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【2023年】なぜ今、日本株投資なのか?

なぜ今、日本株投資なのか?

なぜ今日本株投資なのか?という記事を5月初旬頃投稿したかったのですが、色々と忙しく記事を書き上げるのが遅れてしまいました。そうこうしている2023年5月17日に、日経平均が1年8カ月ぶりに3万円突破してしまったので急いでアップします。お見苦しい点あるかと思いますが、何となく伝わればと思います。

まず驚いたのが、同日夜にテレ東で放送されていたビジネス番組でしょうか?日経平均が3万円突破したのは、日本GDPが思いのほか良かった、個人消費が巻き返ししている … というような、取って付けたようなこと放送していて非常に面白ったです。まあ、それもあるんでしょうけど、もっと背景あるじゃないの?と。

なぜ今、日本株なのか?

優れた日米のバリュー投資家の洞察を観察していて色々と勉強させて頂いたのですが、日本株が見直されている理由には、ファクターがあります。

・日本株が割安に放置されていた
・日本は金融緩和を維持
・新冷戦、米中の地政学リスク
・米国から見た日本株
・世界に比べ割安日本に観光客増加
・しかし個人はインフレを攻略しないと大変なことに …

新冷戦の時代、特に米中間の緊張が高まる中で、投資家は地政学的リスクをより深く考慮するようになっています。この状況は、投資家が資金をどこに配置するかを決定する際の重要な要素となっています。

バリュー投資の神様と称されるウォーレン・バフェット氏の行動は、この視点を明確に示しています。彼は2022年に台湾の半導体ファウンドリーである TSMC の株式を購入しましたが、その年のうちに地政学的リスクを考慮してポジションをクローズしました。これは、地政学的なリスクのある国に資金を置くことのリスクを示しています。

この観点から、中国や台湾の企業への投資はリスクが高いと言えます。一方、米国株は現在割高とされています。これらの状況を考慮すると、割安に放置され、地政学的なリスクも少ない日本が投資先として魅力的に見えます。実際、日本は世界第2位の株式市場を持っており、多様な投資機会を提供しています。

したがって、新冷戦の時代において、日本株は投資家にとって魅力的な選択肢となり得ると言えます。

日本株が割安に放置されていた

4月にはバフェットが日本株投資のために来日し投資している商社を訪れたことがニュースになりました。来日中の東京からCNBCに出演するなど話題になりました。

ウォーレン・バフェット氏、日本の5大商社の株式を買い増し

バフェットが日本の5大商社に投資を始めたのは4年ほど前からです。今回更にポジションを拡大し、この日本株投資については10年、20年と続ける (ホールド) ことを述べています。

また、CNBCに出演した際に司会者から「今の日本のチャンスは、アメリカのチャンスより良いのでしょうか?」と聞かれ、バフェットは以下のように答えています。

片方対片方ではありません。米国を除く世界のどの国よりも、日本に多くの資金があるのです。

バフェットがわざわざ日本にまで来て、日本株のポジションを拡大させたことは、その後に続く日本株上昇の始まりのように思います。海外マネーも日本株に入ってきています。

日本は金融緩和を維持

日銀新総裁を迎え、日本は金融緩和を維持しています。世界を見渡せば、欧米は金融引締めを続けています。日本が金融緩和を続ける背景には、日本の債務的にも都合が良いのでしょう。

RBC Wealth Management のマネージング・ディレクター Frédérique Carrier (フレデリック・キャリヤー) 氏も、金融緩和維持している日本市場をお気に入りと述べているようで、リオープニング、製造業の国内回帰、中国再開メリット、株式フレンドリーな安定政権に好感しているようです。

新冷戦、米中の地政学リスク

米中の地政学リスク

2022年以降の新しい世界では、米中の冷戦がクローズアップされています。バフェットは22年、大きなポジションを取った台湾の世界的半導体ファウンドリー TSMC の株式を地政学的なリスクを理由に数ヶ月保有して手放していますが、今回の年次総会でも、台湾より日本への投資に前向き (米中対立で) であることが報じられています。

