image by 気象庁 / 南海トラフ巨大地震の震度分布
今回は2023年3月11日(土)午前 4:05 に放送されたラジオ番組『関西発ラジオ深夜便 ▽明日へのことば : 中村宏 ▽明日へのことば 京都大学名誉教授・鎌田浩毅』で、京大地球科学教授の鎌田浩毅さんがお話されていた、南海トラフ巨大地震で起こることについて、一部抜粋してご紹介します。
この記事で紹介します内容は、地震大国で暮らす日本人ひとりひとりがリスクとして、また減災のためにも知っておくべき内容です。2011年3月11日に日本を襲った東日本大震災は、1000年に一度の大地震と言われています。
1000年に一度なら次起こるのは1000年後だからもう関係ないね、という話ではありません。日本は東日本大震災以降、未曾有の変動期に入っており、1000年ぶりの大地変動の時代が始まったのです。鎌田さんは、「過去を振り返っている時間はない!」と仰います。
この記事は、鎌田さんが仰る通り、”日本に暮らし、未来を生きる全ての人に” 自分ごととして捉えて頂き、減災への備えや、あなたのライフイベントに2030年〜2040年 (予想) に「南海トラフ巨大地震」が起こることを加えて頂き、どのように生き延びるか?大切な人をどのように守ることができるのか?を是非考えて頂きたいのです。
東日本大震災から1000年ぶりの大地変動の時代が始まった
ラジオの冒頭では、日本は東日本大震災から1000年ぶりの大地変動の時代が始まった。東日本大震災から30年くらいはこのペースで地震が続くことが予想され、まだ東日本大震災から12年しか経ってない訳だから引き続き首都直下地震や、南海トラフ巨大地震への注意が必要であることが話されています。
東日本大震災は1000年に1回、南海トラフ地震は100年に1回の時計で動いている。南海トラフ巨大地震は100年に1回起きる。次の100年目が2030年〜2040年までであることが指摘されいます。
南海トラフ巨大地震で起こること
まず南海トラフ巨大地震で、どんなことが起きるのでしょうか?まずは、南海トラフ巨大地震がもたらす脅威についてしっかりと把握しておきましょう。
・南海トラフ巨大地震は100年に1度起きる、次に想定されているのが2030年〜2040年
・3回に1回は巨大地震、次に起こるのがこの巨大地震
・東海地震 (静岡沖)、東南海地震 (名古屋沖)、南海地震 (四国沖) がいっぺんに起きる
・南海トラフ巨大地震のマグニチュードは「9.1」
・最大34メートルの津波が地震発生から2、3分で押し寄せる
・被害は東日本大震災の10倍
・南海トラフ巨大地震の経済被害は220兆円
・南海トラフ巨大地震の犠牲者は32万人 (東日本大震災の16倍)
・次に来る “南海トラフ巨大地震” は、東日本大震災が10年間毎年起きることがいっぺんに襲ってくるようなもの
・今から2030年だとすると7年後とか17年後まで、のどこかで起こる
・首都圏東京も被害がある
・被害に合う人口は6000万人、日本人の2人に1人が被害に
明日へのことば 京都大学名誉教授・鎌田浩毅
それではラジオで話されていた「南海トラフ巨大地震」についての部分を一部抜粋してご紹介します。
中村宏さん (インタビューアー) : 今心配されているのは、「首都直下地震」、そして「南海トラフ巨大地震」これは本当に差し迫っているのでしょうか?
