Aurinia Pharmaceuticals (AUPH) は、ループス腎炎(LN)の治療薬として「Lupkynis(ボクロスポリン)」を開発・販売しています。この新規経口免疫抑制剤は、全身性エリテマトーデス(SLE)による腎炎であるループス腎炎(LN)の治療を目的としています。免疫系のT細胞を抑制することで、病気の進行を抑える効果が期待されています。
私がこのバイオ企業に注目しているのは、2024年に12月に Aurinia の取締役であるケビン・タン氏が、12月5日から12月9日にかけて、同社の普通株式を合計1,200,000株購入しているからです。
2024年12月5日:300,000株を1株あたり平均約8.91ドルで購入。
2024年12月6日:400,000株を1株あたり平均約9.01ドルで購入。
2024年12月9日:500,000株を1株あたり平均約9.09ドルで購入。
これらの購入により、タン氏の間接的な保有株数は合計で8,429,500株となりました。ケビン・タン氏は、2002年に設立されたライフサイエンス分野に特化した投資会社である Tang Capital Management, LLC のCEOとしても知られており、他にも Odonate Therapeutics, Inc.の最高経営責任者(CEO)および会長も務めています。
「Lupkynis」のFDA承認
Aurinia の「Lupkynis(ボクロスポリン)」は、2021年1月22日に米国食品医薬品局(FDA)より活動性ループス腎炎(LN)の治療薬として承認されました。
「Lupkynis」は、LN治療薬としてFDAが承認した最初の経口カルシニューリン阻害剤(CNI)です。
「Lupkynis」の上市
FDA承認からわずか3日後の2021年1月25日に米国市場で「Lupkynis」の販売が開始されました。Aurinia は大塚製薬と提携し、日本および他のアジア市場での展開を進めています。
ループス腎炎(LN)の市場規模
ループス腎炎(LN)は、全身性エリテマトーデス(SLE)患者の約40~50%に影響を及ぼす重篤な腎疾患です。2023年時点の推定市場規模は10億ドル(約1,500億円)以上とされています。
今後の市場成長率(CAGR)は約10%と見込まれており、2030年までに20~25億ドル規模に拡大する可能性があります。日本の大塚製薬は、新薬「Lupkynis(ボクロスポリン)」を2024年11月20日に日本で発売を開始しました。
大塚製薬と Aurinia Pharmaceuticals は2020年12月、経口ボクロスポリンの日本および欧州諸国におけるLN治療薬の開発および商業化に関する提携およびライセンス契約を締結しています。
今後、Aurinia の成長は、「Gazyva」との競争、「Lupkynis」の販売拡大、アジア市場(日本を含む)への展開に依存するでしょう。
競合状況
「Lupkynis」の主要競合薬には、GSK の「Benlysta(ベリムマブ)」とロシュの新規治療薬「Gazyva/Gazyvaro(オビヌツズマブ)」が含まれます。
「Gazyva/Gazyvaro」は、第III相試験(REGENCY試験)で標準療法に対する優位性を示し、今後の市場で「Lupkynis」と競合する可能性があります。
ただし、「Lupkynis」は経口薬である点が競争優位性となる可能性があります(Gazyvaは抗CD20抗体のため点滴投与が必要)。
24年Q3決算はポジティブ・サプライズ
Aurinia は、2024年第3四半期の決算を2024年11月7日に発表しました。 この決算は市場予想を上回る結果となり、投資家にとってポジティブなサプライズとなりました。
・売上高の増加
主力製品である「Lupkynis」の売上が予想を上回り、前年同期比で大幅な増収を達成しました。
・コスト管理の成功
研究開発費や販売管理費の効率的な管理により、利益率の改善が見られました。
・将来の展望
経営陣は、今後の市場拡大戦略や新製品の開発計画について前向きな見通しを示しました。
これらの要因が組み合わさり、2024年第3四半期の決算は市場の期待を上回る結果となりました。投資家やアナリストからは、同社の成長戦略と業績に対して高い評価が寄せられました。
考察
ケビン・タン氏のかなり大きな額のインサイダーは、当初は買収でもあるのか?などの声が個人投資家から聞かれましたが、もしかしたら主力製品の「Lupkynis」の売上成長が軌道に乗ってきたことがあるのかもしれません。
2024年第3四半期の決算では、総収益が6,780万ドル、純製品収益が5,550万ドルと報告され、前年同期比でそれぞれ24%および36%の増加を示しました。
さらに、Aurinia は大塚製薬との提携を通じて、日本市場への進出も果たしています。2024年9月に日本の厚生労働省から「Lupkynis」の承認を取得し、同年11月には日本での販売を開始しました。
これらの成果は、同社の製品が国際的に受け入れられ、売上が順調に拡大していることを示しています。