また中国は、2023年第一四半期に発表された経済指標が弱く、インフレどころかデフレになっているのではないか?とささやかれています。LSEのチャールズ・グッドハートとマノジ・プラダンによる著作『人口大逆転 高齢化、インフレの再来、不平等の縮小』では、日本と中国はコインと表と裏として描かれています。

【選書】人口大逆転 高齢化、インフレの再来、不平等の縮小

それは日本がかつて辿ってきた世界の工場としての存在、その後の少子高齢化、人口ピラミッドが非常に類似しているなど、日本が1990年以降辿ってきた失われた30年と同じような道を辿るのではないか?と予想されています。

優れた大局観を持ったストラテジスト、個人投資家は、中国はバブル崩壊後の日本のように失われる30年間に突入したのではないか?中国株から日本株に資金がシフトしているのではないか?と予想しています。この流れは一時的なものではなく、長期的な新たなサイクルの始まりだと捉えた方が良いでしょう。

【関連記事】中国の投資家、日本株ETFに殺到-自国市場には失望感

米国から見た日本株

ドル価だと日経平均はコロナ後高値から大分安い状態です。もう一つ重要なのが金利差で、市場で1年間ドルを貸して円を借りる際、円調達は0%でもドルには5.7%も金利が付きます。これらのファクターも、米国投資家が日本株に再注目している理由の一つです。

これは「キャリートレード」と呼ばれる戦略を用いて、低金利の通貨 (この場合は円) を借りて、高金利の通貨 (この場合はドル) で投資を行うことで利益を上げることを可能にします。

世界に比べ割安の日本に観光客増加

世界に比べ割安の日本に観光客増加

春以降、コロナの規制が緩和されると、どこに行っても海外からの観光客をよく見るようになりました。日本には世界に誇れるものとして、文化とソフト (アニメやゲーム) があります。

日本はこれらを世界と勝負する武器として、観光産業 (ツーリズム) で生き残りをかけようとしています。ある意味世界で勝負できるものが観光しかないと思うのですが、インバウンドの戻りが活況です。

日本の文化やソフトの魅力の他にも、2022年から続く円安の効果や、世界に比べてまだまだ物価が割安 (安くて美味しい、比較的安全など) なことも影響していると思います。

日本に暮らしていると、電気代も物価も大分上がったと思うのですが、世界に比べるとまだまだアップサイドがあるのが現実です。

次のサイクルに備えよ!

日本市場が見直されているその背後には、インフレや企業価値の上昇など、様々な要素が影響しています。その結果、次の10〜15年のサイクルで日経平均が10万円を超えると予想する人たちも出てきています。

現在、2023年のサイクルはまだその始まりであり、上下動が見られると思いますが、この時期に優れたバリュー投資家やウォーレン・バフェット、チャーリー・マンガーが日本株に投資している意味を考える必要があります。

これらの投資家は、長期的な視点で投資を行い、企業の本質的な価値を重視します。彼らが日本株に投資しているということは、日本の企業が持つ本質的な価値や、日本経済の将来的な成長性を評価していると言えるでしょう。

バフェットも今回のポジションを10年〜20年見ていると言ったのを思い出して下さい。エコノミストのエミン・ユルマズ氏も長らく日経平均について安過ぎると、常に強気の意見だったと記憶しています。

バフェット率いるバークシャーは2023年5月7日に行われた株主総会で、日本投資について次のように述べています。

日本の三菱、三井、伊藤忠、丸紅、住友には良い意味で驚いている。日本での投資チャンスをもっと探っていくつもりだ。

またチャリーマンガーは、米国で続いている銀行破綻の話題に触れ日本の債務問題にも言及しています。

債務状況に対する日本のやり方はすごいが、真似するべきではない。

要は、日本人は文句を言わず我慢するから、ああいうやり方がまかり通る、アメリカ人だったら文句が出るから無理、という話のようです。この話は痛烈ですね。

日本の個人はインフレを攻略せよ!

