Everywhere you look in biopharma, you see drug duopolies. But why is this such a common structure?
Some thoughts below. If you'd like a PDF of the graphics, comment below or download it for free from Sleuth's website!
1. As long as they're not tasked with building market… pic.twitter.com/IzcGnBdjBu
— Andrew Pannu (@andrewpannu) January 28, 2025
こちらの画像が示すのは、バイオ医薬品業界はある領域において、バイオファーマにおける「二強独占」の構造が浮き彫りになっていることを指摘しています。
バイオ医薬品業界において、なぜこのような二強独占の構造になるのか?そこには、どのような背景があるのかについて詳しく追ってみたいと思います。
まずは、各主要領域ごとに独占している企業とその医薬品について見ていきましょう。
Neuroscience(神経科学)
アルツハイマー病
主要企業は、Eisai (エーザイ) / Biogen (バイオジェン / BIIB) による製品「Leqembi」 (売上予測: $6B)、Lilly (リリー / LLY) の製品「Kisunla」 (売上予測: $4B)、同じく24年7月にFDA承認されたばかりの Lilly の「donanemab (ドナネマブ)」があります。
アルツハイマー病は、治療法が未だ限られている分野です。2024年も多くの臨床段階のバイオ企業がこの領域で苦戦しており、臨床試験で結果を出すことができる開発を中止する企業が続出しています。
エーザイとバイオジェンの「Leqembi」は、FDA承認を受けた画期的な治療薬です。リリーの「Kisunla」も類似の作用機序を持っていますが、競争が激化しています。
うつ病
主要企業は、Abbvie (アッヴィ / ABBV) の製品「Vraylar」 (売上予測: $5B)、Johnson & Johnson (ジョンソン&ジョンソン / JNJ) の製品「Caplyta」 (売上予測: $4.5B) が代表的です。
精神疾患治療薬の中で、抗うつ薬市場は成長が続いています。現に臨床段階のうつ病を対象とした薬品は結構あります。アッヴィの「Vraylar」は双極性障害にも適応を持ち、Johnson & Johnsonの「Caplyta」は多面的な治療効果を提供します。
遅発性ジスキネジア
主要企業は、Neurocrine Biosciences (ニューロクライン / NBIX) の製品「Ingrezza」 (売上予測: $3.5B)、イスラエルの Teva (テバ / TEVA) の製品「Austedo (デューテトラベナジン)」 (売上予測: $3B) があります。
遅発性ジスキネジアは治療が難しい神経障害です。両社の薬剤は、異なる作用機序で患者に選択肢を提供しています。
腫瘍学 (オンコロジー)
TROP2 ADCs(抗体薬物複合体)
主要企業は、Gilead (ギリアド / GILD) の製品「Trodelvy (サシツズマブ ゴビテカン)」 (売上予測: $5B)、AstraZeneca (アストラゼネカ / AZN) / Daiichi-Sankyo (第一三共) による製品「Dato-DXd」 (売上予測: $2B) があります。
ADCは特定の腫瘍細胞を標的にする画期的な治療法で、乳がんや肺がんの治療に使用されています。昨今買収が多い分野としても注目されています。
【関連記事】ADCs (抗体薬物複合体) は、オンコロジーで最も急速に拡大している治療法の一つ
多発性骨髄腫 (CAR-T)
主要企業は、Legend Biotech (レジェンドバイオ / LEGN) / Johnson & Johnson による製品「Carvykti」 (売上予測: $5B)、そして Arcellx (アーセラックス / ACLX) / Gilead による製品「Anito-cel」 (売上予測: $4.5B) です。
CAR-T 細胞療法は、患者自身の免疫細胞を改変して腫瘍を攻撃する治療法。BCMAを標的とするこれらの治療薬は、多発性骨髄腫の治療に効果的です。
免疫チェックポイント阻害薬 (PD-L1 Inhibitors)
主要企業は、Merck (メルク / MERK) の製品「Keytruda (キイトルーダ)」 (売上予測: $30B)、Bristol Myers Squibb (ブリストル・マイヤーズ / BMY) の製品「Opdivo (オプジーボ)」 (売上予測: $8B) です。
PD-L1 阻害薬は免疫システムを活性化し、がん細胞を攻撃します。Keytruda は市場をリードしているが、Opdivo も特定の適応症で競争力を持っています。
その他の治療領域
肥満 / 2型糖尿病
主要企業は、Lilly (リリー / LLY) の製品「Mounjaro (マンジャロ) / Zepbound (ゼプバウンド)」 (売上予測: $70B)、Novo Nordisk (ノボノルディスク / NVO) の製品「Wegovy (ウェゴビー) / Ozempic (オゼンピック)」 (売上予測: $45B) です。
糖尿病治療薬が肥満治療にも効果を示し、新しい市場を形成しています。Lilly と Novo Nordisk の2社がこの分野を独占しています。
地理的萎縮
主要企業は、Astellas (アステラス製薬) の製品「Izervay」 (売上予測: $2B)、Apellis (アペリス / APLS) の製品「Syfovre」 (売上予測: $1.5B) です。加齢黄斑変性症の治療領域で新しい選択肢を提供しています。
眼科領域
主要企業は、Regeneron (リジェネロン / REGN) の製品「Eylea」 (売上予測: $9B)、Roche (ロシュ) の製品「Vabysmo」 (売上予測: $8B) です。網膜疾患治療で、特に糖尿病黄斑浮腫と加齢黄斑変性症の治療に使用されています。
なぜバイオ医薬品は二強独占となるのか?
先行者利益の強み
市場認知を構築する必要がなければ、先行者は新規処方を獲得しやすい。患者が一度薬に安定すると、新規参入者への切り替えは少ない。更に先行者は、長期的な臨床データを確立する機会を持っています。
PBM(薬局給付管理会社)の支持
先行者は市場のボリュームを確保しやすく、契約で優位なフォーミュラリーステータスを獲得します。価格が高いほどPBMへのリベートが増えるため、安価な後発競争者よりも収益性が高い。
後発資産の戦略
後発参入者は、先行者が占めないニッチな患者層をターゲットにします。これは初期のボリューム獲得には有利ですが、第一線の市場リーダーシップは先行者に奪われることが多いです。
多重発見理論
科学的なブレイクスルーは孤立して起こらないため、新しい治療領域では複数の主要プレイヤーが出現する傾向がある。これはバイオ企業に限らず、多くの市場で見られます。
先行者のイノベーション
先行者は後発競争者に対抗するために、新しい適応症の開発や投与方法の改善に注力し続けます。このように、先行者の優位性とPBMとの関係性が、バイオファーマ業界で「二強独占」という構造を生み出していると言えます。