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マーク・スピッツナーゲル、人類史上最大のバブルを予想

マーク・スピッツナーゲル、人類史上最大のバブルを予想

一流の悲観投資家、最も有名な “ブラック・スワン” ヘッジファンドを運営するウォール街の “カオスキングス” ことマーク・スピッツナーゲル氏が、WSJの記事で「人類史上最大のバブル」を予想している。

彼はかつてナシーム・ニコラス・タレブと共にエンピリカ・キャピタルを設立し、閉鎖後にユニバーサ・インベストメンツを設立、ブラックスワン理論で知られる投資手法で有名です。

エンピリカ・キャピタルとは?

エンピリカ・キャピタルは、2000年にナシーム・タレブとマーク・スピッツナー(Mark Spitznagel)によって設立されました。タレブはリスク管理と確率論に関する深い知識を持ち、その理論を実践的に応用するためにエンピリカ・キャピタルを立ち上げました。

彼の著書『ブラック・スワン』(The Black Swan)や『まぐれ』(Fooled by Randomness)で提唱された概念が、このファンドの投資戦略の基礎となっています。

エンピリカ・キャピタルの投資戦略は、タレブのリスク管理理論に基づいており、特に「ブラック・スワン」イベントと呼ばれる極端なリスクや予測不可能な出来事に備えることを重視しています。

マーク・スピッツナーゲル氏の著書には、2013年に日本語訳も出版された『ブラックスワン回避法』、2021年には新書『Safe Haven: Investing for Financial Storms』を上梓しています。

『セーフヘイブン:金融の嵐に備えた投資』マーク・スピッツナーゲル

私がマーク・スピッツナーゲル氏に興味を持ったのは、東洋経済新報社から2024年7月下旬に出版された『カオスの帝王: 惨事から巨万の利益を生み出すウォール街の覇者たち』で、暴落時に莫大な収益を上げるファンドとしてユニバーサが紹介されているのを知ったからです。

【選書】『カオスの帝王: 惨事から巨万の利益を生み出すウォール街の覇者たち』

マーク・スピッツナーゲル氏率いるユニバーサの投資手法は、パンデミック、テロ、暴動、政治紛争、サイバー攻撃、気候変動、破壊的技術の出現など市場を混乱に陥れる「予測できない極端な現象 = ブラック・スワン」にいち早く気づき、暴落時に莫大な収益を上げるポジションを常に取ってきた。

2020年3月、パンデミックに市場が揺れるなか、ユニバーサは4000%を超えるリターンを叩き出した。多くの投資家が匙を投げ、多額の損失を被るなか、なぜユニバーサは莫大な利益を生み出すことができたのか、というのが本書の内容です。

【関連記事】マーク・スピッツナーゲルの投資哲学

マーク・スピッツナーゲルの相場観

マーク・スピッツナーゲル氏が2024年7月下旬にWSJに掲載された相場観は非常に興味深い内容になっています。

マーク・スピッツナーゲル氏は、主要株価指数を突き破るほどの大幅なディスカウントを予測しているが、同時に、一般投資家はポートフォリオに忠実であるべきだとも考えている。彼は「人類史上最大のバブル」を見ており、年内の景気後退を予測しているが、長期的な最良の戦略は株式市場に受動的に投資することだと主張している。

スピッツナーゲルによれば、専門家は極端な景気後退のリスクをヘッジする必要があるかもしれないが、インデックス・ファンドに一貫して投資している個人投資家は嵐を乗り切れるだろう。彼の重要な助言は、たとえ暗い予測に直面してもパニックにならず、投資を続けることだ。

少なくとも50%の市場下落を予測している

マーク・スピッツナーゲル氏は、少なくとも50%の市場下落を予測している。これはベア派によくあるお手つきで、同氏は2023年1月に50%の下落を予想していた。もしこの時マーク・スピッツナーゲル氏の言うことを聞いていた人々は、2023年、そして2024年前半の素晴らしい利益を逃してしまったことになる。

このようなベア派は彼だけではなく、JPモルガンの元アナリスト、マルコ・コラノビッチ氏はそのことを熟知している。コラノビッチ氏の弱気な予測によって、彼は名誉あるポストをクビになっている。

我々は本当に、本当に悪いことに向かっている

そのことを踏まえた上で、マーク・スピッツナーゲル氏の話に戻そう。彼はWSJのインタビューで

我々は本当に、本当に悪いことに向かっていると思う。

と悲観を吐露している。スピッツナーゲル氏は暴落の要因は「人類史上最大の信用バブル」を予想している。金融史家のエドワード・チャンセラー氏も似たようなことを予想している。

次に何が起こるのか?富の大規模な蒸発はあり得る

破壊ではなく、大規模な蒸発が起こると思います。富の大規模な蒸発はあり得る。

しかしスピッツナーゲル氏は、明日市場が暴落するとは考えていない。それどころか、特にFRBが利下げに踏み切れば、今後しばらくは上昇するかもしれない。しかしながら利下げの時期こそ、長期投資戦略を見直す時期になるかもしれない。

一方、危機の舞台は整っている。危機は、すべての危機が回避されたと誰もが思ったときにやってくる。同様の名言を金融アドバイザーのカール・リチャーズも残している。

リスクとは、すべてを考え尽くしたと思ったときに残るものだ。

人生とはリスクであり、リスクとは人生である