以下鎌田浩毅さん : そうですね、まず南海トラフ地震は100年おきに起きてるから、これまでどんな地震が起きたかがわかる。我々地球科学には「過去は未来を解く鍵」というキーフレーズがあります。だから過去におきた現象を調べて次の未来を予測する。
次に来るのは南海トラフの巨大地震
そうすると南海トラフは100年おきなんだけど、3回に1回は巨大地震なんです。つまり南海トラフが600キロぐらいの海の溝があるけどいっぺんに動く。次がそのいっぺんに動く番で連動型地震という。東海地震、南海地震、その間に東南海地震、丁度東から西に向けて南海トラフという海の溝を3つの場所に分ける。
東海地震は静岡沖で地震が起きる、東南海地震は名古屋沖、南海地震は四国沖、そんなイメージで、その3つがちょっとずつずれたり、いっぺんに動いたりする。
南海トラフ巨大地震のマグニチュードは「9.1」
丁度、1707年江戸時代の南海トラフ地震がこの3つがいぺんに動いた。次がこの3つがいっぺんに動く番で、マグニチュードももう分かっている「9.1」という。東日本大震災は「9.0」だった。次の南海トラフ地震は「9.1」東日本大震災よりちょっと大きい地震がこれからくる。
「9.1」の地震が起きるとどうなるか?というと、東日本大震災と同じ揺れがくる。震度7とか津波が来る。ただ、東海地震 (静岡沖)、南海地震 (四国沖)、東南海地震 (名古屋沖) の起きる場所が陸地に近い。それで震源域がなんと陸地まで引っかかってるぐらい。そうすると海で地震起きて海底が盛り上がって津波が発生する。
最大34メートルの津波が地震発生から2、3分で押し寄せる
海底も盛り上がり水の30メートルぐらいの塊ができて押し寄せてくる。震源域が陸に近いということは水がすぐにやってくる。そうすると30メートルの津波、水の塊が減水せずに、低くならずにそのまま押し寄せてくる。
それが次の南海トラフ巨大地震の災害で、具体的にいうと最大の津波が34メートル。東日本大震災が20メートルだから5割り増し。問題はその34メートルの津波がどれくらいの地震でやってくるか?というと、一番早いところで2、3分くらいの時間でやってくる。これはシミレーションするとわかる。具体的には高知県とか和歌山県の沿岸で34メートルが2、3分でくる。そうすると逃げられないわけ。これが一番怖いわけで。
具体的に34メートルをイメージして下さい。ビルでいうと11階建てぐらい。大体1フロアー3メートルぐらいとすると、11階ぐらいのビルがあって11階建てのビルの水の塊が押し寄せてくる。それが3分とか10分くらいでどっときて。そうすると34メートルよりも高いとこに逃げなきゃいけない。それに対して国も県も色々と必死に準備しているが、まだ具体的にどうやって人を助けるかというとこまで行っていない。
こういうことが起こる、ということを知って今から準備して
今日お伝えしたいのは、こういうことがわかっていて、これを知ることで今から準備して色んなどうやって自分の命を守るのか?を考えてほしいというのが趣旨。
東日本大震災の被害の10倍 = 南海トラフ巨大地震
そういう津波が来るのが南海トラフ巨大地震だし、丁度300年前の1707年に起きたことと同じようなことが次に起こる。一言いうと東日本大震災の被害の10倍が想定されている。
南海トラフ巨大地震の犠牲者は32万人
経済被害でいうと、東日本大震災は20兆円の被害でした、次に起きる南海トラフ巨大地震は220兆円。つまり10倍。犠牲者の8割ぐらいは津波による被害が想定されている。南海トラフ巨大地震が32万人、東日本大震災は行方不明の方を合わせても2万人ぐらい、つまり16倍。
次に来る “南海トラフ巨大地震” は、東日本大震災が10年間毎年起きることがいっぺんに襲ってくるようなもの
今日知って欲しいことは、東日本大震災も巨大な災害でしたけど、次の南海トラフ巨大地震は東日本大震災よりも1桁大きい10倍大きいということ。10倍ということは東日本大震災が10年間毎年起きることがいっぺんに襲ってくるのが次の南海トラフ巨大地震ということ、これがみなさんにあんまり伝わっていない。
今から2030年だとすると7年後とか17年後まで、のどこかで起こる
今まで見た南海トラフ予想で1番腑に落ちたこれ怖過ぎ pic.twitter.com/n9ibfSxUUL
— 端クレ (@JL0NICEW1WahcdL) June 17, 2024
・1707年 宝永地震 1.8m隆起
↓
147年後
↓
・1854年 安政地震 1.2m隆起
↓
92年後
↓
・1946年 昭和南海地震 1.15m隆起
↓
次の巨大地震は2030年あたり
