2023年6月上旬以降、海外の投資家の間で話題になっているのが、「ダンボール箱の需要が弱い」という cardboard box demand (ダンボール箱の需要) を示したこちらのチャートです。
Sources: @BankofAmerica, @Bloomberg
If cardboard box demand is a leading indicator, this level of decline in demand hasn’t been witnessed since the 2008 GFC. CC: @OLGlobalMacro #markets #economy #macro #Bloomberg pic.twitter.com/0jVNoLe7GM— Oliver Loutsenko (@macroloutsenko) June 13, 2023
経済の先行指標は数あれど、こんな需要を示したものまであるんですね。段ボール箱の出荷量は、しばしば経済活動のバロメーターとして使用されます。
これは、段ボール箱が製品の包装や輸送に広く使用されているため、その出荷量は消費者の購買活動や製造業の生産活動を反映しているからです。段ボール箱の出荷量から読み取ることのできる経済の指標をいくつかご紹介します。
消費者の購買活動
段ボール箱の出荷量が増加すると、それは消費者が多くの製品を購入していることを示します。丁度コロナ禍では、人々がネットで商品を購入した関係で、段ボール箱の出荷量は急上昇しました。
これは緩和マネーにより、またコロナ禍という特殊な環境での消費でしたが、22年の利上げ前には既に段ボール箱の出荷量は暗転しています。
製造業の生産活動
段ボール箱は製品の包装や輸送に広く使用されるため、その出荷量は製造業の生産活動も反映しています。出荷量が増加すると、それは製造業が活発であることを示し、段ボールの出荷量が減っていれば、製造業も苦戦していると判断することができます。
在庫管理
段ボール箱の出荷量が減少すると、それは企業が在庫を減らしているか、または需要の減少を予測していることを示します。
オンラインショッピングのトレンド
段ボール箱はオンラインショッピングで商品を配送するためにも使用されます。そのため、出荷量の増加はオンラインショッピングのトレンドも左右します。
大和総研の記事「段ボールが示す米国の景気悪化シグナル」でも、段ボールの需要について触れられています。
米国はダンボール箱不況に陥っている
下記のチャートを拝見すると、コロナでの緩和マネーで人々が消費し、それに伴いコンテナ等で無数の商品が出荷され顧客の元に届いた訳ですが、その後のEコマ株、コンテナ、バルク船等が天井を打ち、そういった諸々がこのチャートに示されているような気します。チャート的には2008年の世界金融危機の水準に迫っており、景気がかなり落ち込んでいることが分かります。
チャールズ・シュワブのチーフ・グローバル・インベストメント・ストラテジスト、ジェフリー・クライントップ氏は、個人消費とインフレが引き続き経済の重荷となっており、米国が「ダンボール箱不況」と呼ばれる状態にあることを述べています。
世界的な不況の中、製造業や貿易業は苦境に立たされています。ダンボール箱の需要減は、2012年のヨーロッパと日本の不況を除き、過去の不況を反映したものである。
zerohedge も、2023年8月1日の記事「ダンボール箱の売上高が大幅減少、景気後退を予感させる」で、ダンボール箱の減少が既に景気後退を予想させることについて触れています。
段ボール箱の出荷:
大幅減がリセッションを叫ぶと https://t.co/ri39TgkoMK pic.twitter.com/cHvrJIwSdY
— Gold River (@Goldriver2020) August 2, 2023
今は製造業と貿易業だけが世界的な不況に陥っている = ダンボール箱不況
典型的な世界的不況では、例えば製造業、貿易業、サービス業、小売業、建設業など、あらゆる分野が景気後退し、しかもそれが同時期に起こる。しかし、今は製造業と貿易業だけが世界的な不況に陥っているように見えるので、私はダンボール箱不況と呼んでいます。
作って出荷するものは箱に入ることが多いのですが、ダンボール箱の材料である段ボールの需要が、過去の不況で見たのと同じような程度に落ち込んでいるのです。このグラフでは、紫色の線が、過去の不況期に見られたのと同じように下降しているのがわかります。
サービス業はまだ好調
これとは対照的に、サービス業はまだ好調で、今のところダンボール箱のような不況に過ぎません。しかし、今年の後半、雇用市場が軟化すれば、不況の波がサービス業にも波及するのではないかと、私は少し心配しています。
インフレよりも成長が心配
ドラッケンミラー氏は、5月のカンファレンスで「インフレよりも成長が心配」と述べている。
私はこれまで、「好景気、インフレが怖い」というガイドから「インフレよりも成長が心配」というガイドになったのは9月が初めてだと思いますが、もともとは23年の第4四半期でした。
しかし、シリコンバレーでの出来事をきっかけに、トラックや小売業など、従来から主導的な役割を担ってきた分野での逸話を聞き、一時的に気が狂ったのか、あるいは正しかったのか、今に至っている。
以上のことからも、ドラッケンミラー氏も観察している経済の先行指標に目をやり、その時 (リセッション) に備える必要があるのかもしれません。