

一部の医薬品開発では、フェーズ2とフェーズ3を組み合わせた、フェーズ2/3ハイブリッド試験が行われることがあります。これにより、迅速なデータ収集と承認プロセスの加速が可能になります。

更に、もしフェーズ2のデータが非常に強力であれば (今回のケース)、フェーズ3試験を行わずに確認試験だけで承認プロセスに進む場合もあります。

現在の情報に基づくと、「Nomlabofusp」に対するフェーズ3試験は計画されておらず、確認試験 (Confirmatory Study) を通じて有効性と安全性を最終確認し、BLA (生物学的製剤申請) を行う予定です。このアプローチは、開発プロセスの迅速化と承認までの時間を短縮する可能性があります。

まとめ

これらのカタリストは、「Nomlabofusp」の開発における重要な進展を示すものであり、Larimar Therapeutics の今後のパフォーマンスにとって極めて重要です。投資家にとっては、これらのマイルストーンに注意を払い、それに応じた投資戦略を考慮することが重要です。ポジティブな結果が得られれば、同社の株価や市場価値に大きな影響を与えることが予想されます。

個人的に同社に注目しているのは、バイオファンドの Deerfield が追加してたりするのと、一度ポジションをクローズした RA Capital が2月中旬に発表された「25mgおよび50mgコホートの第2相用量探索試験で良好なトップラインデータ」の後に買い戻していることです。

目先の株価の上下だけ見ていると疑心暗鬼になってしまいますが、一歩引いた視点から RA Capital の動きや、同じ領域の Reata Pharmaceuticals の推移、「Nomlabofusp」の臨床デザインを考慮するに、結構αがあるのではないかと観察しています。

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