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スタンレー・ドラッケンミラー氏、トランプの関税について見解を語る

著名な投資家のレジェンド、スタンレー・ドラッケンミラー氏が、今年1月に CNBC に出演し、トランプ関税について語った内容の一部を、これまたレジェンド、マーク・ミネルヴィニ氏が共有していますので翻訳してご紹介します。

私は10%以上の関税には賛成しない。でも、今の世界は理想とは程遠い

いや、”関税おじさん” みたいな形でこのインタビューを終えたくはないんだ。理想的な世界であれば、私は10%の関税には賛成しない。でも、今の世界は理想とは程遠い。

我々は大きな財政問題を抱えている

ご存じの通り、我々は大きな財政問題を抱えている。義務的支出と利払いだけで、現在の歳入のほぼ100%を食ってしまっている。

そして、与野党ともに、社会保障などの “エンタイトルメント”(権利給付)を削減するつもりがないと言っている。これが部屋の中の象(最大の問題)だ。

だからこそ、我々には “財源” が必要なんだ

だからこそ、我々には “財源” が必要なんだ。主要な選択肢は所得税か消費税、つまり関税のようなものだ。だから私が関税について言うとき、それはこの2つのうち “より悪くない方” という意味だ。

関税は歳入を生み出す

我々には財政問題がある。だから歳入が必要だ。関税は歳入を生み出す。また、米国には “個人貯蓄が極端に少ない” という問題もある。多くの経済学者は関税に警鐘を鳴らしているけど、消費税であれば問題ないと考える人も多いだろう。

関税とは “外国人が一部を負担する消費税”

私にとって、関税とは “外国人が一部を負担する消費税” のようなものなんだ。もちろん、リスクは “報復” だけど、10%程度に抑えていれば問題はないと思う。

それに、“トランプに対する恐れ” もあって、報復のリスクは過剰に見積もられている。実際のところ、そのリスクは見かけほど大きくはなく、むしろ “より悪くない選択肢” なんだ。

私は長らくドラッケンミラー氏の動向を追っていたので、ドラッケンミラー氏のトランプ関税に対する「むしろ “より悪くない選択肢” なんだ」と結論付けたことに注目している。

スタンレー・ドラッケンミラー氏が Sohn Investment Conference 2023 で語った事

ドラッケンミラー氏はここ数年、常に先送りされる米国の財政問題を警戒していた。そのドラッケンミラー氏がトランプ関税を言わば受け入れているというのは、かなり先見性があるのかもしれない。

更に張本人であるトランプ大統領は、国民に対して「国民は耐え抜け」と示している通り、これは米国にとって避けては通れない荒治療なのかもしれない。

ドラッケンミラー氏、「私は10%を超える関税には賛成しない」

ドラッケンミラー氏は、トランプ関税が発表された後に「私は10%を超える関税には賛成しない」と述べています。投資家のスタンレー・ドラッケンミラー氏は、2025年4月6日(日)に X(旧Twitter)で珍しく投稿を行い、「10%を超える関税には反対する」と再度強調した。

今年1月に、CNBC のインタビューに出演した際は (この記事のインタビュー) 次のように述べています。

10%以内の範囲であれば、関税のリスクは過大評価されており、得られる見返り(リターン)の方が大きい。関税は “二つの悪のうちマシな方” に近い。

またドラッケンミラー氏は関税について全般的に、「本質的には消費税のようなもので、その一部を外国が負担しているに過ぎない」との見解も示しています。

ドラッケンミラー氏の今回の投稿は、ドナルド・トランプ元大統領の大規模な関税計画(最大50%、ほとんどの国に一律10%課す)から距離を置く内容となっています。

ドラッケンミラー氏が珍しく、X を投稿した背景にはこの記事上部で取り上げた、マーク・ミネルヴィニ氏が1月の CNBC 出演の動画を投稿引用したことがあると思います。

その際にこのインタビューがいつ行われたものなのか?がクレジットされていなかったため、多くの人がトランプ関税が発表された後のドラッケンミラー氏のインタビューだと勘違いしたものだと思います。

これにドラッケンミラー氏としては、釘を刺しておきたかったという背景があるものだと思います。X 上に投稿された、1月のCNBCインタビューの動画に対してドラッケンミラー氏は以下のように返信しました。

10%以上の関税には賛成しないということを、あなたが引用しているインタビューでも私は明確に述べています。

つまり、ドラッケンミラー氏としても10%を超えてくるトランプ関税はサプライズであり、今回のトランプ関税が市場の動揺、不確実性を招いたことが全てを物語っています。