投資には10年ごとの投資テーマというユニークな研究があります。10年トレンドとも呼ばれる長期的な投資トレンドは、1960年以降、ニフティ・フィフティ、ゴールド、日経225、ナスダック、原油ブーム、FAANGs (GAFA) と移ろってきました。10年のスパンで考えると、そろそろ次の投資テーマを探すには良い時期なのかもしれません。
FAANGs の最盛期は過ぎ去った
伝説のトレーダー、マーク・ミネルヴィーニ氏が2022年10月28日のザラ場中に、”FAANGs (Facebook aka META、Amazon、Apple、Netflix、Google) の最盛期は過ぎ去ったのかもしれない” と意味深なツイートを共有しました。FAANGs をはじめとする大手ハイテク企業は終焉なのでしょうか?
Themes that lead in one decade don't lead the next. Mega caps and FANG's best days are behind. Many of the new leaders will be names you never heard of. If you only buy stocks you already know you will miss many of the best future leaders. Consider small & mid-cap stocks. pic.twitter.com/5l8SLQVNOs
— Mark Minervini (@markminervini) October 27, 2022
ある10年でリードしていたテーマが次の10年でリードすることはない。メガ・キャップやFANGの最盛期は過ぎ去った。新しいリーダーの多くは、あなたが聞いたこともないような名前になるだろう。既に知っている銘柄だけを買っていると、将来の優れたリーダーを見逃すことになる。中堅・中小型株も検討しよう。
マーク・ミネルヴィーニ氏がツイートした画像には「Investment Themes by Decade (10年ごとの投資テーマ)」と書かれており、株式市場において10年ごとに大きな投資のテーマとなるものが示されています。
次の主役は、GAFA ではない?
現在のGAFAの繁栄はスマホのお陰で、そのスマホは3nまで半導体が微細化して技術進歩が利便性に結び付かなくなった。ムーアの法則は10年は続きそうだが、活用できる有力技術が今は見当たらない。そのうち何か出るだろうが、次の主役は多分GAFAではない。 https://t.co/FHOIZXCZBq
— 馬場正博 (@realwavebaba) November 5, 2022
2020年までの時点では、過去10年間はアメリカの大企業ハイテク・成長株が大きく牽引し、特に FAANGs は好調に推移しました。しかし、2022年以降 Facebook から Meta に改名し事業のピボットを図っている同社の業績がふるいません。これは、EUで規制が進むプライバシー保護による広告事業の衰退、コロナショックによる先食いを発端とするピークデジタルなど様々な要因や時代の変化が影響しています。
2022年は、Meta と同様に Snapchat などSNS/広告関連事業が下火となり、この流れを追ってきた広瀬さんは第三四半期の Google の決算を例に、「広告モデルの時代は終わったよ。YouTube 広告ですら前年比割れだもん。」とツイートしています。Google など大手ハイテク企業の決算は軒並み悪いものでしたが、これには為替要因による影響が大きく、ドル高で海外売上比率が高い GAFAM には厳しい第三四半期となっている。
またこれまで決算が良かったり、注目されていた小型中型のハイテク企業 Twilio (トゥイリオ)、Zoominfo (ズームインフォ) などでもビジネスの悪化や、カンファレンスコールで異変が起きていることが投資家に説明された。
決算の奮わない大手ハイテク企業の広告事業はゼロ成長、マイナス成長の兆しが見え始めている。既に相場も、大型のハイテク株から小型中型株に物色の矛先は移っています。
過去10年ごとの投資テーマを振り返る
What will be the dominant investment theme of the next decade?
Contact us at info@alpinemacro.com for our big picture take on the next 10 years of investing. #stocks #stockmarket #marketinsight #investing #finance #fed #StockMarketCrash2020 #COVID19 pic.twitter.com/OyqaJrDDFs
— Alpine Macro (@RealAlpineMacro) April 27, 2020
「10年ごとの投資テーマ」に話を戻すと、過去70年を振り返ってみると、パフォーマンスを上げるリーダーは決して繰り返されず、毎回異なるアセットクラスが出現していることが分かる。
1960年〜「ニフティ・フィフティ」
1960年〜1970年あたりまでは、ニフティ・フィフティというニューヨーク証券取引所に上場されている大型株約50銘柄のグループが大きく上昇しテーマとなりました。
1970年〜「ゴールド」
1970年代は、2桁のインフレ、石油ショック、ドル安、政情不安など投資家を恐怖と不安に陥れた。恐怖と不安の高まりの中で、投資家は目に見える富の蓄積である金を買うことに。70年代が終わろうとする頃、人々は金を手に入れようと躍起になっていた。
1980年〜「日経225」
1986年から1991年にかけて日本で発生した不動産や株式の価格が大きく膨らんだバブル経済。1980年代は日本のバブル期として知られており、日経225が世界の市場をアウトパフォームしました。しかし1992年初めにこのバブルが崩壊し、日本経済は停滞した。
1990年〜「ナスダック」
熱狂の1990年代は、ナスダックが市場をリードし、今尚伝説として語られるドットコムバブルが起こった。インターネット・バブルとも呼ばれるこの現象は、1990年代前期から2000年代初期にかけて、インターネット関連企業の実需投資や株式投資が、実態を伴わない異常な高値となって最後には弾け飛んだ。
2000年〜「原油ブーム」
2000年代に入り、原油が長期的な投資トレンドとなった。その背景には、2000年代の「エネルギー危機」で激動期を迎えつつも、その当時成長著しい中国の存在があった。中国の経済成長と共にエネルギー需要の増加を支えた。
2010年〜「FAANGs」
そして時が経ち、現在生きている人であれば誰もが認識しているように国境を超えたハイテク企業 FAANG こと、Facebook (META)、Amazon、Apple、Netflix、Google が市場を席巻した。
2020年〜「???」
ここまで、10年ごとの投資テーマを振り返ってきましたが、マーク・ミネルヴィーニ氏がツイートするように、FAANGs に陰りが見えるとすれば、次の10年はどのような企業が市場を引率するのか?そろそろ新たな投資テーマを探す必要があるかもしれません。
まとめ
マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツは、”我々は常に2年後に起こる変化を過大評価し、10年後に起こる変化を過小評価する” と述べています。今後10年間で投資環境にどのような変化が起こるかを想像する時期がきているのかもしれません。
🇺🇸モルガンスタンレー
「様々な資産クラスで頭打ち(トレンドの終焉)の兆候が観測されつつある」
「来年は全く新たな1年となる」Morgan Stanley: "We're seeing a topping process play out this quarter, and then, 2023 is a new year"
— Yuto Haga 🎃👻 (@Yuto_gahagaha) November 6, 2022
様々な資産クラスで頭打ち、トレンドの終焉の兆候が観測されつつある。2023年は全く新たな1年となる …
2020年のコロナショック前は、ESG 投資が今後市場のテーマとなるような雰囲気がありましたが、コロナ後のインフレ、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、エネルギー価格は高騰し、現在世界はESG投資や脱炭素から逆行し、石油や石炭のエネルギー需要が増加傾向にあります。
こんな未来を誰が予想できたでしょうか?このように移り変わる市場のトレンドや状況を観察し、地道に次の大きなテーマを探っていくしかありません。