日本の個人はインフレを攻略せよ!

ここまで読むと、日本経済も右肩上がりで日本に住む個人も、その恩恵を受けるのではないか?と思われる方もいるかもしれませんが、それについては不透明な部分が多いと思います。

インフレ時代が到来すると、経済全体は右肩上がりのトレンドを示すかもしれません。しかし、その恩恵は全ての個人に等しく行き渡るわけではありません。大手企業のエリート層は、賃上げや初任給のアップなど、インフレの恩恵を受けられるかもしれません。しかし、それ以外の多くの日本人にとって、給料がインフレと同じペースで伸びるかどうかは不透明です。

この状況は、個人間での格差を一層広げる可能性があります。企業が業績を伸ばす一方で、個人の生活は厳しくなるかもしれません。これは、インフレが物価を上昇させ、生活コストを増加させるためです。

したがって、日本の個人はインフレを攻略する戦略を立てる必要があります。

デフレ脳からインフレ脳への切り替えが必須

デフレ脳からインフレ脳への切り替えが必須

つまり、インフレヘッジできてる人と、そうじゃない人との間では、日本でも益々格差が広がります。これまで日本は、失われた30年と言われるようなデフレ時代を歩んできました。

デフレ時代は日本円だけ持っていれば良かったかもしれません。しかし世界はインフレの波に見舞われています。これは、物価が上昇し、通貨の価値が下落する現象を指します。既に日本でも物価が上昇しています。

このような状況では、これまでの「デフレ脳」から「インフレ脳」への切り替えが必要になります。デフレ脳とは、物価が下がり、通貨の価値が上昇するデフレ時代の思考です。一方の、インフレ脳とは、物価が上昇し、通貨の価値が下落するインフレ時代の思考パターンです。

これから日本で起こる、既に起こっているインフレは人口減少による経済が縮小していくなかでのインフレです。インフレ時代にはどんな人が敗者となってしまうのか、以下で復習しておきましょう。

・インフレ時代の敗者

インフレで最も損をするのは、労働者、サラリーマン、従業員、教師、年金生活者、債権者です。最も打撃を受けるのは、定収入を得ている人々で、中産階級と呼ばれています。なぜなら、賃金 (給料) は物価上昇程上がらないからです。

更にインフレ時代の敗者は、貯蓄者、固定金利や家賃で生活している人、年金生活者、年金基金、保険会社、そして金融資産を主に現金で持っている人々です。これらの人は収入が固定されているため、物価上昇期には苦しくなります。

【関連記事】日本も遂にインフレの再来、今こそ堅実な資産運用を身に付けよう

インフレ、増税のアップサイド

日本は世界に比べて税金も物価上昇もまだ低い方です。つまりそれは、まだインフレのアップサイド、増税のアップサイドが大きいことです。それは何を意味するのでしょうか?

実質賃金は今後上がるかもしれませんが (あるいは全く上がらない … という人も多いでしょう)、インフレのペースには追いつかない可能性があります。これは、物価の上昇が賃金の上昇を上回る状況です。その結果、消費者の購買力は低下していきます。

また、増税のアップサイドも考慮する必要があります。税率の増加は、個々の所得に対する税負担を増やすことになります。これは、所得の一部が増税によって奪われ、結果的に消費や投資の余裕が減少することになります。

このように今後のインフレ、増税のアップサイドを考慮すると、どうすればインフレヘッジすることができるのか?を学び理解し、適切な経済行動をとることが求められます。

飲食店の商品価格にまだインフレが反映されていない問題

藤沢さんのツイートによると、モスバーガーなど、価格に敏感な一般層向け飲食店はまだまだ我慢大会開催中とのこと。原材料費が高騰しているのに、価格に敏感な顧客の反応を伺っていてまだ商品の価格に反映できていない。それすなわち、まだ価格のアップサイドが大きいということ。日本はもともと物価や安いまま停滞していたので、世界に比べてまだまだ安く、その分上値へのアップサイドが大きいということ。

