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【2023年】今ある市場の危機に目を凝らす

【2023年】今ある市場の危機に目を凝らす

今回は今ある市場の危機に目を凝らすという表題で、水面下で進んでいる次の危機、リスクについて触れながら、それらのリスクが実際に牙を剥いた時に何が起こるのか?それは予想できないにしても、現在どのような危機やリスクが潜んでいるのか?について認識しておくことは、投資家としてリスク管理につながると思います。

株式投資において、最も重要なものは株式と金利の関係だと思っています。株式と金利がシーソーの関係だとすれば、いよいよFRBによる利上げが終わる局面であれば、株式にとってはプラスのニュースだと思います。しかし、ここから新しい相場の夜明けか?と聞かれれば、そうは上手くもいかないと思っています。

株式はロングしつつも、状況によっては利確を入れながら、ある時期になったら売りで入るなどのトレードもできると今からいくつかのシナリオを想定しています。今回は、2023年現在市場に潜む危機やリスクについて目を凝らしてみたいと思います。

銀行破綻の余波

JPモルガンCEOジェイミー・ダイモン氏、銀行危機についての警告を鳴らす

JPモルガンのCEOであるジェイミー・ダイモン氏は、銀行業界における現在の危機が終わっておらず、これから数年間にわたってその影響が続くと警告しました。

彼は、銀行業界における信頼感を損なうリスクが高まっており、米国内の景気後退のリスクが高まっていると主張しています。ダイモン氏は、規制当局による銀行業界におけるパニックを非難し、銀行ストレステストにも言及している。

彼は、ストレステストが過度に複雑化し、リスク委員会に虚偽の安心感を与える可能性があると述べています。また、彼は、金利上昇のリスクがストレステストに含まれていなかったことを非難しました。

さらに、ダイモン氏は、金利上昇などのリスクが銀行業界にとって常に存在していたにもかかわらず、規制当局がこれらのリスクを見逃していたと批判しています。彼は、より共同的なリスク評価が必要であると主張しています。

一方、ダイモン氏は、銀行業界に対する規制が過剰になると懸念を表明しており、ストレステストに基づく資本要件の不確実性が銀行業界に損害を与えると述べています。また、コミュニティ・バンクのロビー活動により、Silicon Valley Bank や Signature Bank など、2500億ドル未満の資産を持つ銀行が規制の対象外になったことを指摘しました。

クレジットクランチ

アメリカの小規模および中規模銀行の存続危機により、新しい貸付がストップし、アメリカ経済が後退する可能性がある。また、銀行危機が始まった3月下旬の時点でダラス連邦準備銀行の最新の銀行業務状況調査により、信用基準と条件が厳しくなっており、貸付需要が5か月連続で減少していることが明らかになった。今後、回転貸付(クレジットカード債務)の低迷に続いて、GDPの縮小と景気後退が予想される。

世界の脱ドルの動き

アメリカの保守派政治コメンテーター、タッカー・カールソン氏は、アメリカのドルが世界の通貨として長年使用されてきたが、ロシアの制裁により変化が生じたことを指摘している。制裁により、ロシア、中国、インド、トルコなどがアメリカのドルから離れ、ドルの保有が減少したため、アメリカが持つ特権的な立場が揺らいでいると述べている。これにより、アメリカの中流階級の人々が住宅を購入することができたり、政府が莫大な債務を抱えても問題がなかったのは、アメリカが世界のリザーブ通貨を持っていたからだと指摘している。

Zoltan Pozsar と Perry Mehrling によるドルの将来についての議論

この動きについては、クレディ・スイスの短期金利戦略のストラテジスト Zoltan Pozsar 氏が「Bretton Woods 3.0 (ブレトンウッズ 3.0)」で既に触れている通り、この動きが目に見えるかたちで加速しようとしている。

米ドルを介さない決済として、2023年2月に中国とブラジルは二国間貿易の際に米ドルを仲介通貨とせず自国通貨で決済するという協力覚書を締結。

人民元は現在、世界第5位の決済通貨となっており累計30カ国以上が人民元決済の利用を開始しています。そのうち、ロシア、ブラジル、イラン、カンボジア、イラクの5カ国はすでに人民元決済が利用可能になっている。

脱ドルの動きですが、瓦解してはいけないのが「基軸通貨がドルに取って代わられる」という訳ではありません。ドルが世界の準備通貨から消えるという話は誇張されており、実際には数十年かかるプロセスです。

上記の図は、現在でも世界の外国為替準備の約60%がドルで構成されていることを示しています。過去22年間にわたり、ドルの比率は12%減少しましたが、これは徐々に進んでいるものであり、慌てる必要はありません。

また、ロシアのウクライナ侵攻時にはドルが安全な通貨として求められました。アメリカの資産は世界的に人気があり、外国人がその資産の大部分を保有しているため、ドルの需要は高いと思います。

最終的にはドルが代替通貨に置き換わる可能性はありますが、非常に長期間かかるだろうと、このツイートでは述べています。そして最後に、ドルがグローバルな準備通貨から消える心配はない、と付け加えています。

コモディティ市場、需要が増える中で価格が上昇する可能性

クレディ・スイスの短期金利戦略のストラテジスト Zoltan Pozsar 氏は、コモディティ市場について、現在は供給過剰による価格低迷の時代ではなく、需要が増える中で価格が上昇する可能性があると指摘している。過去の景気後退時には、コモディティ市場が崩壊したが、今回は違い、過去10年間の石油やガスなどへの投資が少なかったこと、シェールオイルの生産がピークアウトしていることなどが背景にある。さらに、政府のクリーンエネルギー政策による需要の転換も重要な要因となる。ただし、過去にあった高価格に対する供給増加のフィードバックループは今は存在しないため、市場は不確実性に晒されている。

高金利時代の再来

高金利環境が続くと、どのような危機やリスクが応じるのか?

FRBは、5月上旬に開催される FOMC (米連邦公開市場委員会) で今回の利上げサイクルの最後となる0.25bp利上げを行い、その後はインフレ抑制のため政策金利 (FFレート) をそのまま高い位置で横ばいで推移させることを示しています。もしそうであれば、今後利上げは終わったものの、すぐには利下げに転じず、政策金利が高いまま維持される可能性が高いです。そうなると、どのような危機やリスクが応じるのか?今から備えておく必要があると思います。

世界のパワーバランスが徐々に変化している?

中国を訪問したフランスのマクロン大統領は、2023年4月6日の北京に続き、7日も南部の広東省で会談と夕食会を習近平国家主席と共に席を介した。この会談直後に、「ヨーロッパがアメリカへの依存度を下げ、”自律した第三の超大国” になることを望んでいる」と趣旨のことが伝えられている。

中国の軍事演習が台湾を包囲しているにもかかわらず、彼は現在も中国に滞在しています。マクロンによれば、

ヨーロッパは「アメリカの追随者」となる圧力に抵抗しなければならず、中国とアメリカの対立に巻き込まれることを避けなければならない。大きなリスクは、自分たちのものではない危機に巻き込まれることだ。

中国はマクロンの戦略的自治の概念を熱狂的に支持した。この言葉は、中国当局者が欧州諸国との取引で常に口にする言葉である。マクロンはさらにこう言う。

もっと悪いのは、私たちヨーロッパ人がこのテーマでフォロワーになり、米国のアジェンダや中国の過剰反応からヒントを得なければならないと考えることだ。

アメリカは徐々に中国に同盟国を奪われている?NATOは侵略されたときに台湾を支援するのだろうか?事態は思わしくない…。

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