この記事では、バイオ/ヘルスケアに特化したファンド RTW インベストメントのCIOやCBOが語った、バイオ/ヘルスケア分野への投資についての貴重な洞察をご紹介します。
その段階に応じたバイオ投資スキル
開発段階の企業に投資する場合は、リサーチを通じて成功確率を評価する必要があります。収益段階の企業に投資する場合は、商業的な機会を予測し、収益がどこに向かい、どのくらい続くのかを見極める必要があります。
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早期の上場と低い評価額
バイオテクノロジーの業界では、企業が多額の資本を必要とするため、非常に若い段階で比較的低い評価額で公開されることがあります。これは大量の資金調達が必要であり、上場がその手段となるためです。
成功の大部分は上場後に起こる
企業が成功する場合、その90%は公開企業になった後に起こるという。つまり、企業の成長や価値の大幅な向上は上場後に達成されることが多いということです。
ファンドなどはプライベート市場で優位性がある一方で、その作業や学習に対する報酬の大部分は公開企業になった後に得られるということです。
初期段階での資金調達の必要性
薬の開発には平均で15年かかり、そのうち前半は研究室での基礎研究、後半は臨床試験や認可手続きに費やされます。特に最初の1年は資金調達が極めて重要な期間であり、ここでの資金不足はプロジェクトの進行に大きな影響を及ぼします。
政府資金の限界
政府やNIH(米国国立衛生研究所)からの資金は、主に基礎科学研究を対象としており、治療薬として有望になったプロジェクトの前臨床段階では、政府資金はほとんど期待できません。したがって、企業はこの段階で民間からの資金調達が必要となります。
投資ステージの見極め : モダリティ(治療法)による判断
異なる治療法や技術プラットフォームによって、投資すべき適切な段階が異なります。例えば、新しいプラットフォーム技術(抗体やmRNAなど)は、基礎研究段階ではビジネスモデルが確立していないため、リスクが高い一方で大きなリターンの可能性もあります。
投資ステージの見極め : データの重要性
特定のデータが結論に導く理由を理解することが重要です。早期段階での有望なデータを適切に評価できれば、投資判断の質が向上します。
資金調達による希薄化のリスク
企業が開発資金を調達するために増資を行うと、既存株主の持ち分が希薄化する可能性があります。このリスクを念頭に置いて投資判断を行う必要があります。
遺伝子治療の AveXis に投資して買収された話
私たちは上場前のラウンドで投資しました。当時は時価総額500億円程度の会社でした。彼らは2016年初頭にIPOを行いましたが、バイオテクにとっては非常に厳しい年でした。
株価は圧迫されており、ベンチャーキャピタルが多く投資していたため、上場から6か月後には皆が株を売却しました。その結果、大量の売り圧力と市場の低迷が重なり、株価は大幅に下落しました。私たちが最初に投資した時点では、まだ前臨床データしかありませんでした。
そのデータは動物実験のものでしたが、私たちはこれがヒトでも効果があると確信しており、ポジションを増やし続けました。そして2年以内に、Novartis にほぼ90億ドルで買収され、承認された治療法となりました。
臨床バイオはハイリスク
正直なところ、ほとんどの医薬品開発失敗率が非常に高く、成功率は最初から最後まで進める中で一桁台に過ぎません。
新しいモダリティについて
現在は非常に興味深いフェーズにあり、イノベーションの爆発と新しいモダリティの急増を目の当たりにしています。COVID ワクチンで知られるRNA、細胞治療、あまり知られていないプロテインデグレーダーやバイスペシフィック、抗体薬物複合体(ADC)、放射性医薬品などがあります。
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新しいモダリティが次々と登場しているため、私たちは多くの「初めて」を目にしています。1950〜60年代の抗生物質ブーム、1980〜90年代のバイオ医薬品(インスリンなど)、その後のイノベーションの停滞、そして遺伝子治療やRNAのような技術の登場によって、今後の爆発的な成長の可能性が見えます。
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非常に長い間、米国では年間約40種類の新規薬が承認されてきましたが、昨年は過去最高の61種類が承認されました。そのうち約4分の1がこれらの新しいモダリティによるものです。
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今開発中の薬を見るだけでも、5〜10年後には新規薬の承認数はさらに増加し、80〜100種類に達するでしょう。そして、その中のかなりの割合が新しい技術によるものとなるでしょう。