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中国の歴史では中央政府の崩壊が27回も起こっている

中国の歴史では中央政府の崩壊が27回も起こっている

中国の歴史において、中央政府の崩壊が27回も起こったというのは、歴史的に繰り返されてきた中央集権の崩壊と復興を指しています。このような崩壊は、多くの場合、内乱、外敵の侵入、経済的な破綻、農民反乱、官僚主義の腐敗などが原因となり、数多くの王朝が滅び、再編されてきました。以下は、代表的な中央政府崩壊の例です。

秦の崩壊 (紀元前207年)

秦の始皇帝は中国全土を初めて統一しましたが、その統治は過酷であり、農民反乱や内部の権力闘争が激化し、わずか15年で滅亡しました。

漢王朝の崩壊 (220年)

漢王朝は長く続いたものの、後漢末期には宦官の専横や地方軍閥の台頭により、三国時代に突入しました。

唐王朝の崩壊 (907年)

唐王朝は安史の乱(755-763年)を機に衰退し、地方の藩鎮が自立し始め、最終的には五代十国時代に突入しました。

元の崩壊 (1368年)

モンゴル帝国が建てた元朝は、経済的混乱や飢饉により、紅巾の乱が発生し、最終的には明朝に取って代わられました。

明の崩壊 (1644年)

明王朝は宦官の専横や経済的困難、そして李自成率いる農民反乱により崩壊し、その後、満州族が清朝を樹立しました。

清の崩壊 (1912年)

清王朝は19世紀後半から列強諸国の圧力や内部の腐敗、太平天国の乱、義和団の乱などの影響を受けて弱体化し、辛亥革命によって中華民国が成立しました。

中央政府崩壊のサイクル

これらの崩壊は、中央政府の権威が失われ、地方の軍閥や反乱勢力が台頭することが特徴です。そして、しばしば新たな王朝や政府が力を持ち、再び中国全土を統一していく歴史のサイクルが見られます。

このサイクルを「王朝交替の理論」とも呼び、強力な中央集権が成立し、その後衰退して地方の分権化が進み、最終的には新たな中央集権が再建されるというものです。

このような歴史的なサイクルは、中国の政治文化や社会構造の一部として、何世紀にもわたって続いてきました。

最近の中国では?

最近の中国では、以前のような完全な「中央政府の崩壊」という事態は起こっていませんが、過去の歴史に見られた中央集権の崩壊に似た、社会的、経済的、そして政治的な不安定要因が増えてきているとの指摘があります。特に、次のような要素が挙げられます。

・経済成長の減速
中国は数十年にわたり急速な経済成長を遂げてきましたが、近年、その成長率が鈍化しています。経済の減速は、特に若年層の失業率の上昇や、不動産市場の不安定化といった問題を引き起こしています。これにより、経済的格差が拡大し、社会的不安が高まる可能性があります。

・人口問題と高齢化
中国の「一人っ子政策」の影響により、現在中国は急速な高齢化に直面しています。労働人口の減少は経済に大きな圧力をかけており、今後数十年でさらに悪化する見通しです。これは、歴史的な崩壊の原因となった人口減少の一形態ともいえます。

・政治的抑圧と情報統制
中国政府は、特に習近平体制の下で強力な抑圧的統制を続けています。これにより、国内の情報流通が制限され、中央政府が現実的な判断を行うための正確なデータが不足するリスクが高まっています。これは歴史上、政府崩壊の前触れとして見られる兆候の一つです。

・外部からの圧力と貿易戦争
アメリカとの貿易摩擦や、西側諸国との対立の激化は、中国経済に悪影響を及ぼしています。国際的な孤立や供給チェーンの再編成が進む中で、経済的な圧力が強まっています。

・地方政府の負債
中国では地方政府が過剰な負債を抱えており、その返済が困難な状況にあります。これにより、地方の経済は深刻な打撃を受けており、中央政府がこれをどう管理するかが大きな課題となっています。

これらの要素は、中国の中央集権的な体制を揺るがす可能性があり、歴史的な崩壊に似た社会的な不安定を引き起こす恐れがありますが、現時点では完全な崩壊には至っていません。

しかし、過去の王朝崩壊のパターンと比較すると、いくつかの要素が共通していることが見て取れます。

ピーター・ゼイハン氏の見解

ピーター・ゼイハン氏は昨今の中国の動向について、2024年6月20日に行われた「グローバル化の崩壊と世界勢力図の変化」のインタビューで次のような見解を述べています。

中国の歴史では、中央政府の崩壊が27回も起こっています。現在経済的に重要とされる地域も、いずれは「辺境地」と化し、文明が保たれる場所は点在するのみとなるでしょう。

中国ではこれを「軍閥主義」と呼びますが、問題は、人口の多くが食料を生産できない地域に住んでいることです。特に中国北部の平原では、食料を生産するために大規模な水利システムが必要です。

しかし、文明的支柱が崩壊し、中央集権が失われれば、これらのシステムも維持できなくなります。さらに、中国は自国の食料を生産するために必要な資源の80%を輸入に依存しています。

ですから、大規模な飢饉が発生する可能性が高く、特に北部平原ではそのリスクが高まります。過去の27回の崩壊のうち、およそ半分は同じようなパターンをたどってきました。

北部平原では飢饉や軍閥主義が広がり、北京が自己統治の安定を図ろうとするものの、人口の半数が死亡するという結果を招くことが多いのです。そして、上海から広州にかけての南部の都市国家は、外国と取引を行い、資本や技術、そして何よりも食料を輸入して生き残ろうとします。

実際、これらの都市は過去1700年間、ほとんどのカロリーを輸入に頼ってきました。このシナリオは一見ひどいように思えるかもしれませんが、実際には歴史的な平均に戻っているだけです。しかし、その「平均」は決して美しいものではありません。