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臨床バイオ企業 Bright Minds (DRUG)、株価が5日間で5,400%以上急騰の背景

臨床バイオ企業  Bright Minds (DRUG)、株価が5日間で5,400%以上急騰の背景

臨床バイオテクノロジー企業である Bright Minds Biosciences (ブライト・マインズ・バイオサイエンシズ / NASDAQ: DRUG) の株価は、2024年10月の5日間で5,400%以上も上昇するという目覚ましい急騰を見せました。

急騰する前に Bright Minds の株価は2ドル〜0.9ドルという練り底を彷徨っていました。そこにきて数日にして5,400%以上も急騰するという現象が起こりました。

この劇的な急騰は、カタリストである臨床試験結果の成功、バイオファンドの戦略的投資、ショートカバー、同領域バイオ企業の買収など市場力学の組み合わせによるものです。

臨床試験結果の成功

Bright Minds は、難治性てんかんの治療を目的とした主要薬剤候補である「BMB-101」の第I相臨床試験で良好な結果が得られたことを発表しました。

有望なデータは、「BMB-101」が既存の治療法では不十分な患者に対して差別化された治療オプションを提供できる可能性を示唆しています。

戦略的投資

同社は3500万米ドルの私募を確保し、投資家の信頼を強化し、現在進行中および今後の研究イニシアティブに不可欠な資金調達を行いました。

さらにバイオファンドの Cormorant Asset Management は Bright Minds への出資をさらに320万ドル増額し、同社の将来性を強く確信していることを示しました。

市場力学と潜在的なショートスクイーズ

株価の急速な上昇により、アナリストらはショートスクイーズの可能性について推測を始めた。このような状況では、空売りを行っていた投資家はポジションをカバーするために株式を買い戻さなければならず、株価の上昇傾向がさらに加速します。

業界買収がセクターの潜在性を強調

丁度同じ時期に、デンマークの Lundbeck による Longboard Pharmaceuticals(ロングボード・ファーマシューティカルズ / NASDAQ: LBPH)の26億ドルでの買収し、神経科学分野を強化というディールが発表されました。

Longboard と Bright Minds は同じ治療領域に重点を置く企業であり、てんかん治療市場の価値と可能性を強調するものとなりました。この買収により、同等の医薬品開発プログラムを持つ Bright Minds への注目が更に高まりました。

ポイント
買収された Longboard は、2024年5月2日に発表した第1四半期の財務報告において、主力候補のパイプライン「Bexicaserin(LP352)」はこの時第1b/2a相臨床試験「PACIFIC Study」で肯定的なトップラインデータを報告していました。つまりある種初期臨床での買収となりました。

この5,400%以上の急騰は予想できた?

今回の Bright Minds の5日間で株価が5,400%以上上昇するというのは、誰もが予想することはできなかったのでしょうか?実は株価が急騰する前日にインサイダーによる購入があったのです。

主要株主であるバイオファンドの Cormorant Asset Management は2024年10月15日、平均価格1株あたり5.53ドルで372,591株を取得し、総額は約206万ドルを購入しています。

そして Bright Minds は翌日の10月16日に、「独自の化合物である5-HT2C/2A混合アゴニストBMB-201が前臨床疼痛モデルにおいてモルヒネと同等の有効性を示す」というプレスリリースを発表し株価は急騰しました。

しかし Cormorant のインサイダーが開示されて情報となって出てくるには僅かなタイムラグがあるため、ミラートレードは難しかったかもしれません。

それでもここが重要なポイントです。内部の役員やバイオファンドの誰かが、事前に何らかの情報を知っている可能性があります。ただし、ファンドが特定のタイミングで買い増しを行ったり、役員や関係者がインサイダー買いをするケースは珍しくありません。

しかし、それだけで今回のような記録的な急騰が起こるわけではなく、むしろファンドや役員が買っていても株価が下がり続ける … というクソな状況もあります。(そこがまた難しいところです)

今回の Bright Minds の5,000%を超える急騰は複数の要因「臨床結果 x ショートスクイズ x 同領域バイオ企業の買収 x 市場の地合い」が複雑に絡み合ったことで起こりました。