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元プロのポーカープレイヤー、アニー・デュークから学ぶ「確率思考」と「決断技法」

今回は、認知心理学のバックグラウンドを持つ元プロポーカープレイヤー Annie Duke (アニー・デューク) の著書『確率思考 不確かな未来から利益を生みだす』と『How to Decide 誰もが学べる決断の技法』から “確率思考” と “決断技法” を学びたいと思います。

『確率思考 不確かな未来から利益を生みだす』

まず2018年に出版された、アニー・デュークの著書『確率思考 不確かな未来から利益を生みだす (Thinking in Bets: Making Smarter Decisions When You Don’t Have All the Facts)』について詳しくご紹介します。

デューク氏は『確率思考 (Thinking in Bets)』において、ポーカーでの経験と意思決定に関する知識をもとに、意思決定やリスクマネジメントに関する新しい考え方を提示しています。本書の中心的な考え方は、人生はポーカーと同じように、不完全な情報と不確実性のゲームであるというものです。

そのため、意思決定を一連の賭けとしてとらえ、起こりうる結果を比較検討し、その時点で入手可能な情報に基づいて選択する必要があります。意思決定とは未来に対する賭けである。全米ベストセラー、ビル・ゲイツ、ウォーレン・バフェット、バラク・オバマ、クリスティアーノ・ロナウド … 超一流の成功者はみんな身につけている、ポーカーが教えてくれる「思考の技術」とは。

不確実性を受け入れる

人生は未知の世界であり、予測不可能な出来事で溢れている。より良い決断をするためには、この不確実性を受け入れ、受け入れることが重要です。

Resulting(結果)

この言葉は、意思決定をその結果のみに基づいて判断してしまうという、よくある間違いを指している。デュークは、人生には不確実性がつきものであるため、良い決断が悪い結果につながることもあれば、その逆もあると主張しています。結果だけでなく、意思決定のプロセスの質に基づいて意思決定を評価することが重要です。

確率的思考

デューク氏は、意思決定を評価する際に、確率やオッズの観点から考えるよう読者に勧めています。さまざまな結果の可能性を考慮することで、より情報に基づいた選択ができるようになります。

経験から学ぶ

過去の決断、結果、フィードバックを振り返ることは、時間をかけて意思決定スキルを向上させるのに役立ちます。デューク氏は、意思決定のプロセスを記録し、分析するために「意思決定ジャーナル」を作成することを勧めています。

結果だけでなく、プロセスに焦点を当てる

意思決定のプロセスの質に集中することで、結果にかかわらず、将来、より良い選択をする能力を向上させることができます。

多様なネットワークを育む

異なる視点や経験を持つ人々と関わることで、自分の思い込みを覆し、意思決定を向上させることができる。

これらの原則とポーカーからの教訓を応用したデュークの「ベットで考える」は、個人の選択から仕事上の努力まで、人生のさまざまな場面でより賢い意思決定をするためのフレームワークを提供します。

確率的思考とは?

不確実な状況下でより良い意思決定をするための重要な要素として、確率的思考の重要性を強調しています。確率論的思考とは、さまざまな結果の可能性を評価し、その確率に基づいた選択をすることです。以下は、デューク氏が本書で強調している確率論的思考のポイントです。

不確実性を認識する

デューク氏は、確率論的思考の第一歩として、多くの状況に不確実性が存在することを認めることを主張しています。そうすることで、白黒はっきりさせたり、絶対視したりするような考え方を避けることができるのです。

確率を見積もる

確率論的思考では、単に「起こる」「起こらない」と決めつけるのではなく、さまざまな結果に確率を割り当てる。そうすることで、確率と潜在的な結果を天秤にかけて、より情報に基づいた意思決定を行うことができます。

結果の範囲

確率論的思考は、最も可能性の高い1つのシナリオだけに注目するのではなく、さまざまな可能性を考慮するよう促します。これにより、視野が広がり、予期せぬ事態に備えることができます。