このようにインフレがまだ道半ばというのに、大企業以外の庶民の給与が上がらないと、物価は上がるけど賃金が上がらないため家計はキリキリマイに陥ってしまいます。

ざっくりまとめると、インフレでまだ物価は上昇するのに、給料は上がらない、国民負担率は47.5%と過去最高になる見込み、今後日本円の価値は相対的に低下する、つまり今までのようなスタンスで暮らしていると時間の経過と共に貧困化します。

ですからインフレをヘッジする必要があるのです。物価の上昇は、電気代、ガス代、食費、日用品で上がっていることをこれまで実感していましたが、いよいよ衣料品にもその波は押し寄せています。

この前ブロガーのちきりんさんが、ユニクロで買い物したら、結構買うとそれなりにする、みたいなことをツイートされていましたが、日本のデニムブランド Ordinary Fits なども、2023年7月から定番のアイテム (パンツやジャケット) の値上げをアナウンスしています。その値上げ幅は5,000円ぐらいで、同社はこれまで値上げしないで辛抱してきたようですが、遂に値上げせざる終えなくなったようです。この兆候ですと、値上げ前の駆け込み需要がまた起こるかもしれません。

資産を日本円だけ保有しているリスク

資産を日本円だけ保有しているリスク

日本の債務は長らく高水準にありますが、その問題に対処するための政策が複数あります。その一つが、金利を低く抑える「金融緩和維持」です。これにより、政府は債務の利払い負担を軽減できます。また、インフレ率を上げることで、負債の実質的な価値を低下させることもできます。

しかし、この政策は長期的には日本円の価値を下げる可能性があります。日本円しか資産を持っていない場合、将来的にはその価値が低下するリスクを考慮する必要があります。政府の方針的に、日本円の価値は希薄化する方向に向かっており、日本円だけを保有していると、知らないうちにその価値が低下するリスクがあるのです。

インフレをヘッジするために、株式や不動産で資産を持つ

ここまでつらつらと書いてきましたが、だからこそインフレをヘッジする必要があるのです。インフレをヘッズするには、例えば株や不動産で資産は持たなければいけません。

資産を株や不動産に分散させることは、通貨の購買力低下リスクに対処する有効な方法の1つです。では外貨は?と思う方もいると思いますが、購買力低下は世界的なトレンドであり、外貨だけで資産を保有することも一定のリスクが伴います。

インフレ時代には、資産の価値を保持するための戦略が必要です。その一つの方法として、株式や不動産への投資があげられます。これらの資産は、通貨の購買力低下リスクに対するヘッジとして機能する可能性があります。

株式は、企業の業績や経済成長に連動するため、インフレによる価格上昇を反映する可能性があります。また、不動産は物理的な資産であり、その価値は一般的に時間とともに上昇します。これは、土地や建物の供給が限られている一方で、需要は増加し続けるためです。

以上のことから、これからはインフレ脳で資産形成を考えれなければいけません。

番外編 : 日本円で他に持つなら何が良いか?

それは借金ですね。インフレ時代には、借金が資産戦略の一部として有効に機能する可能性があります。これは、借金の実質的な負担がインフレによって軽減されるためです。具体的には、借りたお金の価値が時間とともに低下し、返済する際の負担が相対的に軽くなるからです。

日本では、金融緩和政策が続けられており、低金利環境が維持されています。これは、借金をする際のコストを低く抑えることができる環境を提供しています。この環境を利用して、適切な計画とリスク管理のもとで借金をすることは、資産戦略の一部として考慮する価値があります。

しかし、借金にはリスクも伴います。返済能力を超えた借金をすると、返済に苦しみます。また金融政策が変り、金利が上昇した場合、返済負担が増加します。したがって、借金をする際には、自身の返済能力とリスク許容度を考慮することが重要です。

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