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うつ病治療薬を開発する臨床バイオ企業の変化

うつ病治療薬を開発する臨床バイオ企業の変化

以下の画像は、2019年から2023年のうつ病の臨床試験開始の傾向と変化について、最近の試験における新たな作用機序(MoA)に焦点を当てています。

試験開始数の減少

うつ病の試験開始数は、2023年にはパンデミック前の水準(2019年)と比較して25%減少しました。金融相場によって投資マネーが流れ込んだ、2021年のピーク時から試験数は43%減少しました(2023年には67件から38件に減少)。

これは、うつ病治療薬の開発における研究の重点と臨床的課題の変化を反映しています。

作用機序(MoA)の変化

うつ病治療のパイプラインは、現在より新しいアプローチへと大きくシフトしています。セロトニン作動性幻覚剤、カッパ(κ)オピオイド作動薬、NMDA幻覚剤、神経活性ステロイドは、現在では2023年の試験の58%を占めています。

これらの新興療法は、特に治療抵抗性うつ病に対する従来のSSRI/SNRIの代替メカニズムへの関心の高まりを反映しています。

・セロトニン作動性幻覚剤

シロシビン、Compass Pathways (CMPS) や MindMed (MNMD) などの企業が使用するような化合物は、セロトニン受容体を標的にして意識変容状態を促進し、新しい思考パターンを容易にすることで、治療抵抗性うつ病の治療に有望視されています。

・カッパ(κ)オピオイド受容体モジュレーター

これらの薬は、気分調整、ストレス反応、うつ病に影響を与えるカッパ・オピオイド系を調節することを目的としています。

・NMDA受容体サイケデリック

例としては、Johnson & Johnson (JNJ) の SPRAVATO のようなケタミンベースの療法や、ATAI Life Sciences (ATAI) や Cybin (CYBN) による新たなNMDAモジュレーターなどがあります。これらはグルタミン酸神経伝達を標的とし、気分を迅速に改善します。

・神経作用性ステロイド

これらはGABA受容体やその他の神経ステロイドを調節し、気分障害の患者を助けることを目的としています。SAGE Therapeutics (SAGE) は、産後および大うつ病性障害をターゲットとする Zuranolone を擁し、この分野のリーダーの一社です。

これらの新たなアプローチは、現在、2023年のうつ病治療薬パイプラインの58%を占めており、従来のSSRIやSNRIを越える動きの兆しを見せています。

従来の再取り込み阻害剤以外のターゲットの拡大

以前(SSRIとSNRIが主流であった時代)と比較すると、うつ病への取り組み方が著しく多様化しており、色分けされた治療法の多様性からも明らかです。

– NMDA受容体モジュレーター(ケタミンベースの治療など)の使用が増加しています。
– サイケデリック($CMPS、$MNMD、$CYBN、$ATAI などの企業が主導)は臨床研究の主流になりつつあります。

投資と変化を主導する企業

Seelos Therapeutics (SEEL)、Bright Minds Biosciences (DRUG)、GH Research (GHRS)、Compass Pathways (CMPS0、MindMed (MNMD)、ATAI Life Sciences (ATAI)、Cybin (CYBN) などの企業が最前線に立ち、これらの非伝統的療法に焦点を当ててこの分野のイノベーションを推進しています。

GH Research (GHRS)

GH Research は、治療抵抗性うつ病(TRD)に対するサイケデリック系治療に特化しています。主要パイプラインは「GH001 – 5-MeO-DMT(サイケデリック物質)」の吸入製剤。現在、第2相試験段階にある「GH001」は、従来の治療法に反応を示さなかった患者を対象としており、初期の臨床データは有望である。

COMPASS Pathways (CMPS)

COMPASS Pathways は、治療抵抗性うつ病に対するシロシビンをベースとした治療法の開発しています。主要パイプライン、シロシビンの合成製剤である「COMP360」は現在、第3相試験中。

この治療法では、他の薬物療法に反応を示さなかった慢性の重度のうつ病患者を対象に、治療効果を高めるための指導療法セッションが実施される。

MindMed (MNMD)

MindMed は、うつ病、ADHD、不安症などの精神疾患に対するLSDマイクロドーズ療法およびサイケデリック療法の可能性を探求しています。パイプラインは、不安症に対するLSDベースの治療と成人ADHDに対するマイクロドーズ療法を調査するフェーズ2試験を実施中。MindMed はまた、依存症の管理と潜在的な疼痛管理への応用についても研究しています。

これは、新たな治療に対する需要と現在の治療法の限界の両方を反映しており、抗うつのバイオ企業が代替経路に多額の投資を行う原動力となっています。

また、この変化は、投資家の実験的治療法に対する関心が高まっていることを示しています。幻覚剤やケタミン類似物質など、精神医療の治療体系を破壊する可能性を秘めた治療法への期待が高まっています。

まとめ

うつ病治療の分野は急速に進化しており、幻覚剤や新規神経活性化合物に明確な重点が置かれています。これは、満たされていないニーズへの対応と、従来の治療法の有効性に対する不満の両方を反映しています。

投資家やファンドは、このような新しいメカニズムに注目しており、将来的には精神疾患治療のあり方を大きく変える可能性があるものの、業界がより強固なソリューションを追求する中、これらの新しいアプローチは、依然として規制や臨床面でのハードルに直面しています。