聞いたことはあっも具体てきな災害のイメージとか時期、今から2030年だとすると7年後とか17年後まで、のどこかで起こる。しかもパスはない、今まで100年ぐらい規則正しくおきていて、「過去は未来を解く鍵」という我々のキーフレーズするからすると、必ず起きてパスはない。ただパスはないと言ってもいつ起きるか年月日でいうことはできない。10年ぐらいの幅の中で起こる。しかも東日本大震災の10倍の被害です。ここだけ押さえて欲しい。
もう一つ、さっき地図をイメージして下さいと言ったけど、東海地震って静岡でしょ、南海地震は四国なんですよ。でね南海地震はちょっと西の九州、宮崎県の震源地がある日向灘っていう場所なんですけど。結局ね、静岡から宮崎までの海底が割れて地震を起こす。
首都圏東京も被害がある
それで首都圏東京も被害がある、大きな揺れによって東京の高層ビルとかマンションとかが共振して大きな被害が出るだろう。そすると東京から九州までの全部の都道府県に被害がある、そうすると助けにくる人がそれよりも外側ってことは、東北地方とか沖縄とかそういうとこらからでないと助けに来れない。これが今までの地震災害と今までと違う。
被害に合う人口は6000万人、日本人の2人に1人が被害に
具体的には被害に合う人口が6000万人と言われている。日本の人口が1億3000万人ぐらいだから半分、日本の半分の人が被害に合うから、正に助けに来てくれる人がその外側だから、それこそずっと何日もじゃなく何ヶ月という期間で生き延びなきゃいけない。
みなさんに伝えたいのは自分の力で自分の身を守る、それから自分の力、またはコミュニティに備蓄とか色んな準備をしてそれでみんなで助け合って守る。そうじゃないと誰かが助けてくれるというのを期待できないかもしれない。もちろん国も自治体も頑張って色んなことを準備している。
だけどここまで広い範囲巨大な災害になると一人一人が自分の身を自分で守るということやって頂きたいというのが僕の伝えたいメッセージ。
— 以上です —
深夜便ラジオの聞き逃しを聞きたいという方は、2023年3月18日(土) 午前5:00 まで配信されていますので聞いてみて下さい。
私はオンタイムで聴いていたのですが、ヤバいという記憶はあるものの時間帯が時間帯ですので、改めてらじるらじるの聞き逃しで聴いて戦慄したというか … 腹が痛くなるというか … 怖すぎますね。
南海トラフ地震については、先日もNHKスペシャル「南海トラフ巨大地震」でドラマが放送されていたりして拝見していました。その本当の恐ろしさを知ったのは、2022年6月の早朝にNHKのラジオを聴いていたら、養老孟司さんが南海トラフ地震について話されていました。
そこでは養老さんの大局観的な視点も話されていて、日本は間違いなく国難レベルに陥ると思うのですが、その時にどこかの国が大金が差し出してきたら、日本はどうなってしまうのか?と考えてしまう訳です。
その国は最近、イランとサウジアラビアを仲介して外交関係を正常化させたりと、上手い外交カードを使い俄に影響力を強めています。上記の養老孟司さん記事のあとがきにも先日書き足したのですが、今改めて日本という国がどんな時に変わったか?というと、この国はいつも内側から変わることができず、いつも外的要因や、足元を揺らされてしまう (巨大地震) ことで社会がご破算になり、毎度リセットボタンが押されて来たってことなんです。
つまり日本に住んでる以上、周期的な地震から逃れることができず、そうであるなら地震に対してリスクヘッジをしておく必要がありますね … 更に丁度先日、NHKスペシャル「南海トラフ巨大地震」のドラマを見て戦慄した後に、南海トラフのカウントダウンが始まったのではないか … というような情報も目にしてしまいました。
丁度南海トラフの番組見た後で、地震前兆反応を捉えていると。南海トラフ地震のカウントダウンが始まったと。https://t.co/NRHihOBook
— たらこ・三太 (@libers) March 5, 2023
揺れる大地を賢く生きる 京大地球科学教授の最終講義
もっと詳しく「南海トラフ巨大地震」について知りたい、学びたいという方は、2022年に角川新書から出版された鎌田浩毅さんの著書『揺れる大地を賢く生きる 京大地球科学教授の最終講義』を是非お読み下さい。
本書は、著者が務めていた京都大学で行われた最終講義を収録したもので、日本が大地変動の時代に突入したこと、2035+-5年以内に南海トラフ巨大地震の襲来を予想、更に富士山を含む日本の20の火山がスタンバイ状態にあること、減災の意識を持つことなどが鮮明に語られています。
最後に、日本にお住いの皆さんには巨大地震への備え、減災の備えをお願い致します。