継続的な学習と更新

確率論的思考は1回で終わるものではなく、新しい情報や経験に基づいて、常に自分の予測や信念を更新していく必要があります。この繰り返しにより、時間の経過とともに意思決定が洗練されていきます。

ニュアンスを受け入れる

確率論的思考は、多くの状況において、複雑さやニュアンスを受け入れることができ、唯一の「正解」や「決断」が存在しないことを認識することができます。この考え方は、より柔軟で適応力のある選択をするのに役立ちます。

意思決定の質と結果を分離する

確率的思考の重要な原則の1つは、人生には不確実性が内在しているため、良い決断が悪い結果につながることもあれば、その逆もあり得るということを理解することです。このことは、結果だけを評価するのではなく、意思決定のプロセスを改善することに集中するのに役立ちます。

デュークは、意思決定に確率的思考を取り入れることで、不確実性をうまく管理し、より多くの情報に基づいた選択をすることができ、最終的に総合的な意思決定能力を向上させることができると主張しています。

『How to Decide 誰もが学べる決断の技法』

もう一冊、アニー・デュークが2020年に出版した著書『How to Decide 誰もが学べる決断の技法 (How to Decide: Simple Tools for Making Better Choices)』は、人生の様々な場面でより良い決断をするための実践的なフレームワークを読者に提供することを目的としています。

デュークは『How to Decide』の中で、個人の意思決定能力を向上させるのに役立ついくつかの重要な概念とツールを紹介しています。一部、『確率思考』と重なる項目がありますが、この二冊を読み進めることで、意思決定のストラテジストでもあるアニー・デュークの考え方を更に深く理解することができます。

不確実性を受け入れる

デューク氏は、不確実性は人生につきものであり、それを認識し受け入れることが重要であると強調しています。不確実性を受け入れることで、優柔不断に陥ることを避け、より多くの情報に基づいた選択をすることができるようになります。

意思決定と結果の区別をつける

デュークは、良い決断が必ずしも良い結果を保証するわけではないこと、またその逆も然りであることを強調しています。結果よりも意思決定プロセスの質に注目することで、経験から学び、将来より良い選択をすることができるのです。

意思決定のフレームワークを使う

デュークは、デシジョンツリー、長所と短所のリスト、プレモーテムなど、さまざまな意思決定のフレームワークやツールを紹介しています。これらのツールは、個人がさまざまな選択肢を体系的に評価し、起こりうる結果を考慮し、より合理的な意思決定を行うのに役立ちます。

素早く決断する

デュークは、多くの場合、決断を先延ばしにするよりも、素早く決断した方が良いとアドバイスしています。先延ばしにしてしまうと、チャンスを逃したり、ストレスをため込んだりする可能性があるため、迅速に決断する習慣を身につけることで、より効果的な意思決定ができるようになります。

経験から学ぶ

デューク氏は、読者に過去の決断を振り返り、何がうまくいき、何が改善されたかを評価し、その教訓を今後の意思決定の場面に生かすことを勧めています。

本書は、アニー・デュークのポーカープレイヤーとしての経験と、意思決定の戦略家としての経験をもとに、意思決定のスキルを向上させるための包括的でわかりやすいガイドを提供しています。本書は、プライベートでも仕事でも、意思決定能力を高めたいと考えている読者に最適です。

著者について

Annie Duke (アニー・デューク) は、ワールドシリーズ・オブ・ポーカー(WSOP)やNBCナショナル・ヘッズアップ・チャンピオンシップなど世界最高峰の大会で優勝した経験を持つ、数少ない女性ポーカープレーヤー。現役引退後は、ポーカーの競技経験と大学・大学院で学んだ心理学の知見を活かして、意思決定のコンサルタントとして活躍。非営利団体「How I Decide」を主宰し、青少年の考える技術を向上させる慈善事業にも従事している。コロンビア大学で英文学と心理学専攻、ペンシルベニア大学で認知心理学の修士号を取得。